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実務記事 食品輸出 原産地規則 「日本産」判定3つの基準と実務の罠

 

 海外バイヤーとの商談中、こんなことを言われたことはありませんか?

 

EPAを使って関税を下げたいから、特定原産地証明書を出してほしい」

 

EPA(経済連携協定)とは、日本と特定の国・地域との間で、関税を下げるなどの取り決めをした条約のことです。

 

「工場は日本にあるし、日本で作っているから『日本産』に決まっている。

 

でも、タレの原料には海外産のものも入っている……。これって本当に日本産と言えるのか?」

 

こうした疑問を持つのは、冷凍食品メーカーの販売部長として、ごく自然なことです。

 

万が一、「日本産ではなかった」という判定が後から出れば、バイヤーが差額の関税を追徴され、貴社の信用を大きく損ない、最悪の場合は行政処分を受けるリスクもあります。

 

この記事では、難しい専門用語をできるだけかみ砕いて解説します。

 

読み終えたあと、バイヤーとの交渉に自信を持って臨めるようになることを目指しています。

 

【この記事でわかること】

 

「日本で作れば日本産」とは限らない。EPAならではの「原産地ルール」とは?

 

海外原料を使っていてもOKなケースがある。その判断基準2つとは?

 

商談成立後も続くリスク。証拠書類の「5年間の保管義務」とは?

 


1.結論:「どこで作ったか」ではなく「どう作ったか」


  

■ 結論:「どこで作ったか」ではなく「どう作ったか」が問われる

 

EPA上の「日本産」とは、単に「日本の工場で製造した食品」を意味するわけではありません。

 

「その食品が、EPAの協定で定められたルールをクリアしていること」を証明できたものだけが、「日本産」と認められます。

 

ポイントは、「どこで作ったか」よりも「どう作ったか」です。

 

海外の原料や添加物を使っていても、一定の加工工程を経ていれば「日本産」と認められるケースは十分あります。

 

まずは、その判断基準を一つずつ確認しましょう。

 


2.実務での盲点・現場のホンネ


 

商工会議所のウェブサイトを見ると、「関税分類変更基準(CTC)」「付加価値基準(VA)」といった言葉が並んでいます。

 

読んでいるだけで嫌気がさす方も多いと思います。

 

でも安心してください。

 

現場の実務に落とし込むと、実はそれほど複雑ではありません。

 

 

【判断基準①:「HSコード」が変わったかどうか】

 

HSコード(品目番号)とは、輸出入される商品ごとに国際的に定められた番号のことです。

 

税関の通関手続きや関税率の決定などに使われています。

 

たとえば、輸入した「海外産の調味料」を使って、日本で「冷凍チャーハン」を製造したとします。

 

このとき、原材料(調味料)のHSコードと完成品(冷凍チャーハン)のHSコードが大きく変わっていれば、「日本で実質的な加工が行われた」とみなされます。

 

これが「関税分類変更基準」のしくみです。

 

要するに、「原材料と完成品で番号が変わったなら、日本でちゃんと加工したと認めましょう」という考え方です。

 

 

一方で、「海外産の冷凍野菜」を日本で単に小分けパックしただけでは、HSコードが変わっていても「日本産」とは認められません。

 

これを「不十分な工程」と呼びます。

 

「加工した」とは言えない、軽微な作業にとどまる場合は対象外になります。

 

 

 

【判断基準②:「日本国内で生み出した価値」が一定割合を超えているか】

 

HSコードが変わらないから、うちはダメだ」と諦めるのはまだ早いです。

 

もう一つの基準として「付加価値基準」があります。

 

これは、「製品価格のうち、日本国内で積み上げた価値(加工賃や利益など)が一定の割合(例:40%以上)を占めているかどうか」を確認するものです。

 

「原価をバイヤーに知られたくない」と思う方もいるでしょう。

 

ご安心ください。

 

実務では、原価の詳細をバイヤーに明かす必要はなく、商工会議所に対してのみ根拠資料を提出する形式が一般的です。

 


3.よくあるミス・注意点


 

現場で特に注意が必要なリスクを3点お伝えします。

 

 

【注意点①:HSコードの「番号ズレ」は致命的】

 

日本側で「この番号で日本産と判定できる」と考えていても、輸出先のバイヤーや税関が別のHSコードを適用すれば、その証明書はまったく効力を持ちません。

 

相手国でどのHSコードが適用されるか、事前にバイヤーと確認しておくことが鉄則です。

 

 

 

【注意点②:証拠書類の「5年間の保管義務」を忘れない】

 

特定原産地証明書を発行したら、その根拠となった原材料構成表や製造工程図などの資料を、原則5年間保管する義務があります。

 

輸出から数年後に、相手国の税関から「当時のデータを提出してほしい(事後確認)」という調査が入ることがあります。

 

このとき担当者が交代していて資料が見当たらない、という事態になると、バイヤーが関税の払い戻しを求められ、貴社への損害賠償請求に発展するケースが後を絶ちません。

 

担当者への引き継ぎも含め、社内で保管ルールを整えておきましょう。

 

 

 

【注意点③:EPA(協定)ごとにルールが違う】

 

EPAは一つではありません。

 

たとえば、タイ向け(日タイEPA)とベトナム向け(日ベトナムEPA)では、同じ冷凍食品でも「日本産」と認められるための条件が異なる場合があります。

 

この条件のことを「品目別原産地規則(PSR)」と言います。

 

要するに、「商品ごと・相手国ごとに、日本産かどうかの判断基準が変わる」ということです。

 

「以前タイ向けで大丈夫だったから、ベトナム向けも同じルール」とは限りません。

 

相手国ごとに個別にチェックすることが必要です。

 

 


まとめ・次のステップ


 

いかがでしたでしょうか?

 

EPAを活用した特定原産地証明書の取得は、単なる事務手続きではありません。

 

バイヤーが支払う関税を下げ、自社商品を売り込みやすくする「強力な営業武器」になります。

 

まずは、以下の「ワンステップ」から始めてみてください。

 

・完成品の「HSコード(6桁)」を調べて特定する

 

・全原材料の「HSコード」と「原産国」をリストアップした「原材料構成表(BOM)」を作成する

 

BOMBill of Materials)とは、「製品の製造に使用する原材料・部品をすべて一覧にした表」のことです。

 

原産地判定の根拠資料として必要になります。

 

 

「自社の商品構成が複雑で、自分で判定できるか不安」

 

「商工会議所への申請の手順がわからない」

 

 

そのような場合は、ぜひ専門家である行政書士にご相談ください。

 

食品輸出に特化した行政書士として、品目別規則(PSR)の解析から、判定根拠資料の作成、商工会議所への申請代行まで、一貫してサポートいたします。

 

「日本産」の証明を確実に整え、世界市場への挑戦を着実に進めていきましょう。

 

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