「ベトナムへ輸出したいけれど、使える経済協定が多すぎてどれを選べばいいの?」
「RCEPにCPTPP……名前は聞くけれど、結局うちの商品にはどれが一番おトクなの?」
ベトナム向けの食品輸出を検討されている方、こんな「制度の迷路」に迷い込んでいませんか?
じつはベトナムは、日本との間で使える経済協定が4つも重なっている、いわば「EPA激戦区」です。
この記事では、各協定の決定的な違いと、自社の商品に合った選び方をわかりやすくお伝えします。
【この記事でわかること】
・ベトナム輸出で使える「4つの協定」それぞれの特徴とメリット
・関税率だけじゃない!「証明書の作りやすさ」で選ぶ実務の視点
・輸出者が自由に協定を選べる「選択のルール」の基本
1.ご相談内容
先日、ベトナムへの販路拡大を検討している食品メーカーの担当者様から、こんなご相談をいただきました。
「商工会議所に相談したら、ベトナム向けには『日アセアン協定』のほか、『RCEP』や『CPTPP』もあると言われました。どれもベトナムでの関税を安くするためのものだそうですが、正直、何が違うのかさっぱりわかりません。どれを選んでも結果は同じでしょうか?知らないと損をすることはありますか?」
こうした疑問をお持ちの方は、とても多いです。
以下で、ひとつひとつ丁寧にご説明します。
2.結論(要するに何が違うの)
結論からお伝えします。「どれを選んでも同じ」ではありません。
協定によって、次の2つが異なります。
・ベトナムに着いたときの関税の率(=バイヤー側のコスト)
・日本側で用意する書類の種類と手間(=自社の負担)
選ぶときの判断軸はシンプルで、この2点を比べるだけです。
「どちらの協定が、より関税を下げられるか?」
「どちらの協定が、書類を準備しやすいか?」
この2軸で選べば、自社にとって最適な協定が見えてきます。
3.比較
ベトナム向けに使える主な協定を、実務の視点で整理しました。
【1】日アセアン協定(AJCEP)/日ベトナム協定(VJEPA)
昔から使われている、スタンダードな協定です。
書類の作り方は「第三者証明」といって、日本商工会議所に申請し、公的なスタンプ入りの証明書を発行してもらう仕組みです。
「自社だけで判断するのは不安。商工会議所の審査を通したい」という方に向いています。
【2】CPTPP(いわゆるTPP11)
自由度が高く、手続きがシンプルな新しい協定です。
書類の作り方は「自己申告」といって、商工会議所を経由せず、自社で「これは日本産です」という書類を作ってバイヤーに送るだけです。
手数料を節約したい方や、船積みまでの時間が短くスピード重視の方に向いています。
【3】RCEP(アールセップ)
中国や韓国も加わった、世界最大規模の協定です。
「第三者証明」と「自己申告」の両方から選べるのが特徴です。
原材料に中国産やアセアン産が多く含まれていて、他の協定では「日本産」と認められにくい商品の場合に力を発揮します。
4.よくあるミス・注意点
「どれを使っても自由」だからこそ、現場で陥りやすい落とし穴があります。
【落とし穴1】HSコード(品目番号)の確認を忘れている
協定を選ぶ前に、まず商品の「HSコード(6桁の品目番号)」を確認することが不可欠です。
同じジャムでも、協定Aでは関税5%、協定Bでは関税0%ということが普通に起こります。
事前に、ベトナムでの税率を協定ごとに比較することが大切です。
【落とし穴2】「自己申告」の責任を軽く見ている
CPTPPなどの自己申告は便利ですが、その分、すべての責任は自社にあります。
数年後にベトナム税関から「本当に日本産か」と問い合わせが来ることもあります。
そのときに説明できる根拠がなければ、バイヤーが関税を追徴され、信頼を失うリスクがあります。
【落とし穴3】書類の保管期間を知らない
どの協定を使っても、原材料のリストや製造工程の記録は、通常5年間保管する義務があります。
担当者が代わっても、いつでも説明できる体制を社内で整えておくことが重要です。
まとめ・次のステップ
いかがでしたでしょうか?
ベトナム向けEPAは、「自社にとって使いやすい協定」を戦略的に選ぶことで、コスト削減と手続きの効率化が同時に実現できます。
まずは、以下の3ステップから始めてみてください。
ステップ1:商品の正確なHSコード(6桁)を特定する
ステップ2:農林水産省の「EPA利用早わかりサイト」などで、ベトナム向け各協定の関税率を比較する
ステップ3:原材料の産地を確認し、どの協定の原産地ルールをクリアできそうか検討する
「4つの協定を自社だけで比べるのは難しい」
「自己申告に切り替えたいが、社内の管理体制をどう整えればよいかわからない」
「加工食品の原産地判定に自信がない」
こうしたお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所へお気軽にご相談ください。
食品輸出専門の行政書士として、最適な協定の選定から、商工会議所への登録サポート、自己申告制度の導入支援まで、貴社の海外展開を実務面からサポートいたします。
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