「豆腐店を開業したいけれど、製造過程で大量に出る『おから』を捨てるのはもったいない。おからを使って『卯の花』や『おからのペースト』も作って売りたい。でも、そうなると『豆腐製造業』の許可のほかに、『そうざい製造業』の許可も別に取らなきゃいけないの?」
豆腐づくりを志す経営者の方から、このような切実なご相談をよくいただきます。
豆腐をつくるとき、「おから」は必ず出てきます。
これを捨てずに活かして新しい商品を生み出すことは、経営を安定させるだけでなく、食材を無駄にしない素晴らしい取り組みです。
ただ、許可が複数必要になれば、保健所への申請手数料も増えます。
調理場のシンクの数など、設備の追加工事が求められることもあるかもしれません。
この記事では、最新のルールに基づいた「賢い許可の取り方」をわかりやすくご説明します。
無駄なコストをかけずに、豆腐もおからの惣菜も同じ施設でスムーズに製造・販売できるよう、準備の整え方をお伝えします。
【この記事でわかること】
✔ 「豆腐製造業」の許可ひとつで、おからの惣菜やペーストまで作れる理由
✔ 法改正で変わった「一施設一許可」という柔軟なルールのメリット
✔ おから商品を販売する際に、保健所からチェックされる「主原料」のポイント
1.結論:一施設一許可は柔軟なルール
■結論
豆腐を製造する施設であれば、おからを主原料とした「卯の花」や「おからペースト」を製造・販売するにあたって、別途「そうざい製造業」の許可を取る必要はありません。
現在の「豆腐製造業」の許可には、豆腐そのものだけでなく、製造過程で出る副産物(おからなど)を主原料とした食品の製造も含まれているからです。
2.概要・手続きの流れ
■概要
なぜ豆腐の許可だけで惣菜まで作れるの?
それは、2021年の食品衛生法改正によって、「一施設一許可」という考え方が導入されたからです。
要するに、「一つの施設でメインの許可を一本取れば、関連する食品もまとめて製造・販売できる」というルールです。
以前は、作る食品の種類ごとに許可を細かく分ける必要があり、豆腐屋さんが惣菜を売るには複数の許可が必要なケースもありました。
しかし現在は、事業の実態に最も近い「主たる許可」を一つ取れば、付随する食品の製造・販売も柔軟に認められるようになっています。
「豆腐製造業」の定義を見てみると、次のように定められています。
「豆腐を製造する営業、又は豆腐と併せて豆腐若しくは豆腐の製造に伴う副産物を主原料とする食品を製造する営業」
ここでいう「副産物」こそが、皆さんが大切にしたい「おから」です。
厚生労働省の公式見解(Q&A)でも、豆腐製造施設で「卯の花」を製造する場合、そうざい製造業の許可は不要であると明示されています。
おからのペーストについても、豆腐の副産物を使ったものであれば、同じ理由で「豆腐製造業」の範囲内として認められます。
■手続きの流れ
豆腐とおからの加工品を一施設で製造・販売するための手続きは、次の4ステップで進めます。
ステップ1:保健所への事前相談
改装工事を始める前に、管轄の保健所へ相談に行きます。
「豆腐をつくる際に出るおからを使って、卯の花やおからペーストも同じ場所で作りたい」と明確に伝えましょう。
これにより、豆腐製造業の許可一本で進められることを事前に確認できます。
ステップ2:施設基準に沿った設備づくり
豆腐製造業の許可を得るには、「共通基準」と「個別基準」の両方を満たす施設にする必要があります。
共通基準とは、すべての食品営業許可に共通して求められる基準のことです。
手洗い設備・シンク・換気・区画などが対象になります。
個別基準とは、豆腐製造に特有の基準のことです。
殺菌や冷却のための設備(チラー水など)、豆腐を主原料とする食品を作るために必要な乾燥・油調設備などが対象になります。
ステップ3:営業許可の申請
施設の図面や食品衛生責任者の資格証明書を添えて、保健所に申請書を提出します。
最近では「食品衛生申請等システム」を使ったオンライン申請も可能です。
ステップ4:HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理
HACCP(ハサップ)とは、食品の安全を守るために「どの工程で何に気をつけるか」を計画・記録する衛生管理の仕組みです。
現在はすべての食品事業者に義務付けられています。
許可取得と並行して、日々の衛生管理計画を作成します。
豆腐製造については、業界団体が作成した「豆腐類製造事業者向け(豆腐・豆乳・オカラ編)」という専門の手引書があります。
この手引書を使えば、豆腐とおから商品の両方の管理ポイントを網羅した計画を作りやすくなります。
3.よくあるミス・注意点
開業後にトラブルにならないよう、4つのポイントを確認しておきましょう。
① 「おから」以外の材料がメインになっていませんか?
豆腐製造業の許可で認められるのは、あくまで「おから(副産物)」が主原料である食品です。
たとえば、おからを少し入れただけの肉メインのハンバーグを大量に作る場合は、「そうざい製造業」が必要と判断される可能性があります。
何が「主原料」といえるのか、レシピの段階で専門家に確認しておくことをお勧めします。
② 長期保存(レトルト等)にする場合は別の許可が必要
おからペーストを瓶詰めやレトルトパックにして「常温で長期間保存できる」状態で販売する場合は、「密封包装食品製造業」という別の許可が必要になる可能性が高いです。
販売スタイルや保存方法によってルールが変わるため、注意が必要です。
③ 食品表示ラベルの作成を忘れずに
おからの惣菜やペーストを容器に入れて販売する場合、原材料名・アレルギー情報・消費期限などを正しく表示したラベルを貼る義務があります。
おからは「大豆」を原料とするため、アレルギー表示は必須です。
④ 衛生管理の記録を付け忘れない
HACCPの義務化により、毎日の冷蔵庫の温度確認や設備の洗浄記録は「付けていて当たり前」のものとなっています。
おからの加工品は水分が多く傷みやすい食品です。管理記録は、いざというときにお店を守る大切な証拠になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「おからを捨てずに、おいしい商品に変えてお客様に届けたい」。
その想いは、今の食品衛生法のルールでもしっかりと後押しされています。
「豆腐製造業」というひとつの許可で、豆腐もおからの加工品も、自信を持って製造・販売することができます。
資源を大切にする豆腐店は、これからの時代、地域からきっと愛されるはずです。
「おからを使ったこの商品は豆腐の許可だけで大丈夫かな?」
「HACCPの計画書におからの工程をどう組み込めばいい?」
そんな具体的な不安がある方は、ぜひ当事務所へご相談ください。
食品営業許可の専門家である行政書士が、あなたの想いを形にするための最短ルートをアドバイスいたします。
食品営業許可やおからの有効活用でお困りの場合は、お気軽にお問い合わせください。
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