「自社で新しく健康食品の輸入を始めることになった。でも、原材料の中に日本の法律で『医薬品』に該当するものが入っていないか、とても心配だ……」
初めて健康食品(サプリメント等)の輸入プロジェクトを任された、食品メーカーの購買部長様、こんにちは。
食品輸入の法務手続きを専門にサポートしている行政書士です。
健康食品やサプリメントの輸入は、食品メーカーにとって付加価値の高い、魅力的なビジネスです。
しかし一方で、「食薬区分(しょくやくくぶん)」という、非常に高くて複雑な壁が存在します。
食薬区分とは、ひと言でいうと「これは食品か、それとも医薬品か」を決めるルールのことです。
もし医薬品成分が含まれていると知らずに輸入しようとすれば、港で貨物が差し止めになります。
最悪の場合は全量廃棄という、大きな損失を被ることになります。
「面倒だから」と後回しにできない、極めて重要な確認事項です。
このブログを読むことで、「医薬品に該当するかどうか」を効率的に、かつ確実に調査する方法がわかります。
法令違反のリスクを回避し、自信を持って新商品のラインナップを増やせるようになります。
まずは、この記事のポイントを確認しましょう。
【この記事でわかること】
✓ 日本独自のルール「食薬区分」と、医薬品成分が含まれる食品の扱い
✓ 都道府県の薬務担当部署を活用した、確実な「非該当」の確認方法
✓ 万が一「医薬品」と判定された場合の手続きと、輸入の現実
正しい手順を知り、購買部長としてのリスク管理を鉄壁なものにしていきましょう。
1.結論:輸入前の調査と相談が最重要
■ 結論|まず、答えをお伝えします
健康食品の原材料に、日本の法律(医薬品医療機器等法)で「医薬品」とみなされる成分が一つでも含まれていた場合、それを「食品」として輸入することは一切できません。
要するに、「この成分は海外ではサプリだから大丈夫」は通用しない、ということです。
この場合、食品の輸入届出を行う以前の問題として、医薬品としての承認や許可が必要になります。
食品メーカーとしての通常の輸入ルートは、閉ざされてしまいます。
そのため、輸入契約を締結する「前」に、原材料が「食品として認められるもの」かどうかを100%確定させることが、プロジェクト成功の絶対条件です。
2.概要・手続きの流れ
■ 概要|日本の「食品と医薬品の境界線」とは?
日本のルールでは、口から摂取するものを「医薬品(医薬部外品を含む)」と「食品」の2つに、厳格に区分しています。
1. 食薬区分とは
厚生労働省の通知をもとに、次の4つの観点から「医薬品か食品か」を判断します。
・成分(何が入っているか)
・効能(どんな効果をうたっているか)
・形状(錠剤・カプセルなど、見た目が薬っぽいか)
・標ぼう(パッケージや広告の表現)
海外では一般的なサプリとして販売されているハーブや植物抽出物であっても、日本では「医薬品専用成分」に指定されているケースが多くあります。
「海外でOKだから日本でもOK」とはならないのが、この分野の難しいところです。
2. 食品として扱えないケース
以下のいずれかに該当すると、「無承認無許可医薬品(むしょうにん・むきょか いやくひん)」、つまり「勝手に売ってはいけない医薬品もどき」とみなされ、行政の指導や取締りの対象になります。
【成分】医薬品のリストに載っている成分を使っている
【効能効果】「がんが治る」「血圧を下げる」など、病気への効果を主張している
購買部長様が最も注意すべきは、この「成分そのもの」が該当するかどうかです。
■ 手続きの流れ|原材料を確認する3つのステップ
原材料が医薬品に該当しないことを確かめ、安全に輸入するための具体的な手順です。
ステップ1:海外サプライヤーから詳細資料を入手する
まず、海外のメーカーに対して、以下の詳細なスペックシート(成分仕様書)を要求してください。
・原材料の名称:
英語名だけでなく、正確な「学名(ラテン名)」が必要です。学名とは、世界共通で使われる植物や生物の正式名称のことです。
・使用部位:
同じ植物でも、「葉」は食品OKでも「根」や「茎」は医薬品NGという場合があります。
・抽出・製造方法:
どのように加工されたものかを確認します。
ステップ2:都道府県の「薬務担当部署」へ事前相談する
薬務担当部署とは、都道府県ごとに設置されている、医薬品や食品の安全を管理する行政窓口のことです。
資料が揃ったら、自社の事業所を管轄する都道府県の薬務担当部署に連絡します。
「この原材料(学名・使用部位)を使った製品を、食品として輸入したい。
医薬品成分に該当しないか確認したい」と相談してください。
窓口では、過去の判断事例や最新のリストに照らし合わせて、該当するかどうかを判定してもらえます。
無料で相談できる公的な窓口なので、ぜひ積極的に活用してください。
ステップ3:確認内容を「お守り」として記録に残す
薬務課から「食品として扱って差し支えない(非該当)」という回答を得たら、必ず以下の内容を記録し、社内で保管してください。
・確認した日時・窓口・担当者名
・提示した資料と、得られた回答の要旨
輸入通関の際、税関や地方厚生局から「これは医薬品ではないか?」と疑義を持たれることがあります。
このとき、この記録が「事前に公的機関で確認済みである」という強力な証明(お守り)になります。
3.よくあるミス・注意点
■ よくあるミス・注意点|これをやると差し止めになります
購買部門が陥りやすいトラブルをまとめました。
・「海外でサプリだから大丈夫」という過信
アメリカやヨーロッパの基準でOKでも、日本の食薬区分ではNGという成分は非常に多いです。
海外メーカーの「サプリメントだ」という言葉を鵜呑みにせず、必ず日本の法律で再チェックしてください。
・「学名」の確認を怠る
一般的な呼び名(通称)だけでは、薬務課は正確な判定ができません。
植物の場合、似た名前でも学名(種類)が違えば規制が変わります。
「なんとなく同じ植物っぽい」という判断は禁物です。
・「効能」をうたってしまう
成分自体は食品OKでも、パッケージやWebサイトで「〇〇病の予防に」などと記載した瞬間に、その製品は法律上「医薬品」とみなされます。
成分がセーフでも、表現でアウトになるケースがあるので注意してください。
・最新の改正情報を見落とす
食薬区分は随時見直されており、それまで食品扱いだったものが医薬品リストに入ることもあります。
「以前確認したからOK」ではなく、常に最新の情報を確認する習慣をつけてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
健康食品の輸入において、「医薬品該当性(いやくひん がいとうせい)」の確認は、最も手間がかかります。
しかし同時に、最も重要な「守り」の業務でもあります。
・学名と使用部位を特定し、詳細な資料を揃える
・都道府県の薬務課に事前相談し、公的な見解を得る
・「非該当」の証拠をしっかり記録して通関に備える
この手順を徹底すれば、「他の法令による面倒な規制」や「輸入トラブル」の大部分を、未然に防ぐことができます。
「取り寄せた英文資料が不十分で、薬務課にうまく説明できない」
「複数の原材料が入っており、一つ一つ調べる時間がない」
「複雑な食薬区分の判断を、プロに任せて確証を得たい」
そんな時は、ぜひ食品輸入の法務に精通した行政書士にご相談ください。
当事務所では、輸入前の原材料チェックから薬務部署への確認代行、そして検疫所への輸入届出まで、貴社の新しいチャレンジをトータルでサポートいたします。
安全な原材料調達こそが、貴社のブランド価値を高め、持続可能なビジネスを支えます。
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貴社の健康食品ビジネスが、安全かつスムーズに成功することを心より応援しております!
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