冷蔵食品の賞味期限、どう決める? 設定の3ステップ

  

はじめて冷蔵食品を発売することになった。

 いざ食品表示を準備しようとすると、こんな疑問が浮かんできませんか?

  

「賞味期限って、どうやって決めるの?」

 「勘や経験で設定したら、問題になるの?」

 「どこか専門機関に相談すればいいの?」

  

この記事では、冷蔵食品の賞味期限設定について、法令の考え方を踏まえながら、実務でおさえておくべきポイントをわかりやすく解説します。 

 

【この記事でわかること】

  

賞味期限と消費期限、どちらを表示すべきか

 

賞味期限を設定するための具体的な3ステップ

 

専門検査機関をうまく活用する方法 

 


1.賞味期限と消費期限


 

冷蔵食品を発売する際、真っ先に考えなければならないのが、「賞味期限」と「消費期限」のどちらを表示するかです。

 

この2つは、食品表示基準QAによれば、消費期限は「食べても安全な期限」、賞味期限は「おいしく食べることができる期限」と整理されています。

 

もう少し具体的にいうと、品質(状態)が急速に劣化する食品には「消費期限」を、比較的品質が劣化しにくい食品には「賞味期限」を表示するものと考えられています。

 

たとえば「消費期限」は、弁当、調理パン、そうざい、生菓子類、食肉、生めん類などに、「賞味期限」は、スナック菓子、即席めん類、缶詰、牛乳、乳製品などに表示されています。 

 

冷蔵食品であっても、品質の劣化スピードによって、どちらを表示するかが変わります。

  

自社の商品がどちらに該当するか、商品の特性をよく検討したうえで判断することが最初のステップです。 

 


2.科学的根拠が必要


  

「他社の似た商品と同じくらいにしておこう」「製造現場のベテランが大丈夫と言っている」――。

 

こういった判断だけで賞味期限を決めることは、法律上認められていません。

 

期限の設定は、食品の特性、品質変化の要因や原材料の衛生状態、製造・加工時の衛生管理の状態、容器包装の形態、保存状態等の諸要素を勘案し、科学的・合理的に行う必要があります。

 

そして、期限表示の対象となる食品を一番よく知っている者、すなわち製造業者または加工業者が、責任をもって期限を設定し、表示することとなります。

 

つまり、「うちの商品のことは自社がいちばんよく知っているはず。だからこそ、自社が責任をもって科学的に決めなさい」というのが法律の考え方です。

 

感覚や経験だけでなく、データに基づいた根拠を残しておくことが求められます。 

 


3.設定手順


 

では、具体的にどうやって賞味期限を設定するのか。

 

大きく3つのステップに分けて説明します。

 

 

ステップ1:保存試験を行う

 

一般的には、流通実態に応じた「保存試験」が行われています。保存試験では、一定条件のもとで食品を実際に保存し、どこまで安全性や品質を保つことができるかについて調べます。

 

時間の経過による食品の変化を、微生物試験や理化学試験、官能検査などによって数値化します。 スマホで写真を撮ったり、臭いを確認したりするだけでは不十分です。

 

数値で変化を記録することが大切です。

 

 

 

ステップ2:安全係数をかけて、実際の期限を算出する

 

保存試験で「品質が保てる限界」がわかったとしても、その日数をそのまま賞味期限にするわけではありません。

 

食品の特性やばらつきなどを考慮し、得られた期限に安全係数をかけることで最終的な消費期限・賞味期限とします。「安全係数」とは、1より小さい数字(たとえば0.8など)のことです。

 

品質が保てる限界日数に、この係数をかけることで、余裕をもった賞味期限が決まります。

 

一般的には食品の特性等に応じた「安全係数(1未満)」の設定が必要とされていますので、実際の保存試験は、表示しようとする期限の1倍以上の期間の試験設計が必要です。

 

たとえば「10日後まで品質が保てる」という試験結果が出たとして、安全係数を0.8とすれば、賞味期限は8日間となるイメージです。

 

 

 

ステップ3:似た食品の試験データを参考にすることも可能

 

「すべての商品で一から保存試験をするのは大変」という声もあると思います。

 

すべての食品(商品)に対して保存試験・検査をすることが難しい場合は、食品の特性等を十分に考慮した上で、その特性が類似している食品の試験・検査結果等を参考にすることで期限を設定することも可能とされています。

 

ただし、「似た商品だから同じ期限でいい」という安易な流用は認められません。科学的・合理的な根拠が必要という大前提は変わりません。

 

また、冷蔵食品の場合は特に注意が必要です。リステリア等の低温でも増殖が可能な菌、嫌気性菌、耐熱性芽胞形成菌等が危害要因となる場合があります。

 

冷蔵だから安全とは限らず、冷蔵特有のリスクについても検討が必要です。

 

 

 

保存試験や微生物試験は、自社だけで行うのは難しいことも多いです。

 

「理化学試験」や「微生物試験」等は専門の検査機関がありますので、適宜利用することがおすすめです。

 

また、消費者庁が「食品期限設定のためのガイドライン」を示しており、2025328日に20年ぶりの改定が行われています。 最新のガイドラインを確認しながら、適切な方法で設定を進めることが重要です。

 

まとめ


 いかがでしたでしょうか?

 

冷蔵食品の賞味期限設定のポイントをまとめます。

 

まず確認:

賞味期限か消費期限か、商品の特性で判断する。根拠が必要:感覚ではなく、保存試験のデータをもとに決める

 

安全係数を忘れずに:

試験で出た限界日数に係数をかけて最終的な期限を算出する。

 

専門機関を活用:

微生物試験や理化学試験は、外部機関への依頼も有効

 

 

「うちの商品の場合、賞味期限と消費期限どちらにすればいい?」

「表示方法が正しいか確認してほしい」

「どの検査機関に依頼すればいい?」

 

食品表示に関するご不明な点は、お気軽にご相談ください。

 

食品の輸出入・表示手続きを専門とする行政書士が、お客様の商品に合わせた対応方法をご提案します。 

 

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