「CIF New Yorkで見積もりを出してほしい」
海外バイヤーからそう言われ、「CIFって何?」「保険はどうすればいいの?」と頭を抱えていませんか?
初めての輸出商談、しかも相手はニューヨークのバイヤー。工場出し価格は分かっても、運賃や保険料をどう計算すればいいのか、戸惑うのは当然のことです。
この記事では、CIF価格の仕組みから、冷凍食品に必要な保険の選び方、そして具体的な費用の調べ方まで、食品輸出に詳しい行政書士が、順を追ってわかりやすく解説します。
【この記事でわかること】
・CIF条件で「あなたが負担する費用」の範囲
・冷凍食品に欠かせない保険の種類と、絶対に付けるべき特約
・保険料・運賃の具体的な調べ方と、見積もり依頼のコツ
1.CIF条件とは
まず「CIF(シフ)」という言葉から整理しましょう。
CIFとは、日本語で「運賃・保険料込み」条件といいます。
簡単にいうと、「ニューヨークの港に着くまでの船賃(海上運賃)と保険料を、日本側の輸出者(あなた)が負担する」というルールです。
CIF New Yorkの場合、あなたが計算して価格に含める費用は次のとおりです。
・商品代金(工場出し価格)
・日本国内の輸送費・輸出通関手数料
・冷凍コンテナの海上運賃(ニューヨークまで)
・海上保険料
ここで、初心者が誤解しやすい点をひとつ説明します。
「費用はニューヨークまであなたが持つのだから、途中の事故の責任もあなたにある」と思われがちですが、実はそうではありません。
貨物が日本で船に積み込まれた瞬間から、荷物の「リスク(責任)」はバイヤー側に移ります。つまり、輸送中に事故が起きた場合、損害を受けるのはバイヤーです。
ではなぜあなたが保険をかけるのか?
それは「バイヤーが損をしたときのために、輸出者であるあなたが保険を手配しておきましょう」というのが、CIF条件のルールだからです。
保険の費用はあなたが持ちますが、保険の恩恵を受けるのはバイヤー、という仕組みです。
2.保険の種類と条件
海上保険(外航貨物海上保険)にはいくつかの種類があります。
冷凍食品の場合は、選び方を間違えると「いざというとき補償されない」という事態になりかねません。
まず、基本の補償条件から見ていきましょう。
世界的に使われている「協会貨物約款(ICC)」には、C・B・Aの3段階があります。
ICC(C):
火災や沈没など、大きな事故のみカバー。補償範囲は最小限。
ICC(B):
(C)の補償に加え、地震や海水による濡れ損もカバー。
ICC(A):
「オール・リスク」とも呼ばれ、外部からの突発的な事故を幅広くカバー。最も手厚い補償。
冷凍食品を扱うなら、迷わず「ICC(A)」を選んでください。
ただし、ここで注意が必要です。
「オール・リスクなら何でも大丈夫」と思いがちですが、じつは「温度管理の不備による解凍ダメージ」は、ICC(A)だけでは補償されないのが一般的です。
冷凍食品に絶対に付けるべきなのが「冷凍貨物特約」です。
冷凍コンテナの故障などで中身が溶けてしまった場合に、この特約があれば補償の対象になります。
過去の事例でも、この特約があったことで、冷凍エビやマグロの解凍損害が補償されたケースがあります。
フォワーダー(後述)に見積もりを依頼する際は、必ず「冷凍貨物特約を付けてください」と伝えましょう。
・保険金額の設定について
保険金額は「CIF価格の110%」に設定するのが国際的な慣習です。
商品代金+運賃+保険料の合計に、さらに10%を上乗せします。この10%は、バイヤーの「得られるはずだった利益」を補う意味合いがあります。
3.保険料と運賃の調べかた
「保険料も運賃も、自分では計算できない…」と思う必要はありません。
これらは自分で計算するものではなく、専門業者に見積もりを依頼するものです。
【フォワーダーにまとめて相談する】
最もスムーズな方法は「フォワーダー(国際物流業者)」に相談することです。
フォワーダーとは、国際的な荷物の輸送をまとめて請け負ってくれる専門業者のことです。
船の手配(運賃の見積もり)だけでなく、海上保険の代理店も兼ねていることが多く、「CIF価格を出したいので、ニューヨークまでの冷凍コンテナ運賃と保険料の見積もりをください」と依頼するだけで、セットで回答してもらえます。
【見積もり依頼のときに伝えること】
正確な金額を出してもらうために、以下の情報を事前に整理しておきましょう。
・商品名(冷凍食品の種類)
・梱包状態(段ボールの数、パレットのサイズ・重量)
・輸送ルート(例:東京港→ニューヨーク港)
・希望温度帯(例:マイナス18度以下)
・商品の総額(工場出し価格)
【輸出が続くなら「包括予定保険」も検討を】
今後も継続的に輸出する予定があれば、「包括予定保険(オープンポリシー)」という仕組みもあります。
これは、あらかじめ保険契約を結んでおき、出荷のたびに個別の手続きをしなくて済む方法です。保険の掛け忘れを防げるうえ、事務作業も大幅に省けます。
【補足】
荷物だけでなく、取引そのもののリスクにも備えを
海上保険は「荷物の損害」をカバーするものです。
しかし初めての取引では、「バイヤーが代金を払ってくれない」「突然の輸入規制で荷物が送れなくなった」といった、取引そのもののリスクも考えておく必要があります。
こうしたリスクに備える手段として、海上保険とは別に「貿易保険(NEXIなど)」があります。
バイヤーの倒産や政治的な理由で代金を回収できなくなった場合に、損失を補てんしてくれる保険です。大きな商談であれば、あわせてご検討ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
はじめてのCIF輸出、不安に感じることも多いと思いますが、ポイントを整理するとシンプルです。
・CIF価格には、ニューヨークまでの運賃と保険料を含める
・保険はICC(A)に「冷凍貨物特約」を付けて、解凍リスクに備える
・具体的な金額は、フォワーダーにまとめて見積もりを依頼する
「特約の内容をもっと詳しく知りたい」「見積もり依頼のための書類を一緒に作ってほしい」「初めての輸出、何から手をつければいいかわからない」
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