「自作のクッキーをネットショップで売りたい。必要な許可は『菓子製造業』? それとも『食品の小分け業』?」
「大きな袋で仕入れたナッツを、小分けして販売したい。これって『製造』になるの?」
食品ビジネスを始めようとする方にとって、保健所のパンフレットに並ぶ「製造」と「小分け」という言葉は、非常にわかりにくいものです。
もしこの判断を間違えると、せっかく導入した設備が無駄になったり、知らないうちに「無許可営業」になってしまったりするリスクがあります。
この記事では、食品営業許可の専門家である行政書士が、2つの決定的な違いをわかりやすく解説します。
【この記事でわかること】
・「食品の製造」と「食品の小分け」を分ける、実務上の判断基準
・「小分け」であっても「製造業」の許可が必要になる、要注意な食品
・自分のビジネスに必要な設備・許可の見極め方
1.ご相談内容
先日、初めてお店を持とうとしている方から、このようなご相談をいただきました。
「保健所でもらった資料に『食品の製造』と『食品の小分け』の2種類が載っていました。
私は自分で焼いたパンを売りたいのと、農家さんから仕入れたドライフルーツを小袋に分けて販売したいと考えています。
どちらの許可を取ればいいのでしょうか?」
2021年の法改正で、「食品の小分け業」という許可が新たに設けられました。
これにより、以前よりもルールが明確になりましたが、初めての方には境界線がわかりにくいのも事実です。
以下で、順を追って整理します。
2.結論(要するに何が違うの)
まず結論から言います。
この2つの違いは、「食品に新しい性質を加えるかどうか」にあります。
食品の製造とは、原材料を加工して、新しい食品を作り出すことです。
たとえば、小麦粉からパンを焼く、肉からハムを作る、といった行為です。
食品の小分けとは、すでに完成している製品を、単に分割して容器に入れ直すことです。
たとえば、大袋のお菓子を小袋に分ける、大きなチーズをカットして包む、といった行為です。
「一から作る」なら製造、「分けるだけ」なら小分け。
これが基本的な考え方です。
3.比較
主な違いをまとめました。
【食品の製造(菓子製造業など)】
・主な作業:加熱・殺菌・調合などの加工
・対象食品:ほぼすべての食品
・必要な設備:製造室・殺菌設備・充填機など
・費用・難易度:高め(専用機械や区画整備が必要)
【食品の小分け業】
・主な作業:既製品の分割・計量・詰め替え
・対象食品:菓子・惣菜・固形乳製品など、特定の14業種で製造されたもの
・必要な設備:作業場・保管室・手洗い場など
・費用・難易度:比較的低め(製造設備は不要)
【ここが実務の重要ポイント!】
「小分け業の許可があれば何でも分けていい」というわけではありません。
液体状の乳製品、清涼飲料水、お酒などは、小分け作業であっても食中毒のリスクが高いため、製造業」の許可が引き続き必要です。
4.よくあるミス・注意点
① 「自社製品の小分け」に別の許可は不要
「自分で焼いたクッキーを小袋に入れるなら、製造業と小分け業の両方が必要?」と悩む方がいます。
しかし、その必要はありません。
自分が「製造業」の許可を取って作った食品を、同じ施設内で小分けして販売する場合は、製造業の許可の範囲内に含まれます。
② 「液体」は小分け業では扱えない
「大きなボトルのジュースやドレッシングを小瓶に分けたい」という場合、「食品の小分け業」では認められません。
液体を扱う場合は、「清涼飲料水製造業」などの製造業許可が必要です。
③ 食品ラベルの「名称」が変わる
食品表示ラベルを作るとき、製造業の許可で作ったものは「製造者」、小分け業の許可で小分けしたものは「加工者(または小分け者)」と記載します。
これを間違えると、商品の回収(リコール)につながるおそれがあります。
まとめ・次のステップ
いかがでしたでしょうか?
「自分のやりたい作業がどちらに当てはまるか」を正しく判断することが、スムーズな開業への第一歩です。
まずは以下の順で確認してみてください。
・作業工程を書き出す(一から作るのか、詰め替えるだけか)
・扱う食品が「液体」か「固形」かを確認する
・図面を作成する前に、保健所へ事前相談する
「自分のプランにどの許可が必要か、確信が持てない」
「HACCPの記録をどう準備すればいいかわからない」
「書類の作成や図面引きをプロに任せたい」
そんな方は、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。
食品営業許可の専門家として、あなたの開業を全力でサポートいたします。
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