「本店で焼いた自慢のケーキを、同じ市内の別部門でも売りたい。
でも、そこには厨房がない。新しく許可は必要なの?」
こんなお悩み、最近とても多くいただきます。
「同じ会社の中での販売だから、本店の許可だけで大丈夫だろう」
そう思って動いてしまうと、実はとても危険です。
最悪の場合、無許可営業として行政処分の対象になることがあります。
せっかくのビジネスチャンスが、一瞬で台無しになってしまうのです。
この記事を読めば、「何が必要で、何が不要か」がスッキリわかります。
正しい知識で、安全に販路を広げましょう。
【この記事でわかること】
✓ 別の拠点で販売するとき、許可が必要かどうかの判断基準
✓ 「食品の小分け業」という新しい許可の中身と実務
✓ 製造場所と販売場所が離れたときの、食品表示ラベルの正しい書き方
1.結論:小分け作業の有無を確認する
■結論(まず、答えをお伝えします)
別の拠点で「完成品をそのまま売るだけ」なら、原則として保健所への届出で済みます。
しかし、その場所で「ケーキを袋に入れる・箱に詰める」などの作業が発生する場合は、新たに許可(食品の小分け業)が必要になります。
ポイントはここです。
「その場所で、食品に手を加える作業をするかどうか」
これが、許可が必要かどうかの分かれ道です。
2.実務での盲点・現場のホンネ
「同じ会社のスタッフが売るだけなのに、なぜ別の許可がいるの?」
現場でよく聞かれる声です。
気持ちはよくわかります。
でも、実務では次の3つが大きな落とし穴になっています。
落とし穴① 「小分け」という作業の重み
「食品の小分け業」とは何か、まずここを押さえてください。
簡単に言うと、「別の場所で、製品を袋や箱に詰め直す営業」のことです。
たとえば――
・本店でケーキを1つずつフィルムに包んで完成品にしてから別店舗へ運ぶ
→ これはOKです。
・包装していないケーキをそのまま別店舗へ運び、そこで袋に入れたり箱に詰めたりする
→ これは「小分け業の許可」が必要です。
「包んでから運ぶか、運んでから包むか」たったこれだけの違いで、必要な手続きが変わってきます。
落とし穴② 「一施設一許可」の勘違い
最近、「一つの施設でまとめて許可が取れる」というルールが広まっています。
これは本当のことですが、同じ場所での話です。
場所が離れていれば、その拠点ごとに独立した衛生管理が求められます。
「同じ市内だから大丈夫」は通用しません。
場所が違えば、その場所ごとのルールが適用されます。
落とし穴③ 輸送中の温度管理の記録もれ
HACCPとは、食品の安全を守るための管理の仕組みです。
菓子製造業では、すでに全事業者に義務付けられています。
別拠点へ運ぶということは、「輸送」という新しい工程が増えるということ。
つまり、移動中の温度管理の記録が必要になります。
この記録がない状態で食中毒などの事故が起きると、原因の特定ができず、会社全体の信用を傷つける事態になりかねません。
3.よくあるミス・注意点
他拠点への展開を急ぐあまり、現場でよく起きているミスをまとめました。
ミス① 別拠点の「届出」を忘れている
生ケーキやパンなどは、「売るだけ」であっても、
その場所を管轄する保健所への営業届出が必要です。
「本店の許可があるから不要」は誤りです。
このミスは非常に多く見られます。
ミス② 食品衛生責任者の「掛け持ち」
施設ごとに、必ず食品衛生責任者を置かなければなりません。
「社長が全店舗の責任者を兼任する」は、原則認められていません。
各拠点に、現場の衛生を管理する担当者を配置する必要があります。
ミス③ 食品表示ラベルの住所が間違っている
別拠点で販売する場合、ラベルの書き方にもルールがあります。
・「製造者」欄 → 実際に製造した本店の住所
・「販売者」欄 → 販売する別店舗の住所
すべて本店の住所だけで済ませると、食品表示法違反になります。
最悪の場合、商品の回収(リコール)命令が出るリスクもあります。
ミス④ 「小分け」をするのに設備を整えていない
小分け業の許可を取るには、流水式の手洗い設備や洗浄設備など、一定の施設基準を満たす必要があります。
「売るだけだから改修は不要」と判断し、後から保健所に指摘されて工事をやり直すケースが後を絶ちません。
コストの無駄を防ぐためにも、事前の確認が大切です。
ミス⑤ 別店舗での受け入れ記録がない
本店から商品が届いたとき、別店舗では何を確認していますか?
HACCPのルールでは、受け入れ時の温度や個数の確認記録が求められます。
記録がない拠点で事故が起きると、本店の責任まで問われることになります。
まとめ・次のステップ
いかがでしたでしょうか?
自社製造のケーキを別の場所で売る。
シンプルに聞こえるこの一歩にも、「その場所でどんな作業をするのか」を丁寧に確認することが欠かせません。
「今の体制で、本当に法的に問題ないだろうか?」そう感じたら、まずこのワンステップから始めてください。
「別店舗でスタッフが行う作業を、すべて書き出してみる」
この一覧を持って、ぜひ当事務所へご相談ください。
食品営業許可の専門家である行政書士が、あなたのビジネスの内容を詳しくお聞きし、
「許可が必要なケースか、届出で済むケースか」をはっきりお伝えします。
食品表示ラベルの作成や、HACCPの拠点間での運用についても、あわせてサポートいたします。
別拠点での展開や食品営業許可、HACCPの運用でお困りの際は、お気軽に当事務所へお問い合わせください。
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