食品メーカーの経営者の皆様、こんにちは。
食品補助金の申請から受給後の実務まで、専門にサポートしている行政書士です。
海外輸出を考えている社長様から、こんなご質問をよくいただきます。
「HACCP対応の施設整備の補助金と、海外展開支援の補助金、どっちを使えばいいの?」
どちらも「輸出を増やす」という目的は同じです。
でも、補助金の使い道や申請のハードルは、まったく異なります。
今回は、この2つの制度を実務の視点でわかりやすく比較します。
【この記事を読むとわかること】
・HACCP施設整備は「工場の改修」、海外展開支援枠は「売り方のサポート」であること
・HACCP補助金には「銀行融資10%以上」という必須条件があること
・設備を買うだけでは不採択になる「ストーリー性」の重要性
1.ご相談内容
■ ご相談内容
「自社の食品を海外で売りたいと考えています。
調べていたら、農林水産省の『HACCP等対応施設整備事業』と、農水省などの『海外展開支援枠』の2つが目に入りました。
輸出先の国の基準に合わせた工場の工事も必要だし、現地での宣伝もしたい。
この2つ、何がどう違うのか教えてください」
2.結論(要するに何が違うの)
ひと言でまとめると、こういうことです。
・HACCP施設整備
→「輸出するための工場・設備(箱)を整える」ための補助金
・海外展開支援枠
→「作った商品を海外でどう売るか」を支援する補助金
家づくりに例えるなら、こんなイメージです。
「衛生的で頑丈なキッチンを作る」のがHACCP施設整備。
「完成した料理を近所に宣伝して回る」のが海外展開支援枠。
用途がまったく異なるので、自社が「今、どちらの段階にいるか」で選ぶべき補助金が変わります。
3.比較
ポイントを比較します。
【HACCP等対応施設整備事業】
・主な目的:輸出先国の衛生規制をクリアする
・対象経費:工場の改修、高度な衛生機器の導入
・補助上限額:最大6億円(令和7年補正予算ベース)
・補助率:かかった費用の1/2以内
・必須条件:金融機関からの融資が10%以上必要
・数値目標:輸出額を2,000万円以上増やすこと
【海外展開支援枠(酒類・加工食品等)】
・主な目的:ブランド化・プロモーション(販売促進)
・対象経費:広報、SNS発信、展示会出展、新商品開発など
・補助上限額:1,000万円前後
・補助率:かかった費用の1/2以内(小規模事業者は特例あり)
・必須条件:特になし(自己資金でも申請可)
・数値目標:売上増や付加価値額の向上
【HACCP施設整備を選ぶ場合のポイント】
米国・EU・アジアなど、輸出先国の厳しい衛生規制に対応するための「大型投資」向けです。
ただし、銀行融資とセットで申請することが必須条件です。
このため、金融機関との事前の打ち合わせを、早めに進めておくことが大切です。
【海外展開支援枠を選ぶ場合のポイント】
「輸出できる体制はある。でも現地での知名度を上げたい」「新商品をテスト販売したい」というフェーズに向いています。
設備の導入も対象になりますが、機械を購入するだけの計画では評価されません。
「どう売るか」というマーケティング戦略が、審査で重要視されます。
4.よくあるミス・注意点
申請を検討する際に陥りやすい落とし穴を3つご紹介します。
【ミス①】HACCP:「主要構造部」は補助対象外
工場の柱や梁など、建築基準法上の「主要構造部」にかかる費用は、原則として補助されません。
自己負担になるため、資金計画を立てる前に確認が必要です。
【ミス②】海外展開支援枠:設備導入「だけ」の計画
「新しい充填機を買いたい」という設備投資だけの申請は、海外展開支援枠では評価が低く、不採択になりやすいです。
販売戦略とセットで計画を組み立てることが重要です。
【ミス③】共通:「交付決定」前の発注
採択が決まっても、正式な「交付決定通知」が届く前に発注・契約したものは、一切補助されません。
これは両補助金に共通するルールです。「内定が出たから大丈夫」と思って先に動いてしまうのは危険です。
まとめ・次のステップ
いかがでしたでしょうか?
自社が今、どの段階にいるかによって、選ぶべき補助金は決まります。
「輸出規制に対応した工場に作り変えたい」
→ HACCP施設整備
「自社商品のブランドを世界に広めるプロモーションをしたい」
→ 海外展開支援枠
「うちの計画、どっちの補助金の方が通りやすいの?」
「銀行融資と組み合わせた、無理のない資金計画を作ってほしい」
そんなお悩みをお持ちの社長様。
食品・酒類業界に特化した行政書士として、貴社の経営状況と輸出目標を分析し、最適な補助金の選択から事業計画書の作成まで、ワンストップでサポートいたします。
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