「自社の日本酒をアメリカへ輸出したいけど、何から始めればいいのかわからない」
「FDA登録が必要らしいけど、英語の番号ばかりで頭が混乱する……」
「DUNS番号は1文字でもタイプミスをすると登録できないと聞いて、怖くなってきた」
日本酒メーカーの販売部長として、今まさにこんな「手続きの壁」に突き当たっていませんか?
アメリカは、日本酒にとって非常に大きなチャンスのある市場です。
でも、米国FDA(アメリカの食品・医薬品を管理する役所)のルールは厳格で、番号の管理を一つ間違えるだけで、せっかく造った日本酒がアメリカの港で止められてしまうことがあります。
最悪の場合、そのまま廃棄になることも。
この記事では、英語やアルファベットに不慣れな方でも安心して進められるよう、米国輸出の第一歩となる「FDA登録」と「DUNS番号」について、専門用語をなるべく使わずにわかりやすく解説します。
読み終えたあとには、「何をすればいいか」がはっきりイメージできるようになります。
【この記事でわかること】
✔ なぜ「DUNS番号」がFDA登録の出発点として欠かせないのか
✔ 英語が苦手でも大丈夫!日本国内でDUNS番号を取得する具体的な手順
✔ 登録を台なしにしないための「1文字」の重みと、見落としがちな注意点
1.結論:DUNS(ダンズ)番号は絶対必要です
日本産の食品(日本酒を含む)をアメリカに輸出するためには、「そのお酒を製造している蔵(施設)」をFDAに登録することが、法律で義務付けられています。
そして、この登録を始めるために絶対に必要なのが、「DUNS番号(ダンズばんごう)」と呼ばれる9桁の企業識別コードです。
要するに、「この会社はここに実在しています」とFDAに証明するための番号です。
FDAのシステムは、DUNS番号に登録されている情報と申請内容を自動で照合します。
大文字・小文字、スペース1つに至るまで、完全に一致していないと登録は受理されません。
まずは自社のDUNS番号を正しく取得・確認することが、アメリカ輸出の絶対条件です。
2.FDA登録とDUNS番号の基礎知識
■ 概要:FDA登録とDUNS番号の基礎知識
▶ FDA登録とは?
FDA(U.S. Food and Drug Administration)は、アメリカの「連邦食品医薬品局」です。
日本でいえば、厚生労働省と農林水産省の一部を合わせたような機関で、アメリカ国民の健康を守るために食品や医薬品を監督しています。
2002年の「バイオテロ法」という法律により、アメリカ国内で販売される食品を扱うすべての施設(国内外を問わず)は、FDAへの登録が義務化されました。
これは、食品事故が起きたとき、「どこで作られ、どこを経由してきたのか」をすぐに追跡できるようにするための仕組みです(トレーサビリティ、と呼ばれます)。
▶ DUNS番号とは?
