「バイヤーから『FDA』と言われたり『USDA』と言われたり、どっちなの?」
「うちの商品は、どちらの役所に登録すればいいの?」
「窓口を間違えたら、輸出できなくなるんじゃないか……」
初めてアメリカへの輸出を検討している食品メーカーの方、こんな不安を感じていませんか?
聞き慣れない英語の専門用語に加え、アメリカ特有の複雑なルール。
混乱するのは、当然のことです。
アメリカの食品安全規制には、主にFDAとUSDAという2つの窓口があります。
そして、どちらの窓口を使うかは、食品の種類によって厳格に決まっています。
この「管轄(かんかつ)」を間違えると、書類の準備がすべて無駄になるだけでなく、商品がアメリカの港で止められてしまうケースもあります。
この記事では、FDAとUSDAの違いを、初めての方でもわかるように比較解説します。
【この記事でわかること】
・「肉が入っているか」で決まる、FDAとUSDAの管轄の境界線
・登録の「簡単さ」が全然違う、FDAとUSDAのハードルの差
・肉エキスや卵製品など、日本メーカーがつまずきやすい「グレーゾーン」の正体
1.ご相談内容
ある加工食品メーカーの方から、こんなご相談をいただきました。
「アメリカのバイヤーと商談を進めているのですが、話の中で『FDA登録』と『USDAの許可』という言葉が混ざって出てきます。
うちはレトルト食品や菓子を製造していますが、原材料に肉エキスや卵が含まれています。
英語のサイトを読んでも、自分たちがどちらの管轄なのか、何を登録すればいいのかがわからず、商談が前に進みません。初心者にもわかるように教えてください」
2.結論(要するに何が違うの)
結論から言います。
FDAとUSDAの最大の違いは、「食品に、肉・鶏肉・卵が含まれているかどうか」です。
USDA(農務省)が管轄するもの:
牛・豚・羊などの肉類、鶏・七面鳥などの鶏肉類、卵製品(液卵など)
FDA(連邦食品医薬品局)が管轄するもの:
USDAが担当するもの以外の、ほぼすべての食品(魚介類・菓子・飲料・野菜・果物・乳製品など)
ざっくりまとめると、
「お肉や卵をメインに使った食品 → USDA」
「それ以外の食品 → FDA」
と覚えておくと、まずはイメージしやすいです。
ただし、「どのくらい肉が入っているか」の判断基準が非常に細かいため、自己判断は禁物です。
3.比較
代表的なポイントを比較して整理します。
【主な対象食品】
FDA:魚介類、菓子、パン、飲料、乳製品、アルコール、野菜・果物など
USDA:牛・豚・羊などの畜肉、鶏・七面鳥などの鶏肉類、卵製品
【手続きの種類】
FDA:施設登録(11桁の番号を取得する手続き)
USDA:施設認定(USDAが審査・認定した工場のみ輸出可能)
【費用】
FDA:施設登録の申請自体は無料
USDA:認定や検査にかかるコストが非常に高い
【日本メーカーの参入しやすさ】
FDA:比較的多くのメーカーが参入できる
USDA:認定施設が非常に少なく、ハードルが極めて高い
【加工食品の判定基準(目安)】
FDA管轄:肉の含有量が非常に少ないもの(生肉3%未満など)
USDA管轄:肉を一定以上含むもの(生肉3%以上、調理済み2%以上など)
補足:日本酒などのアルコール飲料
日本酒やリキュールのラベル承認はTTBという別の機関が担当しますが、「施設登録」はFDAのルールが適用されます。
4.よくあるミス・注意点
日本の食品メーカーが陥りやすい落とし穴を3つ紹介します。
1.「肉エキス程度なら大丈夫」は通用しない
「肉そのもの」は使っていなくても、原材料に肉エキスや動物性油脂が含まれていると、アメリカでは厳しいチェックの対象になります。
たとえ微量でも、USDAの管轄と判定されれば、USDA認定を受けていない工場からの輸出は一切認められません。
「うちの商品に肉エキスが入っているけど大丈夫かな」と思ったら、必ず専門家に確認してください。
2.「卵」は形によって管轄が変わる
殻付きの生卵はFDAの管轄ですが、中身を取り出した液卵・乾燥卵や、それらをメインに使った加工食品はUSDAの管轄になります。
一方、マヨネーズのような配合製品はFDA管轄になるケースもあります。
「卵が入っているから全部USDA」とは限らないので、注意が必要です。
3.「窓口の間違い」は即・輸入禁止につながる
USDA管轄の製品を、FDAの施設登録だけで輸出しようとした場合、アメリカの港で発見された瞬間に、差し押さえや廃棄になる可能性があります。
このミスは、バイヤーからの信用を失うだけでなく、その後の輸出にも悪影響を及ぼします。
「安いコストで済んだ」と思って後回しにすると、取り返しのつかない事態になりかねません。
まとめ・次のステップ
いかがでしたでしょうか?
アメリカへの輸出を成功させるための第一歩は、「自分たちの商品がどちらの管轄か」を正しく確認することです。
まず取り組むべきことを整理します。
・原材料リストを整理し、肉類・卵の含有量を正確に把握する
・大半の加工食品や酒類はFDA施設登録から準備を進める
・肉が含まれる場合は、USDA認定の要否を専門家に確認する
「うちのカレーやラーメンは、どちらの管轄になるの?」
「原材料の肉エキスが原因で止められないか不安……」
「FDA登録を、できるだけ早く済ませたい」
こうしたお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
当事務所では、輸出実務に詳しい行政書士として、管轄の判定(どちらのルールが適用されるかの確認)から、FDA施設登録の代行、肉・卵成分を含む食品の輸出戦略アドバイスまで、トータルでサポートしております。
せっかくのアメリカ進出のチャンスを、管轄の誤解という事務的なミスで台無しにしないために。
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