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失敗しない!輸出の重量トラブルを防ぐ3つのコツ

  

 食品メーカーの販売部長のみなさん、こんにちは。

 

 海外バイヤーとの交渉、本当にお疲れさまです。

  

せっかく苦労して製品を輸出したのに、到着後に「重量が2%減っていた」と言われ、代金を差し引かれてしまう……これほど悔しいことはありませんよね。

  

特に粉ものの食品は、輸送中の温度や湿度の変化、荷物の扱い方などの影響を受けやすく、重量トラブルが起きやすい品目です。 

 

でも、ご安心ください。 

 

じつは、あらかじめ契約書に「あること」を書き加えておくだけで、こうしたトラブルのほとんどは防ぐことができます。 

 

この記事では、輸出契約に詳しい行政書士が、重量トラブルを二度と起こさないための具体的な対策を、わかりやすくお伝えします。 

 

 

【この記事でわかること】

 

「日本を出た時点の重量」を契約上の最終決定にする方法

 

わずかな重量の誤差を「許容範囲」として認めてもらう方法

 

公的な「重量証明書」を第三者機関から入手する方法 

 


1.いつの時点の重量か


  

前回のトラブルの、一番の原因はここにあります。

 

「重量をいつの時点で確定させるか」を、契約書にはっきり書いていなかった——これが、海外バイヤーとの交渉が「埒が開かない」状態になった理由です。

 

貿易取引では、重量をいつ決めるかについて、大きく2つの考え方があります。

 

【① 日本で船に積んだ時点の重量を最終とする】

 

これを「船積数量条件」といいます。

 

日本を出た時点の重量が最終決定なので、その後の輸送中に多少重量が変わっても、売り手(輸出者)の責任にはなりません。輸出者にとって有利な条件です。

 

 

【② 相手国の港に届いた時点の重量を最終とする】

 

これを「陸揚数量条件」といいます。

 

到着後の重量が基準になるため、輸送中に目減りした分は、すべて売り手の負担になってしまいます。前回のトラブルは、海外バイヤーがこの考え方を主張したことで起きました。

 

 

今回は、契約書に次のような一文を入れておきましょう。

 

▼契約書の記載例(英語)

 

Unless otherwise specified, the shipping weight at the time and place of shipping shall be final.

 

▼日本語の意味

 

「特に定めのない限り、日本での船積み時点の重量を最終的なものとする」

 

この一文があるだけで、到着後に「重量が減っていた」というクレームに対して、法的にきちんと反論できるようになります。

 

 

なお、「重量」といっても、袋や梱包材を含めた「総重量」なのか、中身だけの「正味重量」なのかも、必ず明記しておきましょう。粉ものの食品の場合、一般的には中身だけの重量である「正味重量」で取引します。

  


2.重量の過不足を許容する約款


 

粉末状の食品は、輸送中の乾燥や湿度の変化で、どうしてもわずかな重量変化が起きます。これは、避けようのない自然な現象です。

 

そこで使えるのが、「過不足許容約款」という取り決めです。

 

少し難しい名前ですが、内容はシンプルです。

 

「契約した重量から、数パーセント以内の誤差であれば、クレームの対象にしない」と、あらかじめ契約書に書いておく——それだけです。

 

さらに、英語の契約書では「About(約)」という言葉を使うのが便利です。

 

貿易の慣習上、契約書の数量の前に「About」という言葉を入れると、「2%程度の過不足は許容する」という意味を持つことが広く認められています。

 

▼契約書の記載例(英語)

When the word "about" is used in the contract with reference to the contract quantity, it shall mean two per cent more or less.

 

▼日本語の意味

「『約』という言葉が数量に使われている場合、2パーセントの過不足を意味するものとする」

 

前回の「2%の重量減」も、この一文が契約書に入っていれば「許容範囲内」として堂々と主張でき、代金のカットを防げた可能性が高いのです。 

 


3.第三者機関の重量証明書


 

「日本を出た時点でこれだけの重量があった」——これを証明するには、自社のデータだけでは不十分なことがあります。

 

海外バイヤーが「信用できない」と言い出せば、また交渉が長引いてしまいます。

 

そこで活用したいのが、第三者機関による「重量証明書」です。

 

日本には、荷主の依頼を受けて、貨物の重さを公正に測ることを専門とする「検量事業者」という事業者があります。

 

これらの事業者は、港湾運送事業法という法律に基づいて、国土交通大臣の許可を受けた公的な存在です。自社とは利害関係のない第三者なので、発行された証明書はバイヤーも受け入れやすくなります。

 

重量証明書には、次のことが記載されます。

・貨物の種類と銘柄

・正味重量(中身だけの重量)

・いつ、どこで確認したか

 

依頼先は、最寄りの主要な港(東京・横浜・名古屋・大阪・神戸・門司など)で許可を受けている検量業者でOKです。

 

また、契約書には「〇〇検量協会(具体的な機関名)が発行する重量証明書を、最終的な重量の証拠とする」と明記しておくと、バイヤーが後から異議を唱えにくくなります。 

 

まとめ


 いかがでしたでしょうか?

 

重量トラブルを防ぐ3つのポイントをおさらいします。

 

① 「船積み時点の重量を最終とする」と契約書に書く

→ 到着後のクレームを法的に跳ね返せるようになります

 

 

② 「2%程度の誤差は許容範囲」と契約書に書く

→ 粉もの特有の重量変化を「クレーム対象外」にできます

 

 

③ 第三者機関の「重量証明書」を取得しておく

→ 客観的な証拠で、バイヤーとの交渉を有利に進められます

 

 

この3つをセットで対策しておけば、次回の輸出では「悔しい思い」をすることなく、満額の代金を回収できるはずです。

 

貿易の契約書は、一度しっかりした雛形を作ってしまえば、その後の取引がとても楽になります。

 

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