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 ドル建ても怖くない!3つの輸出為替リスク回避策

  

海外のバイヤーから「米ドル建で見積もりがほしい」と言われ、困っていませんか?

 

慣れ親しんだ円建ではなく、変動の激しい米ドルで価格を提示するのは、不安に感じるのも当然です。

  

でも、安心してください。 

 

為替変動リスクの正体と、その具体的な回避策を正しく理解すれば、米ドル建の取引は決して怖いものではありません。 

 

この記事を読むことで、財務部長との打ち合わせで自信を持って意見を述べられるようになります。

 

海外バイヤーとの交渉もスムーズに進められるようになるはずです。輸出手続きに詳しい行政書士が、わかりやすくお伝えします。 

 

 

【この記事でわかること】

 

為替変動リスクが会社に与える具体的な影響

 

米ドル建取引で使える「3つの主なリスク回避策」

 

財務部長や海外バイヤーと交渉するための基礎知識 

 

 

はじめに:米ドル建のオファーは「チャンス」と考えよう

  

海外バイヤーが円建を断り、米ドル建を希望するのには理由があります。

 

米ドルは「基軸通貨」として、国際的な取引で最も広く使われています。バイヤー側にとっても、自国の通貨と交換しやすく、資金管理がしやすいというメリットがあるからです。 

 

「基軸通貨」とは、世界中の国々が貿易や金融取引の決済に使う、共通のお金のことです。現在は米ドルがその役割を担っています。 

 

日本の輸出総額を見ても、円建と米ドル建はほぼ同じくらいの割合になっています。食品や機械などの分野では、海外での競争力を維持するために米ドル建を選ぶ企業が多くあります。 

 

バイヤーがあなたの会社の製品をどうしても仕入れたいと言っているわけですから、それだけ自社製品が海外市場で求められている証拠でもあります。 

 

為替リスクを「避けるべき敵」ではなく「管理すべき対象」として捉え、適切な対策を一緒に考えていきましょう。 

  


1.為替予約


 

米ドル建の取引をする際に、最も一般的で確実な回避策が「為替予約」です。

 

これは、将来お金を受け取る際の為替レートを、あらかじめ銀行との間で決めてしまう契約のことです。

 

たとえば、こんなイメージです。

 

今日の為替レートが「1ドル=150円」だとします。

 

この時点で銀行と「3ヶ月後に1ドル=150円で米ドルを売って、円に替える」という予約を結びます。

 

そうすれば、3ヶ月後に円高が進んで「1ドル=130円」になっていたとしても、予約した150円のレートで円に換えることができます。

 

 

この方法のメリット

 

・将来、円高になっても円安になっても、受け取れる円の金額が変わらない。

 

・販売価格を決めた時点で利益が確定するため、経営の見通しが立てやすい。

 

 

輸出取引では、契約してから代金を受け取るまでに数ヶ月かかるのが普通です。

 

その間に急激な円高が進むと、円に換えたときの手取り額が大きく減ってしまいます。最悪の場合、赤字になることもあります。

 

為替予約をしておけば、そうした「想定外の事態」を防ぐことができます。

 

まず最初に検討すべき方法として、財務部長に提案してみましょう。 

 


2.為替マリー


 

もし、あなたの会社が海外から原材料を輸入していたり、ほかにも外貨での支払いがある場合に有効なのが「為替マリー」という手法です。

 

聞き慣れない言葉ですが、仕組みはシンプルです。

 

輸出で受け取った米ドルを、そのまま輸入代金の支払いに充てる。

 

ただそれだけです。

 

わざわざ円に換えないので、為替変動の影響を受けにくくなります。

 

 

この方法のメリット

 

・米ドルを円に替える際の銀行手数料を節約できる。

 

・会社全体で抱える「為替変動の影響を受けるお金の総額」を減らすことができる。

 

財務部長と相談する際は、「自社で米ドルの支払い(輸入など)がどの程度あるか」を確認してみてください。

 

輸出で得るドルと、輸入で支払うドルのバランスが取れていれば、為替変動の影響を最小限に抑えることができます。

 

日本の大手企業の約4割が、この手法を取り入れています。  

 


3.価格改定条項


 

最後にご紹介するのが、契約書の中に「為替が大きく動いた際の価格改定ルール」をあらかじめ入れておく方法です。

 

一度決めた米ドル価格をずっと維持するのではなく、こんな条件をバイヤーと合意しておきます。

 

「為替レートが10%以上変動した場合は、双方で価格を見直す」

 

これを「価格改定条項」と呼びます。

 

この方法のメリット

 

・長期的な円高・円安の進行にも対処できる。

 

・自社だけでリスクを抱え込まず、バイヤー側にも一定の負担を理解してもらえる。

 

 

バイヤーへの伝え方としては、こんな一言が効果的です。

 

「長期的に安定した取引を続けるために、為替の極端な変動には一緒に対処したい」

 

この姿勢を示すことで、バイヤーからも納得を得やすくなります。

 

なお、輸送用機器などの業界では、3ヶ月から半年ごとに価格を見直す慣習もあります。業界の慣行を参考にしながら、現実的なルールを決めておきましょう。

 

 

【財務部長との打ち合わせ前に確認しておきたい3つのポイント】

 

財務部長との打ち合わせに臨む前に、以下の3点を整理しておくと、より具体的な話し合いができます。

 

①輸出代金の回収予定時期

代金が入ってくるのはいつか?為替予約をする場合、「いつまでの予約を結ぶか」に直結します。

 

②社内のドル需要

原材料の輸入などで、ドルを使う予定はあるか?あれば、為替マリーが使えるかどうかの判断材料になります。

 

③バイヤーの支払い能力・信用状態

そもそも、相手は約束通り支払ってくれるか?

為替リスクも大切ですが、貿易には「代金を回収できないリスク(信用リスク)」もつきまといます。

 

もし不安がある場合は、銀行を通じた「信用状(L/C)取引」を検討するのも一案です。

 

信用状を使えば銀行が支払いを保証してくれるため、代金回収のリスクを大きく減らすことができます。 

 

まとめ


 いかがでしたでしょうか?

 

今回ご紹介した3つの回避策を、あらためて整理しておきます。

 

為替予約 → 銀行と事前にレートを決めて、利益を確定させる。

 

為替マリー → 受け取ったドルをそのまま支払いに使い、影響を相殺する。

 

価格調整ルール → バイヤーとルールを決めて、大きな変動に一緒に対処する。

 

海外取引における為替リスクは、正しい知識と手続きで十分にコントロールできます。

 

この3つを軸に財務部長と検討を進めれば、自信を持って打ち合わせに臨めるはずです。

 

米ドル建でのオファーは、あなたの会社が世界へ大きく羽ばたくチャンスです。リスクをうまく管理しながら、ぜひ新しい市場への挑戦を進めてください。

 

 

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