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事例記事 食品輸入、天災での出荷不能と契約のリスク管理

  

「海外の仕入先から突然、『工場が火災で半年間出荷できない』と連絡が来た。日本の得意先への納品はどうすればいい……?」

 

輸入ビジネスを長年続けていると、自分たちの努力だけではどうにもならない事態に直面することがあります。

 

特に海外の仕入先に依存している場合、現地の火災や天災は、自社のビジネスを根底から揺るがす深刻な問題になりかねません。

 

このブログでは、予期せぬ事故によって長年築き上げたビジネスを失ってしまった、ある輸入者様の苦渋の事例をご紹介します。

 

【この記事でわかること】

 

・海外工場が「出荷できない」状態になると、日本国内でどんな影響が連鎖するのか

 

・「長年の付き合いだから大丈夫」という油断が招く、契約上の大きなリスク

 

・不測の事態に備えて、輸入者が今すぐ見直すべき「仕入契約書」のポイント

 

最悪の事態を想定し、自社を守るための備えをどう準備すべきか、一緒に考えていきましょう。 

 


1.ご相談内容


 

■ 隣の工場からの「もらい火」で出荷停止

 

今回のご相談者は、特定の海外メーカーからこだわりの食品を長年輸入・販売されていた事業者様です。

 

ある日、そのメーカーから衝撃的なメールが届きました。

 

「隣の工場で火災が発生し、自社工場も大きな被害を受けた(いわゆる"もらい火")。復旧には時間がかかり、少なくとも半年間は商品を一切出荷できない。」

 

ご相談者は、日本国内の有力な販売先と年間の納品契約を結んでいました。

 

「商品が届かない」ということは、その契約を守れないことを意味します。

 

パニック状態のまま、私の元へ駆け込まれました。 

 


2.課題


 

■ 事故は仕方がない。でも、供給責任は残る

 

工場が火災になってしまったこと自体は、輸入者の責任ではありません。

 

しかしビジネスの現場では、次の2つの厳しい課題が突きつけられます。

 

 

【課題①】代わりの工場を探す

 

半年もの間、商品を欠品させるわけにはいきません。

 

同じ品質・仕様で製造できる工場を、世界中から大至急探す必要があります。

 

 

 

【課題②】国内の販売先へ説明に行く

 

「商品が入りません」と言って済む話ではありません。

 

販売先もその商品を当てにして販売計画を立てています。

 

誠心誠意の謝罪と、代替案の提示が求められます。 

 


3.対応


 

■「代わりの調達先探し」と「対面での謝罪」を大至急

 

私はご相談者に対し、以下の2点を直ちに実行するようアドバイスしました。

 

【①サプライヤーへの強力な働きかけ】

 

提携している協力工場がないか、原材料だけでも融通できないか、サプライヤーを通じて徹底的に交渉すること。

 

 

【②国内販売先への迅速な報告】

 

事実を隠さずに伝え、代替品の提案や納品時期の調整、場合によっては一時的な契約解除も含めて、対面で協議すること。

  


4.結果


 

■ 長年のビジネスを失うという悲しい結末

 

残念ながら、今回のケースは最悪の結果となりました。

 

代わりの工場を自力で見つけることができませんでした。

 

また、国内の販売先は「欠品は許されない」という非常に厳しいスタンスでした。

 

結局、販売先は自社の購買力を使って、独自に他のルートから類似品を調達することを決定。

 

 

ご相談者は、長年守り続けてきたその商品のビジネスと、大切なお客様を同時に失ってしまったのです。

 


5.注意点


 

 ■ 一社だけに頼り続けることの危うさ

 

今回の事例から学ぶべき最大の教訓は、「同じ仕入先とだけ長年付き合っていると、万一のときに逃げ道がない」という点です。

 

特に、販売先が強い購買力を持っている場合、彼らは供給が止まるリスクを極端に嫌います。

 

「あなたが届けられないなら、他から買うまでだ」と、あっさり切り替えられてしまうのがビジネスの現実です。

 

逆に言えば、「複数の仕入先を持っている」だけで、リスクは大幅に下がります。

 


6.行政書士としての視点


 

■ 仕入契約書の中身が「スカスカ」だった

 

法務の観点から最も悔やまれるのは、仕入先との契約書の内容です。

 

長年の取引で信頼関係があったため、契約関係がなあなあになっていました。

 

手元にあった仕入契約書には、火災や天災(これを「不可抗力」といいます)が起きた際の対応がほとんど書かれていませんでした。

 

具体的には、

 

・「売主(海外サプライヤー)の責任を免除する」という、サプライヤー側に有利な内容になっていた

 

・そもそも「出荷継続に関する規定」がないに等しかった

 

 

本来であれば、「売主に責任がない場合でも、代替工場での生産協力など、出荷継続のために最大限努力する義務を負う」という内容を契約書に盛り込んでおくべきでした。

 

これが書かれていれば、少なくともサプライヤーへの交渉の根拠になりました。

 


7.食品商社勤務時代の経験から見た注意点


 

■ 契約意識の「風化」を防げ

 

私はかつて食品商社に勤めていましたが、海外サプライヤーと強いパイプを築くには、10年以上の付き合いが必要なこともあります。

 

その長い期間の間に、担当者が昇進したり、別の部署に異動したり、会社を辞めたりと、さまざまな変化が起きます。

 

そうした変化の中で、最初は緊張感を持って結んだ契約書の内容が、お互いの記憶から薄れていくのはよくあることです。

 

「お互い分かっているから大丈夫」という甘えが、いざというときに牙を剥きます。

 

こうした事態を防ぐために、実務上は次のような方法が有効です。

 

「社内の内部監査で必要になった」「コンプライアンス上、最新のフォーマットに更新しなければならない」といった口実を作ってでも、定期的に契約書の内容を見直し、お互いの義務を再確認する機会を設けることが大切です。 

 


まとめ・次のステップ


 

いかがでしたでしょうか?

 

今回の事例は、輸入者にとって最も心が痛むケースの一つです。

 

「ビジネスの安定は、サプライヤーとの長年の付き合いではなく、しっかりとした契約と複数の仕入先によって守られる。」

 

これを肝に銘じていただきたいと思います。

 

まず、皆様の手元にある「主要な仕入先との契約書」を読み直してみてください。

 

・火災や天災が起きた際の対応が、具体的に書かれていますか?

 

・万一のときに備えて、複数の仕入先を検討していますか?

 

 

「今の契約内容で自社は本当に守られているのか不安」

 

「トラブルが起きる前に、契約を見直しておきたい」というお気持ちがある方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

食品の輸入契約や、海外メーカーとのトラブル未然防止についてお困りの際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。 

 

 

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