· 

失敗しない!肉製品サンプル輸入の3つの鉄則

   

こんにちは。

  

輸入手続を専門にしている行政書士です。

  

先日、あるスーパーマーケットのバイヤーの方から、とても残念なお話を伺いました。

  

アメリカの食品展示会で素晴らしいソーセージを見つけ、社長や経営陣への報告用にサンプルとして持ち帰ろうとしたところ、帰国時の空港で動物検疫所に没収されてしまったというのです。

 

せっかくのビジネスチャンスを逃してしまった、という無念さは計り知れません。

 

しかし、日本の動物検疫のルールは今、私たちが想像する以上に厳しくなっています。

 

この記事では、同じような失敗を二度と繰り返さないために、プロのバイヤーが知っておくべき「肉製品輸入の鉄則」をお伝えします。 

 

【この記事でわかること】

 

なぜ、加熱済みのソーセージでも没収されてしまうのか

 

サンプル輸入に不可欠な「検査証明書」とは何か

 

ルールを知らずに持ち込もうとした場合の、思わぬリスク 

 

 

はじめに:なぜ「たかがサンプル」が没収されるのか 

 

海外の展示会で見つけた食材を、いち早く社内で紹介したい。その熱意は素晴らしいものです。 

 

しかし、ソーセージ・ハム・ベーコンなどの肉製品は、たとえ加熱済みで真空パックされていても、日本の法律(家畜伝染病予防法)によって「指定検疫物(=国が輸入を厳しく管理するもの)」として規制されています。 

 

この規制の目的は、アフリカ豚熱(ASF)や口蹄疫といった、日本の畜産業に壊滅的な打撃を与える伝染病が国内に入り込むのを防ぐためです。 

 

では、バイヤーとして知っておくべきポイントを3つに絞って解説していきます。 

 


1.加工品もすべて検査対象


 

まず正しく理解しておきたいのが、動物検疫の対象範囲です。

 

家畜伝染病予防法では、牛・豚・鶏などの生肉だけでなく、それらを原料とした加工品もすべて「指定検疫物」に指定されています。

 

具体的には、以下のものが含まれます。

 

・肉(生肉・冷蔵・冷凍)

 

・ハム、ソーセージ、ベーコン

 

・肉まん、餃子など、肉が入った調理品

 

 

「加熱してあるから菌はいないはず」「真空パックだから安全」と考えてしまいがちですが、これは大きな誤解です。

 

アフリカ豚熱などのウイルスは非常に強く、加熱処理が不十分な場合には加工品の中でも生き残る可能性があります。そのため、一律に厳しいチェックが行われます。

 

要するに、「ちょっとしたお土産レベルでも、肉製品なら全部検査の対象」ということです。

 

少量であっても、「個人消費」であっても、「商用サンプル」であっても、動物検疫の対象から外れることはありません。 

 


2.「検査証明書」が絶対必要


 

今回、空港で没収(廃棄)されてしまった最大の原因は、「検査証明書(衛生証明書)」がなかったことにあります。

 

検査証明書とは、「この製品は伝染病の病原体を広げるおそれがありません」と、輸出国の政府機関が公式に保証する書類のことです。

 

日本の法律では、指定検疫物を輸入する際に、この書類を必ず添付しなければならないと定められています。

 

アメリカから持ち込む場合は、アメリカ農務省(USDA)などの政府機関が発行した証明書が必要になります。

 

 

ここが落とし穴です!

 

展示会でもらったサンプルや、現地のスーパー・免税店で購入した商品には、通常この証明書は付いていません。

 

「免税店で正規に購入したから問題ない」と思い込んでいる方が多いのですが、証明書が添付されていない肉製品は、日本の空港に到着した時点でその場で不合格となります。

 

不合格となった物品は、担当の家畜防疫官(=空港で動植物の検疫を担当する国家公務員)によって廃棄処分されるか、輸入者の費用負担で送り主へ返送されることになります。 

 


3.令和2年から厳罰化


 

バイヤーの皆様に最も注意していただきたいのが、近年の罰則の強化です。

 

平成30年以降、アジアの近隣諸国でアフリカ豚熱が猛威を振るっています。

 

これを受けて日本政府は令和2年(2020年)7月に法律を改正し、水際対策(=空港・港での持ち込み阻止の取り組み)を大幅に強化しました。

 

もし、検査を受けずに、あるいは虚偽の申告をして肉製品を持ち込もうとした場合、以下のような措置が取られます。

 

 

パスポート情報の登録 

違反者の情報はデータベースに登録されます。

 

 

警告書の交付 

初めての違反であっても、厳重な警告書が交付されます。

 

 

警察への通報・逮捕 

悪質と判断された場合や、複数回の違反があった場合は、警察に通報・告発されます。実際に日本人を含む逮捕者も出ています。

 

 

高額な罰金・懲役

個人に対しては3年以下の懲役または300万円以下の罰金、法人(会社)に対しては最高5,000万円の罰金が科される場合があります。

 

 

「知らなかった」では済まされないのが、プロのバイヤーです。

 

一人の不注意が、会社全体の社会的信用の失墜に直結することを、ぜひ頭に入れておいてください。 

 

では、どう行動すればよいのか?

 

─ 展示会で魅力的な肉製品に出会ったときの3つの対処法

 

① その場で「検査証明書」を確認する

 

メーカーの担当者に、「日本への輸出に必要な、政府発行の衛生証明書を出せますか?」と必ず確認してください。この一言が、後のトラブルを防ぐ最大の一手です。

 

 

② ハンドキャリー(手荷物持ち帰り)は諦める

 

手荷物として持ち帰るのではなく、正規の輸入ルート(貨物輸送)でのサンプル送付を依頼しましょう。貨物であれば、通関業者(=輸出入の手続きを代行する専門業者)が間に入り、適切な検疫手続きを踏むことができます。

 

 

③ 専門家に事前相談する

 

「この商品は輸入できるの?」「どんな書類が必要?」といった疑問は、事前に動物検疫所や、私たち行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。

 

後から対処するより、はるかに時間とコストの節約になります。 

 

まとめ


いかがでしたでしょうか?

 

せっかく見つけた「おいしいソーセージ」を、確実に経営陣に届け、店頭に並べるためには、日本の厳しい検疫ルールを正しく理解し、法律に基づいた手続きを踏むことが最短の道です。

 

今回の没収は痛い経験だったかもしれません。

 

しかしこれを機に正しい知識を身につければ、今後の海外仕入れの精度は飛躍的に高まるはずです。 

 

「この商品、持ち込めるの?」「輸入の手続きはどうすればいい?」

 

そんな疑問がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

貴社のビジネスが法的なトラブルで止まることのないよう、全力でサポートいたします。 

 

お問い合わせは、下記からお願いします。

 

24時間以内に回答いたします。

 

行政書士には守秘義務がありますので、お問い合わせが公開されることはありません。