DUNS番号は、アメリカ政府ではなく、「ダン・アンド・ブラッドストリート(D&B)」という民間企業が発行・管理している、世界共通の企業識別番号です。
以前はFDA登録の際に自己申告の住所だけで手続きできましたが、現在はFDAがDUNS番号を「施設を特定するための唯一の公式な番号」として指定しています。
DUNS番号がない、または情報が古いままだと、FDA登録そのものが進められません。
▶ 「1文字」の不一致が命取りになる理由
FDAのシステムは、申請時に入力されたDUNS番号をもとに、D&B社のデータベースと自動照合を行います。
たとえば、DUNS番号の登録社名が「ABC Sake Co., Ltd.」なのに、FDA申請時に「ABC Sake Inc.」と入力してしまうと、システムが「別の会社」と判断してエラーになります。
住所の書き方1つでも同様です。
■ 手続きの流れ(4ステップ)
英語のシステムと聞いて身構える必要はありません。
日本国内に専門の窓口があり、以下の4つのステップで進められます。
【ステップ1】日本の代理店でDUNS番号を確認・取得する
日本では「東京商工リサーチ(TSR)」が、D&B社の公式代理店として窓口業務を行っています。
まず東京商工リサーチのホームページで、自社のDUNS番号を検索してみましょう。すでに番号が割り振られているケースも多いです。
番号がない、または社名・住所が古い場合は、新規取得や変更の申請を行います。
ポイント:米国政府(FDA)への登録目的であれば、通常は無料で取得できます。急ぐ場合は有料の特急サービスもあります。
【ステップ2】正確な「英語表記」を決めて固定する
これが最も重要な作業です。
「株式会社」を英語でどう書くか(Co., Ltd. か Inc. か)。
住所の番地やビル名、階数をどのように表記するか。
一度決めたら、その表記を必ずメモしておき、すべての手続きで同じものを使い続けてください。
【ステップ3】米国代理人(U.S. Agent)を選ぶ
米国外の施設がFDA登録をする場合、アメリカ国内に住む「米国代理人」を1名指定する必要があります。
代理人は、FDAからの緊急連絡の受け取りや、査察(立ち入り検査)のスケジュール調整など、重要な窓口を担います。
信頼できる相手を選ぶことが大切です。
【ステップ4】FDAのオンラインシステムで登録する
FDAの専用サイト(FDA Industry Systems)にアクセスし、DUNS番号・施設情報・米国代理人の情報を入力します。
入力が完了すると、FDAから代理人へ確認メールが届きます。
代理人が承認すると、11桁の施設登録番号が発行されます。これで登録完了です。
3.注意点・失敗例
販売部長として、特に以下の3つの「落とし穴」には注意してください。
【失敗1】住所に情報を「追加」してしまうエラー
DUNS番号の住所が「1-2-3」なのに、FDA登録時に親切心で「1-2-3, 2F」と書き加えてしまうケースがよくあります。
これも「不一致」とみなされてエラーになります。
DUNS番号に登録されている内容が「正解」です。一字一句そのままコピーして使うのが鉄則です。
【失敗2】2年に1度の「更新」を忘れて登録が消える
FDA登録は、一度取得すれば永久に有効というわけではありません。
偶数年の10月1日から12月31日の間に、「継続宣言(更新手続き)」が必要です。
「以前に登録したから大丈夫」と思ったまま出荷し、港で止められてから「1月1日に登録が無効になっていた」と気づく……というケースは非常に多いです。カレンダーに繰り返し設定しておくことをお勧めします。
【失敗3】米国代理人と連絡が取れなくなる
取引の紹介で代理人を決めたものの、条件が変わって連絡が取れなくなることがあります。
更新手続きには代理人の承認作業が必要なため、連絡がつかないと登録が失効してしまいます。
米国代理人は「アメリカでの保証人」のような存在です。定期的に連絡を取り、関係を維持しておきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
アメリカへの日本酒輸出に必要な「番号」手続きは、決して難しいものではありません。
要点は、次の3つだけです。
・DUNS番号で、会社の存在を正しく証明する
・正確な英語表記を固定し、1文字も変えずに登録する
・信頼できる米国代理人を確保し、関係を維持する
この3つを丁寧に行えば、英語やアルファベットが苦手でも、アメリカ市場への扉は必ず開きます。
「自社のDUNS番号の英語表記が正しいか不安だ」
「信頼できる米国代理人をどこに頼めばいいかわからない」
「2年ごとの更新管理まで手が回らない」
そんなお悩みがあれば、ぜひ一度、当事務所へご相談ください。
当事務所では、DUNS番号の取得・変更サポートから、複雑なオンライン登録の完全代行まで、酒蔵の皆様が「美味しいお酒を造ること」に専念できるよう、行政書士として全力でサポートいたします。
貴社の丹精込めた日本酒が、アメリカの食卓で愛される日が来ることを、心より願っております。
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