食品業界の経営者の皆様、こんにちは。
食品補助金の申請手続と、採択後の実務を専門にサポートしている行政書士です。
これまで、補助金の全体像や具体的な成功事例をお伝えしてきました。
今、多くの食品メーカーの社長様から、こんなご質問をいただきます。
「『ものづくり補助金』と農水省の『省力化補助金』、どっちを申請するのが正解なの?」
どちらも数千万円規模の、大きな支援が受けられる制度です。
ですが実は、その「目的」や「ルール」は全く異なります。
今回は、この2つの補助金のどちらが貴社に向いているのか。
徹底比較して解説します。
この記事を読むことで、迷うことなく自社に最適な補助金を選択できるようになります。
そして、確実に採択を掴み取るための戦略が立てられるようになります。
【この記事でわかること】
・「革新的な新商品」を目指すのか、「人手不足の解消」を目指すのか。目的による使い分け
・補助金額(最大9,000万円 vs 4,000万円)と、審査で重視される目標数値の違い
・同時申請はできるのか?という疑問に対する、実務上の「重複受給」のルール
※重複受給とは、同じ経費に対して、複数の補助金から同時にお金を受け取ることです。これは禁止されています。
1.ご相談内容
ご相談内容
「うちの工場に最新の自動化設備を入れて、新商品の開発も進めたいと考えている。
調べてみると、経済産業省系の『ものづくり補助金』と、農林水産省の『省力化技術導入支援』の2つが良さそうだ。
この2つはどう違うのか?
また、できることなら両方とも申請して、最大限の支援を受けたい。
そんな欲張りなことは、要件的に可能だろうか?」
2.結論(要するに何が違うの)
ひと言で言うと、こうなります。
「新しい価値を生み出したいなら『ものづくり』」
「今の仕事をロボットで楽にしたいなら『省力化』」
ものづくり補助金は、これまでにない製品の開発や、新しい市場への進出が求められます。
要するに、「革新性(かくしんせい)=今までにない新しさ」があるかどうかが審査のポイントです。
一方で省力化補助金は、AIやロボットを導入して人手不足を解消すること。
そして現場の生産効率を底上げすることが主な目的です。
また、同時申請については、別の取組(別の機械や別の事業目的)であれば可能です。
ですが、同じ経費(同じ機械)で両方からお金をもらうことは「重複受給」として厳しく禁止されています。
3.比較
主要な項目を比較しました。
自社の投資計画がどちらに当てはまるか、物差しにしてみてください。
【ものづくり補助金】
・主な目的:新製品開発・新市場進出(革新性)
・補助上限額:最大 9,000万円(枠による)
・補助率: 1/2 または 2/3
・重視される指標:付加価値額 年平均4%増
・機械の要件:特になし(革新的な取組に必要ならOK)
・リースの可否:原則可能(枠や条件による)
【農水省:省力化技術導入支援】
・補助上限額:最大 4,000万円
・補助率:1/2 以内
・重視される指標:生産効率 年3%以上向上
・機械の要件:販売後4年未満の最新技術に限る
・リースの可否:一切不可(購入のみ)
※付加価値額とは、簡単に言うと「会社が新しく生み出した利益や価値の大きさ」のことです。
Q. 2つとも申請してもいい?
「どちらが良いか迷うので、両方申請する」という段階であれば、差し支えありません。
ただし、どちらも採択された場合は、最終的に対応が必要です。
一方を選んで他方を辞退するか、全く別の経費として切り分けるか、どちらかになります。
実務上は、「国の他の補助金と、同じ経費で申請していない」という誓約が必須です。
そのため、同じ機械の導入で両方から受給することは、絶対にできません。
4.よくあるミス・注意点
比較検討の際に、食品メーカーが特に注意すべきポイントが3つあります。
・「省力化」でリースを考えている場合
農水省の省力化補助金は、リースやレンタルが「補助対象外」と明記されています。
要するに、自社で購入するための資金(キャッシュフロー)が必要だということです。
一方でものづくり補助金は、リースが活用できる枠があります。
資金繰りの状況によって、選択肢が変わってきます。
・「ものづくり」の賃上げ・付加価値目標の厳しさ
ものづくり補助金は、「付加価値額 年4%向上」「賃金 3.5%向上」など。
省力化補助金よりも高い成長目標が求められます。
未達成の場合の返還規定も厳格です。
無理な計画は禁物です。
・交付決定前のフライング注文
どちらの補助金も、事務局からの正式な「交付決定通知」より前に、契約や発注をしてはいけません。
その日付より前の経費は、1円も認められません。
早く機械を入れたい気持ちはよくわかります。
ですが、ここは「絶対のルール」だと心得てください。
まとめ・次のステップ
いかがでしたでしょうか?
「今、自社が最優先すべきは何か」新しい商品で市場を攻めることなのか。それとも、人手不足の現場をロボットで守ることなのか。
この優先順位によって、狙うべき補助金は決まります。
・他社がやっていない革新的なビジネスを展開したい
➡ ものづくり補助金
・最新のAIやロボットで、工場の作業時間を大幅に削りたい
➡ 省力化補助金
「うちのこの計画、どっちの補助金の方が採択の可能性が高い?」
「両方の補助金を使い分けるための、重複しない事業計画を一緒に作ってほしい」
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