こんにちは。
食品の輸出手続きを専門としている行政書士です。
これまで、食品の輸出契約や、手続きの全体像について解説する記事を書いてきました。
今回は、読者の方からいただいた「よくあるご質問」にお答えします。
「英国から和牛の引き合い(=購入したいという打診)が来た。
でも、商社を使わずに自社で輸出するようにと社長から指示された。
初めてで、何から手をつければいいか、まったくわからない」
そんな畜産メーカーの販売部長さんに向けて、英国向けに和牛を輸出する手続きを、
初心者の方にもわかりやすく解説します。
この記事を読めば、英国向け和牛輸出の全体像と手順が理解でき、自社輸出への第一歩を踏み出せます。
【この記事でわかること】
・商社に頼らない、自社での輸出手続きの全体像
・英国へ和牛を輸出するための具体的な4つのステップ
・初心者が陥りやすい注意点と、失敗しないためのコツ
1.結論:動物検疫所への事前相談から始める
和牛を英国へ自社で輸出するには、大きく分けて、次の手続きが必要です。
まず、「相手国(英国)の受け入れルール」を確認します。
つぎに、日本の動物検疫所(=動物や畜産物の病気を水際でチェックする国の機関)で
「輸出検査」に合格します。
そして、「輸出検疫証明書」を発行してもらいます。
要するに、「英国のルール確認 → 日本での検査合格 → 証明書の取得」という流れです。
通関業者や輸送業者とのつながりがなくても、大丈夫です。
まずは管轄の「動物検疫所」への事前相談から始めるのが、一番確実な近道です。
2.概要・手続きの流れ
■概要(なぜ動物検疫が必要なのか)
「英国から和牛の引き合いが来た!」これは、自社製品が世界に認められたという、素晴らしいニュースです。本当におめでとうございます。
とはいえ、「商社を使わずに、自社で輸出者になれ」と言われると、頭を抱えてしまいますよね。
輸送方法もわからない。通関業者やフォワーダー(=輸送の手配を代行する会社)との接点もない。
そんな「ゼロからのスタート」でも、心配はいりません。
幸い、現在、日本から英国への牛肉(和牛)の輸出は解禁されています。
つまり、決められたルールと手順を守れば、自社での輸出は十分に可能です。
ただし、お肉を海外へ送る場合は、荷物をただ運ぶだけでは済みません。
「動物検疫」という国のチェックをクリアする必要があります。
要するに、「病気を海外に広めないための検査」のことです。
次から、具体的な手続きの流れを、
フローチャート形式で順番に見ていきましょう。
■手続きの流れ(4つのステップ)
英国向け和牛輸出の手続きは、
大きく4つのステップで進みます。
【STEP 1】英国の受入条件の確認と事前相談
↓
【STEP 2】輸出検査申請書と必要書類の提出
↓
【STEP 3】動物検疫所による現物検査
↓
【STEP 4】輸出検疫証明書の交付(輸出完了へ!)
それでは、各ステップを詳しく解説します。
【STEP 1】英国の受入条件の確認と事前相談(最初にやるべき、いちばん大事な準備です)
最初に行うことは、「英国が、どんな条件で日本の牛肉を受け入れているか」の確認です。
食品衛生や家畜の病気に関するルールは、相手国ごとに細かく決められています。
特定の証明書が必要になることも多いため、輸出の予定が決まったら、なるべく早く、
日本の「動物検疫所」に相談してください。
空港や港を管轄する動物検疫所や、畜産物の輸出検疫相談窓口が、丁寧にサポートしてくれます。
【STEP 2】輸出検査申請書と必要書類の提出(検査を受けるための「申し込み」です)
条件が確認できたら、いよいよ申請です。
動物検疫所に、次の書類を提出します。
・輸出検査申請書
・と畜証明書など
お肉が国内の法律にもとづいて、 適正に処理されたことを証明する書類です。
・その他の書類
家畜防疫官(=検疫を担当する国の専門職員)から求められた場合、
農場での病気の発生状況の証明などが必要になります。
ちなみに、手続きは窓口への提出だけでなく、「NACCS(ナックス)」という専用のオンラインシステムでも行うことができます。
【STEP 3】動物検疫所による現物検査(書類だけでなく、実物もチェックされます)
書類を提出したら、次は「現物」のチェックです。
提出された書類の内容にもとづいて、家畜防疫官が実際の和牛(お肉)を直接検査します。
検査は、動物検疫所や、あらかじめ指定された検査場所で行われます。
お肉に問題がないことを確認してもらう、大切な工程です。
【STEP 4】輸出検疫証明書の交付(お肉の「パスポート」を受け取ります)
書類審査と現物検査の結果、病気を広めるおそれがなく、英国の受け入れ条件をすべて満たしていると認められれば、「輸出検疫証明書」が発行されます。
これが、お肉が海外へ旅立つための「パスポート」になります。
希望すれば、書面の証明書を受け取る前に、通関手続きのため、NACCSで合格通知を受け取ることもできます。
この証明書を使って通関(=税関への輸出申告)を行い、フォワーダーに荷物を引き渡せば、輸出は完了です。
3.よくあるミス・注意点
初めての輸出で陥りやすいミスを、3つにまとめました。
(1)いきなりお肉を送ろうとしてしまう
「引き合いが来たから、とりあえず送ろう」これが一番危険です。
英国の受け入れ条件は、予告なく突然変更されることがあります。
条件を確認せずに送ると、現地で受け取りを拒否され、廃棄処分になるリスクがあります。
必ず「輸出の都度」、条件を確認する。これが鉄則です。
(2)書類の準備がギリギリになる
「と畜証明書」や、相手国が求める特別な証明書は、発行までに時間がかかることがあります。
とくに、内容の事前調査や事実確認が必要な場合は、要注意です。
「船や飛行機の予約日に間に合わない!」そんな事態を防ぐため、スケジュールには余裕を持ちましょう。
(3)輸送や通関の手配を後回しにする
「動物検疫」をクリアしても、それだけでは輸出できません。
実際にお肉を運ぶフォワーダーと、税関への申告を代行する通関業者の手配が必要です。
温度管理が必要な「和牛」の輸送に慣れた業者を、早めに見つけておくことが成功のカギです。
まとめ・次のステップ
いかがでしたでしょうか?
いかがでしたでしょうか。
商社を使わずに、自社で和牛を英国へ輸出するには、次の4つのステップが基本となります。
・英国の受け入れ条件の確認・相談
・輸出検査申請と書類(と畜証明書など)の提出
・動物検疫所での現物検査
・輸出検疫証明書の交付
「流れはわかった。でも、自社だけで書類を揃えたり、通関業者やフォワーダーをゼロから探したりするのは、やはり不安だ…」
もしそう感じられたら、一人で抱え込まないでください。
当事務所では、食品の輸出手続きに詳しい行政書士として、初めて輸出に挑戦する企業様のサポートを行っています。
複雑な検疫手続きの代行はもちろん、信頼できる通関業者やフォワーダーのご紹介・橋渡しまで、トータルでご相談いただけます。
英国の食卓に、あなたの会社の素晴らしい和牛を届けるために。
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