近年、日本酒の輸出金額は右肩上がりで伸びています。
2020年には約241億円と、11年連続で過去最高を記録しました。
コロナ禍を経て、海外でも自宅でお酒を楽しむ「家飲み需要」が高まっており、越境EC(=インターネットを通じた海外への販売)への注目が非常に高まっています。
しかし、日本酒を海外にネット販売するには、国内の販売とは異なるルールがたくさんあります。
「うちの酒を海外にネット販売できるのか?」
「具体的にどんな手続きが必要なのか?」
そんな疑問を解決するために、大切なポイントを3つに絞って整理しました。
【この記事でわかること】
✔ 国ごとに異なるEC販売のルールと、確認すべきポイント
✔ 日本国内で準備すべき免許と、税金の免除手続き
✔ 海外の消費者に選ばれるための表示ルールと、ブランドを守るGI制度
1.その国でEC販売ができるかの確認
越境ECを始めるにあたって、もっとも重要なのが「ターゲットの国で、お酒のネット販売が許可されているか」を確認することです。
実は、国によってはECでの酒類販売を法律で禁止しているケースがあります。
たとえば、日本酒の輸出先として人気の高い台湾では、「タバコ酒管理法」という法律により、自動販売機・通信販売・ECサイトでのお酒の販売が禁じられています。
つまり、台湾向けにECサイトで直接販売することはできません。
一方、イギリスでは日本酒専門のECショップも登場しており、ロックダウンの影響もあって売上が急増している事例もあります。
国によってルールがまったく異なるため、まずは以下の3点を確認しましょう。
① ECでのお酒の販売が許可されているか
そもそもネットで売ってよい国かどうかを調べます。
② 輸入規制の有無
放射性物質の規制や食品添加物の制限など、その国独自のルールがないかを確認します。
③ 現地パートナーの確保
配送・決済・顧客対応をどうするかも、事前に検討が必要です。
2.免許と税金の免除手続き
次に、日本側での準備についてです。
お酒を輸出するためには、適切な免許の取得が必要です。
通常は「輸出酒類卸売業免許」が必要ですが、メーカーが自社製品を輸出する場合は「輸出用清酒製造免許」という特例制度が使える場合があります。
この免許は、日本酒の輸出拡大を後押しするために新設されたものです。
通常の酒類製造免許では年間60キロリットル以上の製造量が必要ですが、この特例免許ではその基準が適用されません。
つまり、少量からでも輸出専用のお酒を造ることができます。
ただし、この免許で製造したお酒は国内では販売できません。あくまでも海外向けの輸出専用です。
また、輸出するお酒については、税金の免除手続きも忘れずに行う必要があります。
・酒税の免税
製造場から輸出目的で出荷する場合、所定の手続き(輸出申告書の提出や証明書の保管など)を行うことで、酒税が免除されます。
・消費税の還付
輸出にかかる輸送費などは、消費税の還付対象になる場合があります。
これらの手続きには、輸出許可書や船積書類などを正確に保管することが求められます。
書類が不備だと、後から税金の支払いを求められるリスクもあります。
行政書士などの専門家と連携して管理することをお勧めします。
3.ラベル表示とGI制度
最後に、消費者が直接手にする「商品ラベル」と、産地ブランドを守る「GI制度」についてです。
海外で販売する場合、ラベルには現地の言語で必要な情報を表示する義務があります。
たとえば台湾やイギリスへ輸出する場合、主に以下の表示が必要です。
・品目・アルコール度数・容量
国によって許容される誤差の範囲が異なります。
・警告文
「飲酒運転禁止」「未成年者の飲酒禁止」など、現地の法律で定められた文言を、決められた文字サイズ以上で記載しなければなりません。
・原材料の表示
食品添加物やアレルギー物質の表示ルールも、日本とは異なります。
また、自社の日本酒の価値を正しく伝え、模造品から守るために活用したいのが「GI(地理的表示)制度」です。
GIとは、ある地域の産品であることを国が認定し、その名称を保護する制度です。
要するに「この名前は、この地域で作られた本物だけが使える」というお墨付きのことです。
国レベルのGIである「日本酒」は、国産米だけを使い、日本国内で製造された清酒のみが名乗ることができます。
【GIを活用するメリット】
・ブランド価値の向上
「国のお墨付き」として、高品質で信頼できる商品であることをアピールできます。
・国際的な保護
EPA(経済連携協定)などを通じて、EU・英国などでもGI「日本酒」が保護されており、日本産以外のお酒が「日本酒」を名乗ることを防げます。
・模造品の排除
産地でない者が名称を悪用することを、法的に取り締まることができます。
越境ECでは世界中の商品と比較されます。
ラベル戦略とGI制度をうまく活用した差別化が、販売成功の鍵を握ります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
日本酒の越境ECは、世界中のファンに直接商品を届けることができる大きなチャンスです。
成功のためには、この3点が欠かせません。
① ターゲット国のEC規制をしっかり確認する
② 「輸出用免許」の取得と「免税手続き」を確実に行う
③ 現地ルールに合った「表示」と「GI制度」でブランドを守る
特に、免許の申請や書類の管理は、不備があると輸出がストップしてしまうリスクもあります。
「自社の場合、どの免許が必要か?」
「このラベルで現地の法律はクリアできているか?」
少しでも不安を感じられたら、ぜひ一度当事務所へご相談ください。
貴社の日本酒が世界へ羽ばたくためのお手伝いをさせていただきます。
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