購買部長様、いつも工場の安定稼働のために、海外からの原料調達、本当にお疲れ様です。
船積書類を揃えていたら、いちばん大事なはずの書類が見当たらない……。
近日入港の連絡も届いているのに、どうしたらいいのか。
そんな状況で、頭が真っ白になっていませんか?
大丈夫です。
今回紛失してしまったB/L(船荷証券)は、ただの書類ではありません。
貨物を受け取るための「引換券」であり、売り買いもできる「有価証券」です。
これがなければ、船会社は原料を渡してくれません。
でも、安心してください。
B/Lを紛失しても、原料を工場に届ける方法はあります。
輸入手続に詳しい行政書士として、この状況を乗り越えるための手順をわかりやすく解説します。
【この記事でわかること】
✔ B/Lなしで貨物を引き取る「保証状(L/G)」の使い方
✔ 紛失したB/Lを法的に無効にする「公示催告・除権決定」の流れ
✔ 今後、同じトラブルを繰り返さないための再発防止策
1.保証状(L/G)
入港が迫っている今、いちばん大切なことは「生産ラインを止めないこと」です。
裁判所を使う手続きは後でできます。
まず原料を引き取るために、「保証状(L/G:レター・オブ・ギャランティ)」という書類を船会社に提出する方法があります。これを「L/G渡し」といいます。
簡単にいうと、「B/Lは今持っていないけれど、後から出てきたときの責任はきちんと取ります」と会社が約束することで、貨物を先に受け取れる仕組みです。
方法は主に2つあります。
方法①:銀行と連名の保証状(Bank L/G)を入れる
貴社と取引銀行が連名でサインした保証状を、船会社に提出します。
銀行が「万が一の場合は私たちも責任を持ちます」と一緒に保証してくれるため、船会社も安心して貨物を渡してくれます。銀行に手数料はかかりますが、これがもっとも一般的な方法です。
方法②:現金を担保として預ける(Cash Deposit)
銀行保証が難しい場合は、貨物の価格の150%程度の現金を船会社に預け、貴社単独の保証状を出す方法もあります。
まずは、フォワーダーか船会社に電話して、「B/Lを紛失してしまいました。L/G渡しで対応できますか?」と相談してください。
これが原料を工場に届けるための、いちばん早い方法です。
2.簡易裁判所への申し立て
貨物を引き取れたら一安心……ではありません。
B/Lは有価証券です。
万が一、紛失したB/Lを誰かが拾い、「この貨物は自分のものだ」と主張してきた場合、法的なトラブルになる可能性があります。
このリスクをなくすために行う手続きが、「公示催告(こうじさいこく)」と「除権決定(じょけんけってい)」です。
難しい言葉ですが、ひとことで言えば「裁判所に頼んで、紛失したB/Lを正式に無効にしてもらう手続き」です。
流れは次の3ステップです。
ステップ①:警察に届け出る
まず、最寄りの警察署に「遺失届(いしつとどけ)」を出し、「紛失届出証明書」を発行してもらいます。紛失した場所がわからなくても大丈夫です。
ステップ②:簡易裁判所に申し立てる
本船が到着した港を管轄する簡易裁判所に申し立てを行います。
裁判所は官報などに「このB/Lに権利のある人は名乗り出てください」という告知を掲載します。
ステップ③:除権決定を受け取る
申し立てから約4〜4ヶ月半後、誰からも届出がなければ、裁判所がB/Lを正式に無効にする「除権決定」を下します。
この決定書があれば、紛失したB/L原本と同じ効力を持ちます。銀行に預けていた保証も、ここで解除してもらえます。
時間はかかりますが、この手続きを終えることで「後から誰かが現れるかもしれない」というリスクを法律的に消すことができます。
必ず、貨物の引取りと並行して進めてください。
3.再発防止策
今回の件で、B/L紛失がどれほど大変な事態を引き起こすか、実感されたと思います。
銀行手数料、裁判所での数ヶ月の手続き、担当者の労力……コストは決して小さくありません。
今後のために、以下の対策を取り入れてください。
対策①:B/Lを分けて送ってもらう(Split Set)
B/Lの原本は通常3通セットで発行されます。
輸出者に「1通目は今すぐ送り、2通目は数日後に別便で送ってほしい」と依頼しましょう。
これにより、1通が郵便事故などで届かなくても、残りの原本でスムーズに対応できます。
対策②:Waybill(海上運送状)の使用を検討する
長年取引のある輸出者やグループ会社間の取引であれば、「Waybill(ウェイビル)」という書類の使用も選択肢のひとつです。
Waybillは有価証券ではないため、原本がなくても本人確認ができれば貨物を引き取れます。
今回のような紛失リスクそのものをなくすことができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
B/Lを紛失しても、正しい手順で動けば原料は必ず引き取れます。
法的なリスクも、「公示催告・除権決定」の手続きで取り除けます。
今すぐ、以下の3つを始めてください。
ステップ1:フォワーダーか船会社に連絡し、L/G渡しの手続きを確認する。
↓
ステップ2:警察署に遺失届を出し、紛失届出証明書を受け取る。
↓
ステップ3:公示催告の申し立て準備を始める(管轄の簡易裁判所を確認する)。
輸入通関やこうしたイレギュラーな事態への対応は、行政書士の得意分野です。
「保証状の書き方がわからない」
「税関からB/Lの提出を求められて困っている」
「手続きの順番を整理したい」
どんな小さなご相談でも構いません。
会社に大きな損害が出る前に、まず一度、当事務所へお気軽にお問い合わせください。
貴社の工場ラインの安定稼働を、全力でサポートいたします。
お問い合わせは、下記からお願いします。
24時間以内に回答いたします。
行政書士には守秘義務がありますので、お問い合わせが公開されることはありません。
コメントをお書きください