「アメリカのバイヤーから『FDA登録』だけでなく『FSVP』への対応も求められた。何が違うんだろう?」
「どちらも同じアメリカの規制のようだが、自分たちは何をすればいいのか?」
「英語の資料ばかりで、結局、誰が責任を持つべき手続きなのかが分からない」
初めてアメリカへの輸出に挑戦しようとしている食品メーカーの販売部長さん。
商談が進むにつれ、次々と出てくる専門用語に、頭を抱えていませんか?
FDA登録とFSVP。
どちらもアメリカの食品安全に関するルールですが、「誰が」「何をすべきか」という点が根本的に異なります。
この違いを正しく理解しておかないと、役割を混同して商談が止まったり、通関トラブルで損失を出したりするリスクがあります。
この記事では、輸出実務に詳しい行政書士が、初めて輸出する方でもわかるように、FDA登録とFSVPの違いをわかりやすく比較・解説します。
【この記事でわかること】
・FDA登録とFSVPは「誰の義務か」が全然違う
・日本のメーカーが「自分でやること」と「バイヤーに協力すること」の切り分け方
・バイヤーがなぜ英語の現場記録を細かく求めてくるのか、その理由
1.ご相談内容
ある食品メーカーの販売部長さんから、こんなご相談をいただきました。
「アメリカのバイヤーと成約間近なのですが、メールで『FDA Facility Registration Number』と『FSVP Compliance』の両方を確認するよう言われました。
調べたところ、どちらも食品の安全に関わることのようです。
11桁の登録番号を取得すれば、FSVPというものもクリアしたことになるのでしょうか?
それとも、まったく別の手続きを新たに始める必要があるのでしょうか?」
このご質問、じつは多くの方が同じところで混乱されています。
結論から整理しましょう。
2.結論(要するに何が違うの)
FDA登録とFSVPの最大の違いは、「誰が法律上の義務を負っているか」です。
▼ FDA登録(施設登録)
→ 日本のメーカー(輸出者)の義務です。
食品を製造する工場(施設)をFDAに登録する手続きで、アメリカ市場へ入るための「パスポート」にあたります。
▼ FSVP(外国供給業者検証プログラム)
→ アメリカのバイヤー(輸入業者)の義務です。
「日本の仕入先が安全基準を守っているか、自分で確認しなさい」というルールです。いわば、バイヤーによる「仕入先の安全チェック」です。
つまり、こういうことです。
・FDA登録:日本のメーカーが「自分で」行う手続き
・FSVP:バイヤーが行う調査に「書類を出して協力する」もの
11桁の登録番号を取得しても、それだけではFSVPをクリアしたことにはなりません。
両者はまったく別の話です。
3.比較
実務上のポイントを、項目ごとに比較します。
・義務を負う人:日本の製造者・輸出者
・対象となるもの:施設(工場・建物)の登録
・主な目的:流通経路の追跡(テロ・事故対策)
・必要なもの:DUNS番号、米国代理人の指定
【FSVP(外国供給業者検証)】
・義務を負う人:米国の輸入業者(バイヤー)
・対象となるもの:供給業者(取引関係)の安全確認
・主な目的:米国の安全基準を守っているかの確認
・必要なもの:英語の製造記録、衛生管理計画など
※日本酒(清酒)は通常FSVPの対象外ですが、果汁入りのリキュール類は対象となります。
また、対象外であっても、バイヤーが独自の基準で安全確認のために書類を求めてくるケースが実務上よくあります。
4.よくあるミス・注意点
商談の現場でつまずきやすい落とし穴を3つご紹介します。
【落とし穴1】「登録番号があるからFSVPもOK」という誤解
11桁のFDA施設登録番号を取得しても、それだけではバイヤーのFSVP義務を果たしたことにはなりません。
バイヤーは「どのように清掃しているか」「原材料をどう管理しているか」といった具体的な現場の記録(証拠書類)を求めてきます。
これを断ると、バイヤーは法律違反を恐れて取引をあきらめざるを得なくなります。
【落とし穴2】「米国代理人」と「輸入業者」の混同
FDA登録で指定する「米国代理人(U.S. Agent)」は、FDAとの連絡窓口です。
商品の買い手である「輸入業者(FSVP責任者)」とは、役割がまったく異なります。
バイヤーを代理人に指定することも可能ですが、取引が終了したときのリスクを考えると、独立した専門家を立てておくのが安心です。
【落とし穴3】「日本のHACCP」への過信
「日本でHACCPを取得しているから、書類はこれで十分なはずだ」と主張しても、アメリカの基準(PCHF)が求める「アレルゲンの交差接触防止」や「供給業者の検証」が含まれていなければ、バイヤーには認められません。
アメリカのルールに合わせた情報の補完が必要です。
まとめ・次のステップ
いかがでしたでしょうか?
アメリカ輸出を成功させるには、次の2つの対応が必要です。
・FDA登録という「パスポート」を自分で取得すること
・バイヤーのFSVP調査に、書類を出して協力すること
この2つは別々の話です。
どちらか一方だけでは、商談がスムーズに進みません。
まず取り組むべきことは、次の3ステップです。
①自社のFDA施設登録を最新のルールで完了させる(DUNS番号の取得など)
②バイヤーがFSVPのために何を求めているか(清掃記録、製造工程図など)を確認する
③現場の記録を、バイヤーが理解できる「英語のテンプレート」に整理し始める
「自社の登録が今も有効かどうか調べてほしい」
「バイヤーから届いた英語の質問リストにどう答えればいいかわからない」
「リキュールの輸出でFSVPの対象になるかどうか判定してほしい」
こうしたお悩みはありませんか?
当事務所では、輸出実務に詳しい行政書士として、FDA施設登録の代行から、バイヤーとの英語でのやり取りの調整、FSVPに対応した英語の食品安全計画の策定サポートまで、トータルでお手伝いしています。
用語の誤解や書類の不備で、せっかくの商談チャンスを逃さないために。
まずは、お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせは、下記からお願いします。
24時間以内に回答いたします。
行政書士には守秘義務がありますので、お問い合わせが公開されることはありません。
コメントをお書きください