食品原材料の海外調達を検討されている購買部長の皆様、
「海外から新しい原材料を入れたいけれど、日本の検疫を通るのが難しいと聞いた……」
「もし港で止まってしまったら、工場のラインが止まってしまう。どうすれば確実に輸入できるのか?」
こうした不安を抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
じつは、日本の食品衛生法(※食品の安全を守るための法律)は、世界でもトップクラスに厳しいものです。
他社の食品メーカーの担当者が「ハードルが高い」と言うのも、決して大げさではありません。
しかし、ご安心ください。
貨物を日本に送る前に、その安全性を国(検疫所)に確認してもらえる「事前相談」という制度があります。
この制度を賢く使うことで、輸入のトラブルを劇的に減らすことができます。
本日は、購買部長として知っておきたい「事前相談」の活用術を、わかりやすく解説します。
【この記事でわかること】
✔ 事前相談は「許可」ではない——それでも使うべき理由
✔ 海外メーカーから取り寄せるべき「3つの必須書類」
✔ 事前相談を確実に活用するための、タイミングと手順
1.事前相談は「プロへの事前確認」
まず、多くの方が誤解されている点をはっきりお伝えします。
事前相談とは、「これを提出すれば輸入OK」という許可(お墨付き)をもらう場所ではありません。
少し意外に思われるかもしれませんが、輸入する食品が安全かどうか、日本のルールに合っているかどうかを確認する責任は、法律上、国ではなく輸入者(あなたの会社)にあります。
検疫所はあくまで、輸入者が自ら安全性を確認するのを手助けし、技術的なアドバイスをしてくれる場所なのです。
「許可じゃないなら、使う意味があるの?」
そう思われた方こそ、次のデータをご覧ください。
令和5年度のデータによると、実際に輸入届を出した後に発覚した違反の割合はわずか0.03%です。
ところが、事前相談の段階で「これは日本の基準では違反になります」と判明したケースは1.74%にのぼります。
つまり、事前相談を使うことで、「日本に貨物が到着してから廃棄や積み戻し(送り返し)命令を受ける」という最悪の事態を、未然に防げるのです。
コストと時間のロスを避けるための「保険」として、事前相談は非常に強力な制度です。
2.必須書類3つ
事前相談をスムーズに進め、確実なアドバイスを得るためには、海外の製造メーカーから詳細な資料を取り寄せることが欠かせません。
検疫所の担当官は、あなたが提出した書類だけを見て判断するからです。
特に加工食品の場合、以下の3点が必須となります。
①原材料表(成分表)
その食品を構成するすべての原材料と添加物の名称、および含有比率を記載したものです。
「含有比率」とは、全体を100%としたときの各成分の割合のことです。合計が必ず100%になるものを求めてください。
添加物については、物質名だけでなく、「保存料として」「着色料として」など、使用目的も記載してもらう必要があります。
②製造工程表
原料が最終製品になるまでの流れを図式化したもの(フローチャート)です。
特に重要なのは、殺菌の条件(温度・時間)と、どのような機械で加工されたかという情報です。
③レターヘッドと責任者のサイン
上記2点の書類は、海外メーカーのロゴが入った書面(レターヘッド)に、担当責任者のサインまたは押印がある、正式な書類でなければなりません。
サプライヤーに依頼する際は、「日本の法律に適合しているかを確認するために、すべての情報を正確に開示してほしい」と、はっきり伝えることが大切です。
この資料の精度が、輸入の成否を分けます。
3.事前相談のルール
「明日、荷物が着くから相談したい」というのは、事前相談では通用しません。
事前相談には、明確なルールとタイミングがあります。
・相談は「貨物が日本に着く前」に!
貨物がすでに日本に到着している場合や、7日以内に到着予定の場合は、事前相談ではなく、通常の「輸入届出」として手続きを進める必要があります。余裕を持って準備を始めましょう。
・まずは自社で調べてから相談する
資料を入手したら、まず自社で「この添加物は日本の認可リストに載っているか?」などを確認します。
その上で、「この成分の使用基準が判断できない」といった具体的な疑問点を相談するのが、効率よく進めるコツです。
・メールでの相談はNG! 相談方法はFAX・郵送・来所
セキュリティの関係上、検疫所ではメールでの相談を受け付けていません。「事前相談票」をFAXするか郵送し、必要に応じて予約のうえ窓口へ足を運びます。
なお、事前相談の手数料は無料です。
国の専門家に無料でアドバイスをもらえる制度ですから、ぜひ積極的に活用してください。
【購買部長としてのリスク管理】
輸入原材料のトラブルは、工場の稼働停止だけでは終わりません。
万が一、問題のある食品が国内に流通してしまった場合、「製品の回収・廃棄・公表」という事態になり、企業のブランドイメージに深刻なダメージを与えます。
食品衛生法という法律のルールにより、違反した輸入者の会社名は厚生労働省のホームページで公表されます。
単に安く仕入れるだけでなく、こうした「法令遵守(コンプライアンス)=法律やルールをしっかり守ること」のリスクを管理することが、購買部門としての真のコスト削減につながります。
「事前相談」は、そのための最も強力な手段のひとつです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
海外からの食品原材料の輸入は、確かにハードルが高いものです。
しかし、
✔ 「正しい資料を揃える」
↓
✔ 「自社で内容を確認する」
↓
✔ 「検疫所に事前相談する」
というステップを丁寧に踏めば、そのハードルは確実に超えられます。
「海外メーカーとの交渉で、どんな書類を要求すればいいかわからない」
「手元の資料が日本の基準に合っているか、プロの目で確認してほしい」
こうしたお悩みがございましたら、どうぞお気軽に当事務所へご相談ください。
食品輸入の専門家として、購買部長の皆様が安心して原材料を調達できるよう、全力でサポートいたします。
お問い合わせは、下記からお願いします。
24時間以内に回答いたします。
行政書士には守秘義務がありますので、お問い合わせが公開されることはありません。
コメントをお書きください