食品業界の経営者の皆様、こんにちは。
食品補助金の申請から受給まで、実務を専門にサポートしている行政書士です。
これまで補助金の全体像を解説してきましたが、個別相談で最も多くいただくのが「この支払いは補助金の対象になるのか?」という経費に関するご質問です。
機械を買う、人を雇う、専門家に頼む、税金を払う……。
経営においてお金の使い道は多岐にわたります。
しかし、補助金には「国が認める使い道」と「認めない使い道」の厳格なルールがあります。
これを知らずに資金計画を立てると、後から「補助金が1円も出ない」という最悪の事態になりかねません。
この記事では、公募要領の難しい言葉をかみ砕いて、対象経費の判断基準をわかりやすく解説します。
【この記事でわかること】
✓ 補助金対象の合言葉は「直接・明確・期間内」であること
✓ 機械導入や販路開拓で「対象になるもの・ならないもの」の具体例
✓ 税金、借入金、パソコンなど、多くの経営者が勘違いしやすい「対象外経費」
1.結論:補助金事業のためだけに使ったお金
■ まず結論からお伝えします
補助金の対象経費を一言でいえば、こういう経費です。
「その事業(投資計画)を達成するために直接必要であり、他の経費と明確に区別でき、かつ決められた期間内に支払いが完了する経費」
要するに、「この補助金を使った事業のためだけに発生した支出」だけが認められるということです。
逆に、「補助金がなくても会社として通常発生する経費」や「税金・借入金の返済」は、どんなに事業に関連していても一切対象になりません。
2.対象、対象外の一覧表・手続きの流れ
■対象・対象外の一覧表
食品補助金(省力化投資や酒類振興など)において、共通して適用される「経費の○と×」を整理しました。
【対象になるもの(○)】
基本的には、新しい取り組みのために「わざわざ支出する経費」が中心です。
▼ 機械装置・設備費
AI・ロボット、自動包装機、醸造用タンク、冷蔵設備など。
▼ システム構築費
製造工程を管理するソフトウェア、ECサイトの構築、受注管理システムなど。
▼ 広報・広告費
新商品のパンフレット作成、動画制作、SNS広告、展示会への出展費用など。
▼ 専門家への謝金・委託費
コンサルタント費用、検査・分析の依頼、デザインの外注費など。
▼ 原材料費
試作品の開発に直接必要な材料(使い切るものが原則)。
【対象にならないもの(×)】
「会社の運営にもともと必要なもの」や「補助事業以外でも使えるもの」は対象外です。
▼ 汎用的な備品
パソコン、タブレット、スマートフォン、プリンターなど。
→ 補助事業以外(事務作業など)でも使えるため、原則として対象外です。
▼ 不動産・建物
土地の取得費、一般的な工場の建設費用。
→ HACCP対応など特殊な改修を除き、多くの場合で対象外です。
▼ 公租公課(税金)
消費税、地方消費税、印紙代など。
→「公租公課」とは、国や自治体に納める税金や手数料のことです。これらは対象になりません。
▼ 金融費用
銀行借入の利息、振込手数料、遅延損害金など。
▼ 恒常的な人件費
自社の従業員の給与。
→「恒常的」とは「もともと毎月かかっている」という意味です。通常の補助金では対象外です。
▼ 運営費・消耗品
事務所の家賃、水道光熱費、電話代、文房具(鉛筆・トナーなど)。
■ 手続きの流れ:経費を認めてもらうまで
どんなに正しい経費でも、手続きを間違えると対象外になります。
【STEP 1】積算(見積)
申請前に必ず2社以上(発注金額が10万円以上の場合など)から相見積もりを取り、適正な価格であることを証明します。
→「相見積もり」とは、複数の業者から見積もりを取って比較することです。
【STEP 2】交付決定の確認
事務局から「交付決定」の通知が届く前に発注・購入したものは、1円も対象になりません。
→ 必ずこの通知を受け取ってから動き始めましょう。
【STEP 3】発注・支払い
銀行振込を原則とし、通帳に記録を残します。
現金払いは認められないケースが多いので注意してください。
【STEP 4】証憑の整理
見積書・注文書・納品書・請求書・振込受領書をセットで保管します。
→「証憑(しょうひょう)」とは、お金の動きを証明する書類のことです。
【STEP 5】実績報告
事業が終わったら、これら全ての書類を提出して検査を受けます。
3.よくあるミス・注意点
現場でよく起きてしまうミスをご紹介します。
▼「セット価格」の落とし穴
機械本体(対象)と保守費用(対象外)を合算した請求書はNGです。
必ず内訳を分けて、補助対象になる部分だけを明確にしましょう。
▼「ポイント支払い」や「相殺」
クレジットカードのポイントで支払ったり、売掛金と相殺したりすると、「実際にいくら払ったか」が証明できないため対象外となります。
▼「区分経理」の忘れ
補助金の経理を、会社の通常の経理と混ぜてはいけません。
補助金専用の帳簿を別に作り、他の取引と完全に分けて管理する必要があります。
→「区分経理(くぶんけいり)」とは、補助金にかかるお金の出入りを、会社の通常の経理とは別に記録・管理することです。
▼「中古品」の購入
原則として中古品は認められないか、認められても非常に厳しい価格証明(鑑定など)が必要になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
補助金の経費判定は、「これは会社の資産になるから対象だろう」という経営者感覚とは少し異なる、「公金の使い道としての厳格さ」が求められます。
「うちのこの見積書の内容で通るかな?」
「これは委託費になるのか、それとも外注費なのか?」
といった判断に迷われたら、ぜひ一度ご相談ください。
食品・酒類業界に特化した行政書士として、最新の公募要領に基づき、採択されるための「正しい経費計画」の作成をサポートいたします。
正しいルールで、貴社の「攻めの投資」を確実なものにしていきましょう。
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