「アメリカへの日本酒輸出のため、FDA登録を進めたい。でも『米国代理人』との契約をどうすればいいの?」
このようなお悩みを持つ日本酒メーカー様は多くいらっしゃいます。
この記事でわかることは、次の3つです。
・なぜFDAのサイトに契約書の「ひな型(見本)」がないのか
・契約のときに必ず決めておくべき「準拠法」とは何か
・米国代理人への報酬を「無償」にしてはいけない理由
実際のご相談事例をもとに、初めての方でもイメージしやすいように解説します。
1.ご相談内容
ある日本酒メーカー様から、こんなご相談をいただきました。
「アメリカ輸出のためにFDA登録を進めたい。米国にいる協力会社の方が、米国代理人を引き受けてくれることになった。
でも、いざ契約しようとしたら、『業務委託契約書』をどう作ればいいのか、報酬はいくらが適切なのか分からず、止まってしまった」
※「米国代理人」とは、FDA(アメリカ食品医薬品局)と日本の輸出者との間で、連絡のやり取りをする窓口担当者のことです。
FDA登録には、この米国代理人を決めることが必須となっています。
2.課題
「アメリカは契約社会だから、政府が用意した契約書のひな型があるはず」
そう思って探しても、FDAの公式サイトには、米国代理人との契約書のひな型は見つかりません。
実は、ひな型は公開されていない(そもそも存在しない)のです。
「自分たちで作って、間違えたらどうしよう」という不安から、話が前に進まなくなってしまいます。
3.対応
私はご相談者様に、まず次のことをご説明しました。
FDAは、米国代理人と輸出者(委託者)との関係を「当事者どうしで決めること」としており、公式なひな型は用意していません。
そこで、FDAのルールをもとに、米国代理人が果たすべき役割(連絡への対応など)と、輸出者側が守るべきことを整理し、私のほうで、業務委託契約書の案(たたき台)を作成しました。
4.結果
作成した契約書の案を、米国代理人の候補者様へ提示していただきました。
「どちらが何を負担するのか」がはっきりしたことで、候補者様も安心してご了承くださいました。
無事に「米国代理人 業務委託契約」を締結し、FDA登録も次のステ ップへ進むことができました。
5.注意点
■ 契約書はどちらの国の法律にする?
契約書を作るときに、もう一つ大事な論点があります。
それは、「この契約は、日本の法律にもとづくのか、アメリカの法律にもとづくのか」という点です。
これを「準拠法」と言います。
今回のケースでは、米国代理人の方は「日本の会社のアメリカ支店」で、支店長も日本人の方でした。
そのため、話し合いのうえ、準拠法は「日本法」とすることにしました。
6.行政書士としての視点
今回は、いわば「日本人と日本人」の契約だったため、準拠法を日本法にすることができました。
しかし、米国代理人がアメリカの会社や、現地の専門業者である場合は、「アメリカの法律にしてほしい」と言われることが多くあります。
FDAがひな型を用意していない以上、準拠法をどちらにするかは、最初に少し手間をかけてでも、しっかり話し合って決めておく必要があります。
ここを決めずに進めてしまうと、後でトラブルが起きたときに、「どちらの国で、どの法律にもとづいて話し合うのか」さえ決まらず、解決が長引いてしまうおそれがあります。
7.食品商社勤務時代の経験から見た注意点
「タダほど高いものはない」
これは、海外との取引でも変わらない真実です。
米国代理人の候補者の中には、「友好の証」として、報酬なしで引き受けてくれる方もいるかもしれません。
しかし、米国代理人は、FDAからの連絡に対して、すぐに対応する責任の重い役割です。
報酬がない場合、「担当者が忙しいから後回しにしよう」となってしまうリスクもあります。
確実に役割を果たしていただくためにも、報酬はきちんとお支払いする(有償にする)ことをおすすめします。
まとめ・次のステップ
いかがでしたでしょうか?
今回のケースでわかったことをまとめます。
・FDAは米国代理人との契約書のひな型を用意していない
・契約書は、FDAのルールにもとづいて自分たちで作る必要がある
・準拠法(日本法かアメリカ法か)は、必ず話し合って決めるべきポイント
・米国代理人への報酬は、有償にすることをおすすめする
「自社の場合、米国代理人との業務委託契約書はどう作ればいいのか」
「契約の内容が今のままで大丈夫か、確認してほしい」
このようなお悩みがあれば、お気軽にお問い合わせください。
当事務所では、FDA登録の手続きから業務委託契約書の作成まで、サポートいたします。
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