飲食店を開業しようと準備を進めている個人事業主の皆様、はじめまして。飲食店営業許可申請を専門とする行政書士です。
「さあ、お店を始めるぞ!」と意気込んで保健所へ行き、渡された書類を見て「HACCP(ハサップ)」という言葉に戸惑っていませんか?
「どちらかにチェックを入れてください」と言われ、「小規模のほうでいいですよ」と説明されても、「そもそもこれ、何をすればいいの?」と不安になりますよね。
大丈夫です。
この記事を読めば、その疑問がすっきり解決します。
【この記事でわかること】
✔ なぜ個人の飲食店は「小規模(考え方を取り入れた)」の方を選ぶのか
✔ 今日からお店で始めるべき「2つの計画」と「1つの記録」
✔「やったつもり」を防ぎ、お店の信頼を守る振り返りの方法
1.結論:HACCPは「お店を守るお守り」
まず結論をお伝えします。
保健所の申請書にあるチェック欄は、個人で1店舗を運営される皆様であれば、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」こちらにチェックを入れれば正解です。
これは、「難しい科学的な分析は大変だから、まずは手引書に沿って、できることから始めましょう」という、小規模事業者向けの優しいルールです。
HACCPは、皆様を監視するための面倒な規制ではありません。
正しく取り組めば、「うちはこれだけしっかりやっている!」という証拠になり、お客様への信頼アピールにつながります。
2.HACCPの概要と手続き
■ HACCPって一体なに?
HACCPを日本語にすると、「危害要因分析に基づく重要管理点」となります。
いかにも難しそうな名前ですが、中身はシンプルです。
要するに、
「どこで食中毒が起きそうか先に予測して、そこを重点的にチェックし、記録に残す」という衛生管理のルールのことです。
これまでは「最後にお店がきれいならOK」という考え方でした。
しかしこれからは、
「調理の途中で温度管理は大丈夫だったか?」といった「プロセスの見える化」が求められるようになりました。
令和3年6月から、原則としてすべての食品事業者に義務化されています。
「知らなかった」では済まされない時代だからこそ、今のうちに基本を押さえておくことが大切です。
■ 手続きの流れ:明日から始める4ステップ
保健所でチェックを入れた後、実際には何をすれば良いのでしょうか。
小規模な飲食店が行うべき手順を、4ステップで説明します。
ステップ1:自分のお店に合う「手引書」を手に入れる
一から計画を作るのは大変です。
厚生労働省が確認した「手引書」が、業界団体から公開されています。
まずは、「小規模な一般飲食店事業者向けの手引書」を入手することから始めましょう。
ステップ2:衛生管理計画を立てる
手引書を参考に、次の2種類の計画を立てます。
【一般的な衛生管理計画】
「手洗いの実施」「冷蔵庫の温度確認」「トイレの清掃」など、どのメニューにも共通する基本的なルールです。
【メニューに応じた重要管理計画】
料理を次の3グループに分けて考えます。
・冷たいまま出すもの(例:刺身)
・加熱して出すもの(例:ハンバーグ)
・加熱した後に冷やすもの(例:カレー)
とくに「加熱した後に冷やす」工程は、食中毒のリスクが高いため、特に注意が必要です。
ステップ3:計画に沿って実施し、記録をつける
計画を立てたら、毎日その通りに作業を行います。
1日の終わりに「良・否」を丸で囲むだけでOKです。
ここが最も重要なポイントです。
「記録がない=やっていないと同じ」とみなされてしまいます。
書類を作って終わりではなく、毎日の記録を積み重ねることが大切です。
ステップ4:定期的に振り返る
月に1回程度、記録を見直しましょう。
「最近、冷蔵庫の温度が高めだな」「スタッフの手洗いが徹底されていないな」こうした問題点に気づき、改善していくことがHACCPの本来の目的です。
3.注意点と失敗例
開業準備で忙しい皆様が陥りやすい失敗を3つご紹介します。
【失敗例1】申請書にチェックを入れただけで満足してしまう
保健所でのチェックは、「うちはHACCPをやります」という宣言に過ぎません。
実際の営業が始まった後に、「衛生管理計画書」と「日々の記録」がお店に備わっていないと、保健所の立入検査の際に指導を受けることになります。
【失敗例2】他のお店の計画をそのままコピーする
お隣のお店と皆様のお店では、メニューも設備も違います。
自分の店に合った管理ができていないと、いざという時に食中毒を防ぐことができません。
【失敗例3】問題が起きた時に「良」と嘘の記録をつける
「冷蔵庫が壊れて温度が上がっていたけど、面倒だから『良』にしよう」これは絶対にNGです。
もしその食材でお客様が体調を崩された場合、嘘の記録は皆様を追い詰める証拠になってしまいます。
「温度が上がっていたので食材を廃棄した」
このように、問題があった時の対応を正直に書き残すことこそが、誠実な経営の証となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
HACCPは一見難しそうですが、要は「いつもの衛生管理をメモに残すこと」から始まります。
営業許可の取得はゴールではなく、スタートです。
HACCPを味方につけることで、「安全でおいしい料理を、自信を持って提供できるお店」を築いていくことができます。
「手引書を読んでも、自分の店の場合どう書けばいいかわからない」
「営業許可申請と一緒に、HACCPの準備もプロに任せたい」
そんな時は、ぜひ私たち行政書士にご相談ください。
皆様が調理や接客に集中できるよう、面倒な書類作成や計画立案を、許可申請のプロとして全力でサポートいたします。
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