実務記事 複合型そうざい製造業、5つの壁を突破!

  

「販売先のコンビニから、『複合型そうざい製造業』の許可を取るように言われた。でも、調べれば調べるほど難しそうで……」

 

そうざい製造業を営む経営者のみなさまから、このようなご相談が増えています。

 

コンビニや大手流通との取引は、大きなビジネスチャンスです。

 

でも、そこで求められる「複合型」の許可は、従来のそうざい製造業よりもハードルが一段高く設定されています。

 

HACCPの厳格な運用、見落としやすい「除外食品」のルールなど、実務の急所を押さえていないと、計画が途中で頓挫したり、せっかくの設備投資が無駄になったりするリスクがあります。

 

この記事では、食品営業許可の専門家である行政書士が、複合型そうざい製造業を取得・運用する際に直面する「5つの壁」の正体と、その突破方法をわかりやすく解説します。

 

【この記事でわかること】

 

「高度なHACCP」と小規模事業者向けHACCPの、決定的な違い

 

複合型許可のメリットの裏に潜む「除外食品」の落とし穴

 

冷凍品の製造やリコール報告など、行政の実地検査で厳しくチェックされるポイント 

 


1.結論:HACCPの実行。魚肉練り製品は対象外


 

■ 結論(最初にお伝えします)

 

複合型そうざい製造業は、ひとつの許可で複数の業種をカバーできる、非常に合理的な制度です。

 

ただし、取得・維持するには2つの条件を満たすことが必要です。

 

ひとつは、「HACCPに基づく衛生管理」という、より厳格な衛生管理をきちんと実行すること。

 

もうひとつは、「魚肉練り製品(ちくわ・魚肉ソーセージなど)」は複合型の対象外であることを正確に理解すること。

 

 

この2点を押さえることが、実務上の正解です。

 


2.実務での盲点・現場のホンネ


 

「複合型」と聞くと、「何でも一括で許可が取れて楽になる」というイメージを持たれがちです。

 

でも実際の現場では、次の3つが大きな落とし穴になっています。

 

 

盲点HACCPに基づく衛生管理」の重さ

 

HACCPとは、食品の製造工程で「どこで、どんな危険が起きるか」をあらかじめ分析し、問題を未然に防ぐ衛生管理の仕組みです。

 

現在、すべての食品事業者にHACCPが義務付けられています。

 

ただし、小規模な事業者は「HACCPの考え方を取り入れた、簡略化された管理」で認められています。

 

一方、複合型そうざい製造業の許可を取るには、より厳格な「HACCPに基づく衛生管理」が絶対条件です。

 

これは、コーデックス(国際的な食品安全基準)の7原則に従い、原材料の受け入れから出荷まで、全工程で危険要因を分析し、重要な管理ポイント(CCP)を設定して記録し続ける「フルスペック版」の運用です。

 

「記録の作成・維持だけで、これほど手間がかかるとは思わなかった」というのが、現場の本音です。

 

 

 

盲点 「魚肉練り製品」という高い壁

 

複合型許可を取得すると、菓子製造・麺類製造・水産製品製造などの許可が免除されます。

 

これは大きなメリットです。

 

ただし、「魚肉練り製品」は対象外です。

 

具体的には、ちくわ・魚肉ソーセージ・魚肉ハムなどがこれにあたります。

 

これらは製造工程で特に高度な衛生管理が必要なため、法律で「食品衛生管理者」という国家資格保持者の専任配置が義務付けられています。

 

複合型に一本化することは認められていません。

 

「複合型があれば大丈夫だろう」と思い込んで、練り製品のラインを含めてしまうミスが、実務では頻繁に起きています。

 

 

 

▼ 盲点 「そうざい半製品」の管理

 

「そうざい半製品」とは、まだ調理が完了していない状態の食品のことです。

 

たとえば、衣をつけたけれどまだ揚げていない「生のコロッケ」などがこれにあたります。

 

この半製品もそうざい製造業の対象に含まれることが、法律上明確になっています。

 

コンビニへ配送する実務では、この状態で輸送するときの温度管理や、配送車両の清掃記録なども、HACCPの管理項目として厳格に求められます。

 

 

「作るだけ」ではなく、「運ぶまで」の工程をどう管理するかが、大手取引先との信頼関係を左右します。

 

 


3.よくあるミス・注意点


 

ミス 冷凍品の「上乗せ基準」を見落とす

 

そうざいや菓子の冷凍品を製造する場合、通常の施設基準に加えて追加の要件があります。

 

具体的には、「マイナス15℃以下で管理できる冷凍室・保管室を設けること」「原材料の処理から包装まで、適切に区画された場所で行うこと」などが求められます。

 

「通常の冷蔵設備で十分だろう」と思ったまま保健所に事前相談したところ、要件を満たしていないと指摘されるケースが後を絶ちません。

 

工事前に保健所へ相談することが、遠回りのようで最も確実な近道です。

 

 

 

ミス リコール(自主回収)の報告体制が整っていない

 

法改正により、食品衛生法に違反する製品を回収する場合、事業者は国へリコール情報を報告することが義務になりました。

 

複合型で多品目を扱う場合、異物混入や表示ミスが起きたときに「誰が判断して、どうやって報告するか」という社内フローをあらかじめ決めておく必要があります。

 

報告に使う「食品衛生申請等システム」の操作も含め、担当者が事前に習熟しておくことが不可欠です。

 

これができていないと、取引先からの信頼を大きく損ないます。

 

 

 

ミス 食品衛生責任者の「名ばかり選任」

 

複合型の申請書には、HACCPの取り組み状況を記載する欄があります。

 

形式的に責任者を選任するだけでは、高度なHACCPの記録を維持することはできません。

 

現場の製造リーダーが責任者となり、毎日の記録が正確につけられているかを確認する体制(モニタリングと検証)が、実務では不可欠です。

 

 

 

ミス 「施設基準は全国一律」と過信する

 

法改正により施設基準の全国的な統一が図られましたが、自治体ごとに条例の細かな運用が残っている場合があります。

 

特に複合型のような大規模施設では、工事着工前に保健所との事前相談を欠かすことができません。

 

相談を省いてしまい、多額の修正コストが発生した事例もあります。

 


まとめ・次のステップ


 

いかがでしたでしょうか?

 

複合型そうざい製造業の許可取得は、単なる手続きの統合ではありません。

 

「高度な衛生管理(ソフト面)」と「厳格な施設基準(ハード面)」を両立させた、プロフェッショナルな工場としての証明です。

 

取引先が求めているのは、「複合型」という名前の許可証だけではありません。

 

その許可に裏打ちされた「食の安全を守る組織力」です。

 

 

「高度なHACCPの計画書、自社のラインに合わせてどう作ればいい?」

 

「魚肉練り製品があると、許可はどう変わる?」

 

「冷凍の上乗せ基準を満たすための、最小限の改装を教えてほしい」

 

このようなお悩みをお持ちの経営者さまは、ぜひ当事務所へご相談ください。

 

食品営業許可の専門家である行政書士が、貴社のビジネスモデルに最適な許可取得の戦略と、現場で「使い続けられる」HACCP運用の構築を、全力でサポートいたします。

 

複合型そうざい製造業の許可申請や実務上の課題でお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。 

 

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