「海外から食品を輸入して販売したい!
でも、保健所の『営業許可』が必要なの?
それとも、通関業者が言っていた『食品の届出』だけでいいの?」
食品輸入ビジネスに挑戦しようとすると、最初にこんな疑問にぶつかります。
じつは、食品輸入の世界では、「日本に食品を入れるための手続き」と「国内で商売をするための手続き」は、まったくの別物です。
ここを混同したまま進めてしまうと、せっかく商品を輸入しても国内で販売できなかったり、最悪の場合は法令違反に問われたりするリスクがあります。
この記事を読むことで、貴社のビジネスにどの手続きが必要か明確になり、最短ルートで準備を進められるようになります。
【この記事でわかること】
・「検疫所(国)」と「保健所(自治体)」、それぞれの役割と違い
・「輸入するたびに必要な書類」と「事業開始前に必要な免許」の正体
・「輸入業」には営業許可が原則不要とされる、意外な理由
それでは、2つの制度の違いを見ていきましょう。
1.ご相談内容
今回のご相談者は、海外の珍しいお菓子や食材を仕入れて、日本でネット販売や卸売りを検討されている事業者様です。
通関業者からは、こう言われました。
「税関に申告する前に、検疫所(国の機関)に『食品等輸入届出書』を提出して、合格をもらってください」
一方、知り合いの飲食店主からは、こう聞きました。
「食品を扱うなら、保健所の『営業許可』が絶対に必要だ」
・「届出」と「許可」は何が違うの?
・両方必要なの? それとも片方だけ?
実務のスタートラインで生じるこの混乱を解消したい、というのがご相談の内容でした。
2.結論(要するに何が違うの?)
結論から申し上げます。
「食品等輸入届出書」は、
食品を日本に持ち込むたびに、国(検疫所)へ提出する「この商品は安全ですよ」という証明書です。
「営業許可」は、
国内で特定のビジネスを行うために、自治体(保健所)から受ける「この事業者はちゃんと衛生管理ができますよ」という許可です。
わかりやすく例えるなら、
食品等輸入届出書は「映画館に入るたびに必要なチケット」、
営業許可は「映画館を運営するためのオーナー資格」のようなイメージです。
多くの場合、食品輸入者には
「輸入のたびに届出を行う(検疫所)」
+
「国内の販売形態に応じて許可または届出を行う(保健所)」
という、2段構えの対応が必要になります。
3.比較
2つの制度を並べて比較してみましょう。
【食品等輸入届出書】
・法律:食品衛生法 第27条
・管轄:厚生労働省の検疫所
・タイミング:輸入のたびに(貨物が届くごとに毎回)
・目的:その食品に添加物や農薬などの問題がないか確認する
・特徴:これを出さないと、税関が輸入を許可してくれない
【営業許可(または営業届出)】
・法律:食品衛生法 第54〜55条
・管轄:都道府県等の保健所
・タイミング:事業を始める前に(一度取れば更新制)
・目的:施設の衛生状態や食中毒リスクを確認する
・特徴:輸入業そのものには、原則として不要
4.よくあるミス・注意点
初心者が特に陥りやすいポイントを挙げます。
【落とし穴①】「輸入業」そのものには営業許可が原則不要
意外に思われるかもしれませんが、常温で保存できる包装食品(お菓子やお茶など)を、そのまま輸入して販売するだけであれば、保健所の営業許可や届出は原則として不要です。
公衆衛生への影響が少ないと判断されるためです。
【落とし穴②】冷蔵・冷凍品や「小分け」は要注意
ただし、次のようなケースでは話が変わります。
▶ 冷凍・冷蔵保管が必要な場合
→ 保健所への「営業届出」が必要です。
▶ 大袋を小分けにして詰め替える場合
→「製造・加工」とみなされ、保健所の「営業許可」が必要になる可能性が高いです。
「輸入するだけ」でも、扱い方によっては許可が必要になる。この点は、事前にしっかり確認しておきましょう。
【落とし穴③】自治体独自のルールがある
国の法律では不要でも、条例で「食品輸入を始める際の届出」を独自に義務付けている自治体もあります(例:滋賀県、茨城県など)。
ご自身の営業所がある地域のルールを、必ず確認してください。
まとめ・次のステップ
いかがでしたでしょうか?
ポイントをまとめると、次の2つです。
【検疫所への対応】
商売目的の輸入なら、どんな食品でも輸入のたびに「食品等輸入届出書」を提出する。
【保健所への対応】
扱う品目の保管温度や、小分け・加工などの国内での取り扱い方によって、許可や届出が必要かどうかを確認する。
この「2段構え」を正しく踏むことが、コンプライアンス(法令遵守)の第一歩です。
「うちのネットショップには、保健所の手続きが必要?」
「常温品のつもりだけど、実際のルールを確認してほしい」
「検疫所と保健所、両方の書類作成をまとめて任せたい」
そんな時は、ぜひ食品輸入の手続きに詳しい行政書士にご相談ください。
当事務所では、輸入届出の代行から、保健所への営業許可申請、HACCP(ハサップ:食品の安全管理の仕組み)に沿った衛生管理計画の作成まで、貴社の輸入ビジネスをトータルでサポートいたします。
正しい制度の理解で、安全でスムーズなビジネスのスタートを実現しましょう!
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