「海外から食品を輸入してビジネスを始めたい!でも、飲食店みたいに保健所の『営業許可』を取らないといけないのかな?」
新しいビジネスに挑戦しようとする際、多くの方が最初に突き当たるのがこの疑問です。
実は、食品輸入の世界では「輸入すること」と「国内で販売・加工すること」で、必要な手続きが全く異なります。
ここを混同したまま進めてしまうと、せっかく商品を輸入しても国内で販売できなかったり、最悪の場合は法令違反に問われたりするリスクがあります。
このブログを読むことで、あなたが輸入しようとしている食品や販売形態において、保健所の手続きが必要かどうかを一目で判断できるようになります。
無駄な時間やコストをかけず、最短ルートでビジネスをスタートさせるために、ぜひ最後までお読みください。
まずは、この記事のポイントを確認しましょう。
【この記事でわかること】
✔ 「輸入業」そのものには営業許可が原則不要である理由
✔ 輸入した後の「販売・保管」で届出や許可が必要になる具体的なケース
✔ 許可とは別に、輸入の都度かならず発生する「輸入届出」の義務
それでは、詳しく解説していきます。
1.結論:輸入業そのものなら原則不要
■ 結論(最初にお伝えします)
食品の「輸入業」そのものを行うだけなら、保健所の「営業許可」や「営業届出」は原則として不要です。
食品衛生法という法律のうえでは、輸入業は「公衆衛生(みんなの健康)に与える影響が少ない営業」とみなされており、届出の対象外に分類されているからです。
ただし注意点があります。
「輸入した後に、国内でどう扱うか」によっては、保健所への届出や許可が必須になるケースがあります。
この点を正しく理解することが、食品輸入ビジネスの大事なスタート地点です。
2.概要・手続きの流れ
■ 概要(保健所の手続きは3つに分かれています)
2021年6月から、食品を扱うすべての事業者に「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理」が義務化されました。
HACCPとは、食中毒などのリスクを事前に防ぐための衛生管理の仕組みのことです。
要するに「食品を安全に扱うためのルールを文書化して実施しましょう」という制度です。
この義務化にあわせて、保健所への営業規制も見直されました。
現在は、以下の3つの区分に整理されています。
▼ 1. 営業許可が必要な業種(32業種)
食中毒のリスクが比較的高い業種が対象です。
製造業・調理業・加工を伴う販売業など、32業種が指定されています。
施設の基準を満たしたうえで、保健所から許可を受ける必要があります。
具体例:輸入した原材料を自社工場で加工して販売する場合など。
▼ 2. 営業届出が必要な業種
「許可」までは不要ですが、保健所が事業者の情報を把握しておく必要がある業種です。
具体例:冷凍・冷蔵が必要な食品の販売、野菜・果物の販売、コーヒーの製造・加工など。
▼ 3. 届出も許可も不要な業種(届出対象外)
公衆衛生への影響が少ないとされる営業が対象です。
・食品・添加物の輸入業
・常温で保存できる包装食品(菓子・清涼飲料水・茶類など)の販売業
・食品・添加物の運搬・貯蔵業(冷凍・冷蔵業を除く)
つまり、「常温の袋入りクッキーを輸入して、そのまま転売するだけ」であれば、保健所への営業許可や届出は不要ということになります。
■ 手続きの流れ(4つのステップ)
輸入ビジネスをスタートさせる際の確認フローを、順番にご説明します。
▼ ステップ1:取扱商品と販売形態を整理する
まず、以下の点を自分なりに整理しましょう。
・輸入する食品の保存方法は?(常温・冷蔵・冷凍)
・国内で小分けや加工をするか?
・自社倉庫で保管するか?
この整理ができると、保健所への相談がスムーズになります。
▼ ステップ2:保健所に事前相談する
営業施設の所在地を管轄する保健所に相談しましょう。
「この商品をこのように扱いたいのですが、許可や届出は必要ですか?」と具体的に聞くことが大切です。
もし許可や届出が必要な場合は、「食品衛生申請等システム」というオンラインサービスから手続きを行います。
▼ ステップ3:酒類を扱う場合は税務署へ
販売目的でお酒(アルコール分1度以上)を輸入する場合は、保健所ではなく税務署で「酒類販売業免許」を取得する必要があります。
保健所とは窓口が異なる点に注意してください。
▼ ステップ4:検疫所への「食品等輸入届出」(※とても重要)
保健所の許可・届出の有無に関わらず、販売・営業目的で食品を輸入するたびに、厚生労働省の検疫所へ「食品等輸入届出書」を提出する義務があります。
これを忘れると、税関での輸入許可が下りず、国内で販売することもできません。
「保健所の手続きが不要だから、何もしなくていい」とは違います。輸入のたびに必ず必要な手続きであることを、必ず覚えておいてください。
3.よくあるミス・注意点
初心者が陥りやすい落とし穴を4つまとめました。
▼ ① 自治体独自の条例を見落とす
食品衛生法では届出不要でも、都道府県や市区町村の条例で独自の届出を義務づけている自治体もあります。
事務所や倉庫の所在地を管轄する保健所に、かならず確認するようにしましょう。
▼ ② 「冷蔵食品」を常温と同じ感覚で扱ってしまう
常温保存できる包装食品の販売なら届出は不要ですが、冷凍・冷蔵が必要な食品の販売や保管を行う場合は、保健所への「営業届出」が必要になります。
保存方法のちがいで手続きが変わる点に注意してください。
▼ ③ サンプル配布を「営業ではない」と思い込む
「無料で配るサンプルだから大丈夫」と考える方は多いのですが、不特定多数の方に無料で配るサンプルであっても、法律上は「販売」に準じた扱いとなります。
このため、検疫所への「食品等輸入届出」が必要です。
▼ ④ 「小分け」が加工とみなされることを知らない
輸入した大袋のスパイスを、日本で小さな袋に詰め替える行為は「加工・製造」に該当する可能性があります。
この場合、保健所の許可や届出が必要になるケースが高いため、事前の確認が欠かせません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「食品輸入に営業許可は必要か?」という問いへの答えは、次のひとことに集約されます。
「輸入業そのものは不要。ただし、国内での取り扱い方法(温度管理や加工の有無)によっては、届出や許可が必要になる。」
ご自身のケースがどの区分に該当するのかを正確に把握することが、安全なビジネスの第一歩です。
「自分が扱う食品が、32の許可業種に入っているかどうかわからない」
「ネット通販で直接消費者に届けたいけれど、倉庫の届出は必要?」
「HACCPの管理計画をどう作ればいいのか教えてほしい」
そんな不安を感じたら、ぜひ専門家である行政書士にご相談ください。
当事務所では、保健所への営業許可申請・届出のサポートはもちろん、輸入のたびに必要になる「食品等輸入届出」の代行まで、トータルでお手伝いいたします。
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