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事例記事 FDA登録米国代理人への過度な期待が招く展示会の悲劇

 

 「アメリカでの初めての展示会、気合を入れて準備したのにサンプルが届かない!」

 

「中継空港で止まっているらしいけれど、何をすればいいのかわからない……」

 

「頼りにしていた米国代理人にメールをしても、返信が来ない。どうして?」

 

念願のアメリカ進出。その第一歩となる展示会で、このような「物流トラブル」に巻き込まれる企業様は少なくありません。

 

アメリカ向けに食品を輸出するには、FDA(アメリカの食品医薬品局)への施設登録が必要で、その際に「米国代理人(U.S. Agent)」と呼ばれる現地の連絡窓口を指定しなければなりません。

 

この米国代理人の「役割」を誤解したまま展示会に臨んでしまうと、いざという時に初動が遅れ、取り返しのつかない事態を招くことがあります。

 

この記事では、実際に起きた事例をもとに、米国代理人の「本来の役割」と、展示会でサンプルを確実に届けるための実務的な対策を解説します。

 


1.ご相談内容


 

■ 消えた展示会用サンプル

 

ある日本の食品メーカー様から、こんなご相談をいただきました。

 

「アメリカの食品展示会に初出展することになりました。

 

FDA施設登録も済ませ、準備は万全のはずでした。

 

日本のフォワーダー(輸送を手配してくれる業者)のアドバイスに従い、展示会事務局宛ての送り状(インボイス)を作成して、サンプルを航空便で発送しました。

 

しかし、開催日が迫っても荷物が届きません。

 

追跡してみると、アメリカ国内の中継空港で荷物が止まっていて、税関の手続き(通関)が進んでいないことがわかりました。

 

 

あわてて、FDA登録のときに指定した米国代理人に何度も連絡しましたが、一切返信がありません。

 

空港で何が起きているのか、次に何をすればいいのか、途方に暮れています」 

 


2.課題


 

■ 米国代理人への「大きな誤解」

 

この事例で初動を遅らせてしまった最大の原因は、ある「誤解」でした。

 

米国代理人は「アメリカでの困りごとを何でも解決してくれる、万能のサポーター」だ、という誤解です。

 

サンプルの受け取り対応も、売買契約も、物流トラブルの解決も、すべて任せられると思い込んでいると、今回のような事態が起きます。

 

しかし、FDAのルールにおける米国代理人の役割は、あくまで「FDAと日本のメーカーを繋ぐ、連絡の窓口」です。

 

それ以上でも、それ以下でもありません。 

 


3.対応


 

■  まずフォワーダーへ何度でも連絡する

 

物流トラブルが起きたとき、米国代理人に解決を求めても動けません。

 

物流の専門家ではないからです。

 

このケースで取るべき対応は、日本のフォワーダーに対して、アメリカ側の提携業者を通じて状況を徹底的に調べてもらうことでした。

 

荷物が空港で止まる原因のほとんどは、書類の不備や記載ミス、事前に行うべき申告(Prior Noticeといいます)の内容の不一致など、物流上の問題です。

 

ご相談者様には、米国代理人への連絡は一旦脇に置き、フォワーダーへ何度も問い合わせるようアドバイスしました。

 


4.結果


 

■ 最悪のタイミングでの到着

 

残念ながら、結末は厳しいものでした。

 

滞留の原因を特定して手続きを再開させるまでに、時間がかかりすぎてしまったのです。

 

サンプルが展示会事務局に届いたのは、3日間の会期がすべて終わった後でした。

 

展示会場のブースには空の棚が並び、多くのバイヤーとの商談の機会を失うという、まさに最悪の結果となってしまいました。 

 


5.注意点


 

 国際物流は「国際駅伝」である

 

サンプルの空輸をはじめとする物流は、発送を手配する者、実際に運ぶ者、受け取る者と、非常に多くの担当者がバトンを繋いでいきます。

 

いわば「国際駅伝」のようなものです。

 

どこか一区間で、書類の1文字のミスや連絡の行き違いがあれば、そこでバトンは止まり、ゴール(展示会場)までたどり着けません。 

 

アメリカは特に、事前申告の電子的な照合が厳格です。

 

1か所の不備が全体をストップさせることがあります。

 


6.行政書士としての視点


 

■ 米国代理人の業務範囲

 

改めて強調したいのは、「米国代理人の役割は無限ではない」という点です。

 

米国代理人はFDA施設登録において、FDAからの緊急連絡を受けたり、査察のスケジュール調整を担ったりと、重要な役割を果たします。

 

しかし、フォワーダーや物流業者との連絡、通関のサポートは、業務の「範囲外」です。

 

輸出者はこの点を正しく理解したうえで、「物流の問題は物流のプロ(フォワーダー)が窓口」という体制を事前に整えておくことが大切です。

 


7.食品商社勤務時代の経験から見た注意点


 

■ 最低限の保険

 

私はかつて食品商社に勤務し、数多くの展示会出張を経験しました。

 

事前に送ったサンプルが間に合わないという事態は、決して珍しくありません。

 

そこで現場の人間がほぼ必ず行っていた「最低限の保険」があります。

 

それは、展示会出張の際に、機内預け荷物として持っていける最大限の量のサンプルを自分で持ち込むことです。

 

自分が乗るフライトで運ぶ荷物は、自分の到着と同時に手元に届きます。

 

万が一、航空便のサンプルが遅れても、この「手持ちサンプル」があれば、商談の主役を欠く最悪の事態だけは防げます。 

 


まとめ・次のステップ


 

いかがでしたでしょうか?

  

今回の事例から学べる教訓は、「米国代理人に過度な期待をしないこと」です。

 

・米国代理人はFDAとの連絡窓口であり、物流の代行者ではない

 

・物流トラブルは、日本のフォワーダーを介して解決するのが実務の定石

 

・絶対に失敗できない展示会では、サンプルの一部を自分で持っていくのが鉄則

 

 

「自社の米国代理人が、トラブル時にどこまで動いてくれるか不安だ」

 

「展示会前のFDA登録や事前申告を、ミスなく完了させたい」

 

 

こうしたお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

当事務所では、FDA施設登録の申請代行から、2年ごとの更新管理まで、貴社のアメリカ輸出ビジネスを専門家の立場から一貫してサポートしております。

 

せっかくのチャンスを、役割の誤解や手続きの不備で失わないために。

 

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