よくあるご質問 保育園の給食に許可は必要?

 

「新しく保育園を開設するにあたって、園児や職員に提供する給食施設を作りたい。でも、保護者から食費をいただく以上、保健所に『飲食店』と同じような営業許可を取る必要があるの?」

 

 

認可保育園の立ち上げ準備を進める経営者や施設長の方から、このようなご相談をよくいただきます。 

 

給食は園児の健やかな成長を支える要(かなめ)です。 

 

しかし、手続きを間違えると、監査や認可申請のスケジュールに大きな影響が出てしまいます。 

 

特に2021年の法改正以降、給食施設の扱いは大きく変わりました。 

 

この記事を読むことで、自分たちの施設に「許可」が必要なのか、「届出」で済むのかが、はっきりわかります。 

 

正しい手続きを知って、安心してお子様を迎え入れる準備を整えましょう。 

 

【この記事でわかること】

 

保育園の給食施設が「営業許可」ではなく「届出」で済む条件

 

調理を外部業者に任せる(委託する)場合に絶対注意すべき許可の落とし穴

 

小規模な給食施設でも避けて通れない「HACCP(ハサップ)」義務化への対応

 


1.結論:許可は不要。届出でよい。


 

 ■ 結論(まずは答えから)

 

保育園が自ら(直営で)給食を調理し、園児や職員にだけ提供する場合は、「飲食店営業」の許可は原則として不要です。

 

ただし、次の2つは必須です。

 

・保健所への「集団給食施設の届出」

 

・「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理」の実施

 

HACCP(ハサップ)」とは、食中毒などのリスクをあらかじめ想定し、調理の各工程で記録をつけながら安全を管理する方法のことです。

 

2021年から、給食施設を含むすべての食品を扱う施設に義務化されました。

 

また、調理業務を外部の業者に丸ごと委託する場合は、その業者が「飲食店営業」の許可を取得しなければなりません。

 


2.概要・手続きの流れ


 

 ■ 概要(なぜ「許可」が不要なの?)

 

「食費を取っているのに、『営業』にならないの?」と疑問に思われるかもしれません。

 

食品衛生法の考え方では、保育園・学校・病院など、特定の人たちを対象に継続的に食事を提供する施設は「集団給食施設」に分類されます。

 

要するに、「不特定多数のお客さんに食事を売る一般の飲食店」とは、別の扱いになる、ということです。

 

このため、園が直接運営している場合は、厳しい施設基準を伴う「許可」ではなく、「届出」の対象となります。

 

 

ただし、「調理業務を外部に委託する場合」は注意が必要です。

 

調理を外部の事業者に任せる場合、その事業者は「飲食店営業」の許可を取得する義務があります。

 

施設側(保育園)は、別途「集団給食施設の届出」を行う必要があります。

 

また、規模についてもルールがあります。

 

1回あたりの提供食数が20食程度未満の、ごく小規模な施設であれば、届出や衛生管理計画の作成が不要となる例外もあります。

 

しかし、通常の認可保育園の規模であれば、届出が必要になると考えておきましょう。

 

 

 

■ 手続きの流れ

 

給食施設を稼働させるまでの一般的な流れは、次の通りです。

 

ステップ1:保健所への事前相談

 

認可申請の図面を作成する段階で、必ず管轄の保健所に相談に行きましょう。

「直営か委託か」「何食提供するか」を伝えると、必要な手続きを確認できます。

 

 

 

ステップ2:書類の提出(届出または許可申請)

 

直営の場合

給食開始前に「集団給食施設の届出書」を提出します。

 

委託の場合

委託業者が「飲食店営業」の許可申請を出し、園側は「届出」を行います。

 

最近では「食品衛生申請等システム」を使ったオンライン手続きも可能です。

 

 

 

ステップ3:食品衛生責任者の選任

 

「食品衛生責任者」とは、施設の衛生管理に責任を持つ担当者のことです。

 

施設ごとに1名、必ず置かなければなりません。

 

許可・届出どちらの場合も必要です。

 

栄養士や調理師の資格を持つ方がいれば、その方が就任できます。

 

 

 

ステップ4:衛生管理計画(HACCP)の作成と運用

 

20216月から、すべての集団給食施設において、HACCPに沿った衛生管理が義務化されました。

 

具体的には、毎日の冷蔵庫の温度確認や、調理工程の記録をつけることが求められます。

 

 


3.よくあるミス・注意点


 

■ よくあるミス・注意点

 

① 委託業者の「許可」確認漏れ

 

「調理は業者に任せているから安心」と思い込み、業者が「飲食店営業許可」を取得しているかどうか確認を怠るケースがあります。

 

無許可の業者に調理をさせていると、施設側の管理責任が問われます。

 

契約前に必ず確認しましょう。

 

 

 

② 「HACCPの記録」を後回しにする

 

「届出施設」であっても、衛生管理の記録をつける義務は「許可施設」と同じです。

 

保健所の立入検査や認可の監査のときに記録がないと、厳しい指導の対象となります。

 

開設当初から記録の習慣をつけておくことが大切です。

 

 

 

③ 施設の設備に関する勘違い

 

「届出だけでいいなら、家庭用のキッチンでもいい?」と誤解されることがありますが、集団給食施設として適切な衛生管理ができる構造が求められます。

 

後から改修をすると多額の費用がかかります。事前相談の段階で確認しておきましょう。

 

 

 

④ 食品衛生責任者の設置忘れ

 

「保育園に栄養士がいるから大丈夫」と思っていても、その方が「食品衛生責任者」として正式に登録・設置されていなければ、手続き上の不備となります。

 

資格があっても、手続きを完了していないと意味がありません。届出と同時に確認しましょう。

 


まとめ


 

いかがでしたでしょうか?

 

保育園の給食施設の手続きで最大のポイントは、「誰が調理をするのか(直営か委託か)」によって、必要な手続きが変わるという点です。

 

直営なら 届出+HACCP対応

 

委託なら 業者の許可取得+園側の届出+HACCP対応

 

 

「うちの園の規模なら、どの手引書を使ってHACCPを始めればいい?」

 

「委託業者との衛生管理の役割分担を、どう書類にまとめればいい?」

 

こうした複雑な手続きや、保健所への対応に不安を感じていらっしゃるなら、ぜひ一度当事務所へご相談ください。

 

食品行政に詳しい行政書士が、園児たちが毎日安心して給食を食べられるよう、法的・事務的な側面から全力でサポートいたします。

 

保育園の給食施設の手続きやHACCP対応でお困りの場合は、お気軽にお問い合わせください。

 

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