食品メーカーの経営者の皆様、こんにちは。
食品補助金の申請から受給後の実務まで、一貫してサポートしている行政書士です。
これまで補助金の全体像や実務のポイント、具体的な事例をお伝えしてきました。
今回は、多くの経営者様が「一番わかりにくい」とおっしゃる「付加価値額」について比較解説します。
補助金の要領を読んでいると、必ず出てくるこの言葉。
「要するに儲けのことでしょ?」と思われがちですが、実は計算式や目標値が制度によって異なります。
ここを間違えると、せっかくの事業計画が「不採択」になるだけでなく、受給後に補助金を「返還」しなければならないリスクにもつながります。
【この記事でわかること】
・付加価値額の基本の計算式(営業利益+人件費+減価償却費)
・ものづくり補助金と省力化補助金で、何の数値が求められるかの違い
・人件費に「含めてよいもの」と「含めてはいけないもの」の判断基準
1.ご相談内容
■ ご相談内容
「最新の自動化設備を入れて、生産性を上げたいと考えています。
『ものづくり補助金』か、農水省の『省力化補助金(省力化技術導入支援)』のどちらかに挑戦したいのですが……
どちらの要領にも『付加価値額』という言葉が出てきて、混乱しています。
これは単なる純利益のことですか?
補助金ごとに計算方法や目標値が違うと聞きましたが、具体的に何がどう違うのか、詳しく教えてください」
2.結論(要するに何が違うの)
まず、「付加価値額」という言葉から整理します。
付加価値額とは、単なる会社の利益ではありません。
「その事業を通じて、会社がどれだけ新しい価値を生み出し、従業員や社会に分配できるか」を示す数字です。
要するに、「稼ぐ力」と「雇用を守る力」を合わせたスコアのようなものです。
計算式の基本は、どちらの補助金でも同じです。
付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費
ただし、この数字を使って「何を目標にするか」が異なります。
・ものづくり補助金 → 付加価値額そのものが、毎年どれだけ伸びるか
・省力化補助金 → 設備導入後に、現場の生産効率がどれだけ上がるか
この「物差しの違い」が、2つの補助金の最大のポイントです。
3.比較
【ものづくり補助金】
目標とする数値:付加価値額の年平均成長率(CAGR)が3〜4%以上
要するに、「毎年少しずつでも、会社全体の稼ぐ力が伸び続けていますか?」を問われます。
新商品の開発や革新的な製法の導入など、「技術的な革新性」を持つ取り組みが対象です。
この目標が未達成の場合、補助金の返還義務が生じることもある、非常に厳格な仕組みです。
【省力化補助金(省力化技術導入支援)】
目標とする数値:生産効率が3%以上向上すること
要するに、「新しい機械を入れることで、作業時間がどれだけ減りましたか?」を問われます。
「人手不足の解消」が主な目的の補助金です。
付加価値額の計算をベースにしながら、「導入後にどれだけ効率が上がったか」が必須の評価基準となります。
4.よくあるミス・注意点
実務の現場で、経営者様がつまずきやすいポイントを整理します。
【ミス①】人件費に「社会保険料」を入れてしまう
社会保険料などの法定福利費や退職金は、付加価値額の計算における「人件費」には含めません。
含めてしまうと、目標達成のハードルが不当に上がってしまいます。
【ミス②】製造現場の人件費を忘れる
損益計算書の「販売管理費」にある人件費だけでなく、製造現場で働く方の「労務費(製造原価に含まれる)」も合算が必要です。
見落としやすい箇所ですので、注意してください。
【ミス③】従業員への「周知」を忘れる
付加価値額や賃上げの目標は、全従業員に周知しなければなりません。
これが行われていないと、申請の資格を失う、または採択が取り消されるリスクがあります。
【誤解】赤字だと付加価値額もマイナスになる?
これは誤解です。
営業利益が赤字でも、多額の減価償却費や人件費を支払っていれば、付加価値額はプラスになります。
国は「今は苦しくても、将来に向けて投資し、雇用を守ろうとしている姿勢」を評価します。
まとめ・次のステップ
いかがでしたでしょうか?
「付加価値額」は、自社の成長を数字で証明するための大切な武器です。
革新的な新商品や新技術で、会社全体の稼ぐ力を大きく伸ばしたい
→ ものづくり補助金
最新ロボットや自動化設備で、現場の生産効率を高めたい
→ 省力化補助金
自社の戦略に合った制度を正しく選ぶことが、採択への第一歩です。
「自社の決算書で計算すると、目標値は現実的に達成できるのか?」
「人件費の仕分けが合っているか不安だ……」
そんなお悩みをお持ちの社長様、ぜひ一度ご相談ください。
食品業界に特化した行政書士として、貴社の財務データをもとに「付加価値額シミュレーション」を実施します。
申請書類の作成から、受給後の実績報告まで、一貫してサポートいたします。
正しい数字の裏付けを持って、貴社の「稼ぐ力」を次のステージへ引き上げましょう。
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