「アメリカへの日本酒輸出が順調に伸びている。この調子で販路を広げたい!」
「でも、米国代理人から『FDA登録の更新』が必要だと言われた。自動更新じゃないのか?」
「社内に英語ができる人間もいない。もし更新を忘れて輸出が止まったらどうしよう……」
日本の酒蔵の経営者として、今まさにこのような不安を感じていらっしゃいませんか?
アメリカ市場へ輸出を続けるためには、FDA(連邦食品医薬品局=アメリカの食品・医薬品を管理する政府機関)への施設登録が必要です。
この登録は、いわば「アメリカ市場に入るためのパスポート」です。
そして、このパスポートには「自動更新」という仕組みは存在しません。
2年に一度、決められた期間内に、自ら「更新手続き(継続宣言)」を行うことが法律で義務付けられているのです。
この記事では、英語が苦手な酒蔵の方でも、せっかく築き上げた輸出ルートを失わないために、FDA登録更新のポイントをわかりやすく解説します。
【この記事でわかること】
✔ なぜFDA登録には「自動更新」がなく、手続きが必須なのか
✔ 更新が行える「特定の期間」と、遅れた場合の深刻なリスク
✔ 英語の壁を越えて、確実に更新を完了させるための3つのステップ
1.結論:自動更新はありません
■ 結論(最初にお伝えします)
FDA(連邦食品医薬品局)の施設登録には、自動更新という制度は一切ありません。
アメリカの法律(食品安全強化法:FSMA=食の安全を守るためのアメリカの重要な法律)に基づき、「西暦の偶数年(2024年、2026年など)の10月1日から12月31日の間」に、オンラインで登録情報の更新(継続宣言)を完了させることが義務となっています。
たとえどれほど輸出実績があったとしても、この期間内に更新を行わなければ、1月1日になった瞬間に施設登録は自動的に「失効(=無効)」してしまいます。
失効した状態で日本酒を出荷すると、アメリカの港で通関拒否や差し止めにあい、多額の損失が発生します。
まずは「偶数年の年末は更新の時期」とカレンダーに記入し、確実に手続きを進めることが、アメリカ輸出継続の絶対条件です。
2.FDA登録更新手続き
■ そもそも、なぜ自動更新がないのか?
実績のある優良な施設であっても、なぜわざわざ更新手続きが必要なのでしょうか?
理由は3つあります。
①アメリカの法律で決まっているから
2011年に制定された「食品安全強化法(FSMA)」という法律により、FDAはアメリカで消費されるすべての食品の安全を守るため、施設情報の厳格な管理を求められるようになりました。
FDAが常に最新の施設情報(住所・責任者・米国代理人など)を把握しておくことは、食中毒事故が起きたときの迅速な追跡(どこで何が作られたかを確認する作業)に不可欠だからです。
②「継続宣言」という重要な意味があるから
更新手続きは英語で「Renewal(リニューアル)」と呼びますが、単なる登録維持ではありません。
「わが社は現在も営業しており、引き続きアメリカの規則に従って食品を製造・輸出する意思があります」という正式な宣言です。
手続きの中では「FDAによる査察(立ち入り検査)を承諾する」という項目への同意も改めて求められます。要するに、「今も責任をもって営業しています」と確認する作業なのです。
③「動いていない施設」を整理するため
廃業したり、アメリカへの輸出をやめたりした施設が自動更新されてしまうと、FDAのシステムに古い情報が残り続け、いざというときの追跡の妨げになります。
「2年ごとに生存確認を行う」という仕組みになっているのは、そのためです。
■ 更新手続きの流れ(3ステップ)
英語のシステムと聞いて身構える必要はありません。手順を一つひとつ確認しましょう。
ステップ1:ログイン情報の確認
FDAの専用サイト「FDA Industry Systems(www.access.fda.gov)」にアクセスできるか確認します。
数年前に登録した際のIDやパスワードがわからない場合は、早めに再発行の手続きを行いましょう。期限ギリギリに気づくとパニックになります。
ステップ2:DUNS番号の照合
更新時には、DUNS(ダンズ)番号という9桁の企業識別コード(要するに「企業の番号札」のようなもの)が必要です。
このDUNS番号に登録されている「英語の社名」や「住所のスペル」が、FDAの登録情報と1文字の狂いもなく一致していることを確認してください。
1文字でも違うとシステムエラーになり、更新が進められません。
ステップ3:オンライン申請と米国代理人による承認
システム上で「Biennial Registration Renewal(隔年登録更新)」を選んで情報を入力し、送信します。
送信後、登録されている「米国代理人(U.S. Agent)=アメリカ側の窓口担当者」宛てに、FDAから確認メールが届きます。
この米国代理人がメールから「承認作業」を完了させて初めて、更新が有効になります。
日本側だけで手続きを終えても、代理人が動いてくれなければ登録は失効します。ここが大きな落とし穴です。
3.注意点・失敗例
経営者として、必ず知っておきたい失敗例を3つご紹介します。
落とし穴1:米国代理人と連絡が取れなくなる
最も多い失敗は「更新時期に米国代理人と連絡がつかない」というケースです。
バイヤーに紹介されたままの代理人を使い続けていると、取引条件が変わったときにメールを無視されたり、承認作業を放置されたりすることがあります。
米国代理人は輸出ビジネスの「命綱」です。信頼できる相手を確保しておくことが極めて重要です。
落とし穴2:「60日以内の変更義務」を忘れている
会社の住所が変わったり、商号を変更したりした場合、変更から60日以内にFDAの登録情報も修正しなければなりません。
これを放置したまま更新時期を迎えると、DUNS番号の情報と矛盾が生じ、更新期限ギリギリになってシステムから弾かれてしまいます。
落とし穴3:12月末の「駆け込み更新」によるトラブル
世界中の企業が12月に一斉にアクセスするため、FDAのシステムが重くなったり、不具合が生じたりすることがあります。
また、米国代理人がクリスマス休暇に入ってしまうことも要注意です。余裕を持って10月・11月のうちに手続きを終えることを強くお勧めします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
アメリカへの日本酒輸出をさらに伸ばすためには、「2年に一度のハードル」を確実に越えることが必要です。
✔ 更新は「偶数年の10月〜12月」の間に必ず手動で行うこと
✔ 自動更新はないため、自分たちでスケジュールを管理すること
✔ 信頼できる米国代理人と、最新のDUNS番号を確保しておくこと
「英語のシステムを触るのは怖い」
「米国代理人に任せきりで本当に大丈夫か不安だ」
「そもそも自社の登録状況がどうなっているかわからない」
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当事務所では、FDA登録の現状調査から、DUNS番号の照合、オンライン更新手続きの代行、そして法的責任を熟知した米国代理人の引き受けまで、日本の酒蔵の方が「美味しいお酒を造ること」に専念できるよう、全面的にサポートしております。
せっかく好調なアメリカ輸出を、事務手続きの不備で止めてしまうのはあまりにも大きな損失です。
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