「海外の農産物を輸入したいけれど、日本の残留農薬の基準は厳しいと聞いた。ポジティブリストって何?」
「せっかく輸入したのに、農薬の検査で不合格になったら全量廃棄? そんなリスクは絶対に避けたい」
はじめて食品(農産物)の輸入に挑戦しようとしている事業者の皆様、こんにちは。
食品輸入の法務手続きを専門にサポートしている行政書士です。
農産物の輸入において、最大の懸念事項のひとつが「残留農薬」です。
日本の規制を正しく理解していないと、港で貨物が差し止められ、多額の廃棄費用が発生するだけでなく、貴社の社会的信用を大きく損なう恐れがあります。
この記事では、「ポジティブリスト」という日本独自の規制の仕組みを、初めての方にもわかるように解説します。
また、海外サプライヤーとどのように連携すれば安全に輸入できるか、具体的な実務のポイントもお伝えします。
【この記事でわかること】
・「ポジティブリスト制度」と、以前の考え方(ネガティブリスト)との決定的な違い
・輸入者が、日本の製造者と同じ重い責任を負わなければならない理由
・農薬調査を成功させるために、海外メーカーから取り寄せるべき必須書類
それでは、正しい知識でリスクをコントロールするための第一歩を踏み出しましょう。
1.ご相談内容
■ 農薬のリストの違いがわからない
今回のご相談者は、東南アジアから冷凍野菜や果実を輸入し、国内の加工メーカーへ卸そうと考えている事業者様です。
検疫所の事前相談へ行った際、担当官から次のように言われました。
「残留農薬については、ポジティブリスト制度に適合している必要があります」
ところが、ネットで調べると「以前はネガティブリストだった」という記述も出てきます。
今の制度と何が違うのか、何に気をつければいいのか、混乱してしまったそうです。
また、現地のサプライヤーに「日本の基準に合わせてほしい」と伝えても、具体的に何を依頼すればよいかわからず、実務の進め方について、アドバイスを求められました。
2.結論(要するに何が違うの)
結論から申し上げます。
【以前の考え方(ネガティブリスト)】
「基準が定められていない農薬は、規制されない」
【現在の制度(ポジティブリスト)】
「原則として、すべての農薬に残留基準を定める。基準を超えて残留している食品は、販売を一切禁止する」
一言でいえば、「書いていなければOK」から「書いていなければアウト」への大転換です。
現在の制度では、基準が設定されていない農薬が検出された場合、原則として「一律基準(0.01ppm)」が適用されます。
これは非常に低い数値であり、「基準がないから大丈夫」とはならないことを意味します。
輸入者にとって重要なのは、「基準を超えていないことを事前に確認する責任がある」という点です。
港に到着してから問題が発覚しても、すでに手遅れです。
3.比較
【以前の考え方(ネガティブリスト)】
・基本的な考え方:禁止リストに載っていなければOK
・基準のない農薬:規制なし(販売可)
・輸入者の責任:比較的軽い
・事前確認の必要性:低い
【現在の制度(ポジティブリスト)】
・基本的な考え方:許可リストにないものはNG。
・基準のない農薬:一律0.01ppmが上限
・輸入者の責任:製造者と同等の重い責任
・事前確認の必要性:非常に高い
ポジティブリスト制度は2006年に導入されました。
それ以降、輸入食品の残留農薬に関するルールは大幅に厳しくなっています。
4.よくあるミス・注意点
【ミス①】サプライヤー任せにしてしまう
「向こうが日本に輸出しているなら、基準は満たしているはず」と思い込むのは危険です。
日本の残留農薬基準は国際基準より厳しい場合があります。
現地の輸出実績があっても、ロットや栽培地が変われば検査結果が変わることがあります。
【ミス②】農薬使用状況の確認書類を取り寄せていない
海外サプライヤーから取り寄せるべき書類の代表例は次のとおりです。
・農薬使用記録(使用した農薬の種類・量・時期)
・残留農薬検査証明書(第三者機関による検査結果)
・栽培管理記録
これらを事前に確認することで、到着後の検査で引っかかるリスクを大幅に減らせます。
【ミス③】「一律基準(0.01ppm)」を軽視する
「基準値が定められていない農薬だから、少しくらいなら大丈夫」と考えるのは誤りです。
一律基準は非常に低い数値のため、微量でも違反となる場合があります。
まとめ・次のステップ
いかがでしたでしょうか?
以下、まとめです。
・現在の日本はポジティブリスト制度を採用しており、「基準のない農薬は原則NG」という厳しいルールになっている
・輸入者は、製造者と同等の責任を負うと考えて準備を進める必要がある
・サプライヤーから農薬使用記録や残留農薬検査証明書を取り寄せ、事前に確認することが重要
「どんな書類をサプライヤーに依頼すればよいかわからない」
「自社の商品が一律基準に引っかかりそうで不安」
そのようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
輸入前の農薬リスク確認から、検疫所とのやり取りまで、実務に即したサポートをいたします。
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