販売部長として、初めての海外輸出。海外バイヤーとの商談はいよいよ大詰め。
でも、こんなことを言われて困っていませんか?
「L/C(信用状)は申請書類も面倒だし、銀行手数料も高い。B/C決済(取り立て)にしてほしい」
そう言われても、L/CもB/Cも、どちらもよくわからない。自社として、どう判断すればいいのか。
この記事では、その判断基準をわかりやすく解説します。
【この記事でわかること】
✔ L/Cと、バイヤーが希望するB/C決済の、決定的な違い
✔ バイヤーが「B/C決済」を求める本当の理由と、そこに潜むリスク
✔ もしB/C決済を受け入れる場合に、自社を守るための「最後の砦」
1.銀行が払うか、相手次第か
まず一番大切なポイントから説明します。
L/CとB/C決済の最大の違いは、「代金を確実に受け取れるかどうか」です。
■ L/C(信用状)決済とは?
L/Cは、一言で言えば、「銀行があなたの会社のために代金を保証してくれる」仕組みです。
契約通りの書類(船積書類など)を銀行に提出すれば、たとえバイヤー側にお金がなくても、銀行が代わりに代金を支払ってくれます。
輸出者にとって、これほど安心できる仕組みはありません。
■ B/C(取り立て)決済とは?
一方、バイヤーが希望しているB/C決済には、銀行の支払い保証がありません。
銀行は「書類をバイヤー側に届け、代金を受け取る手続きを代行する」だけです。バイヤーが「今は払えない」と言っても、銀行は代わりに払ってはくれません。
B/C決済には、大きく2つの条件があります。
①D/P(支払渡し):
バイヤーが代金を支払ったときに、はじめて書類を渡す。
②D/A(引受渡し):
バイヤーが「あとで払います」と約束するだけで書類を渡す。D/Aは特に注意が必要です。「約束」だけで商品の書類を渡すため、その後に支払いを拒否されても、取り戻す手段が非常に限られてしまいます。
まずは「L/CとB/Cでは、安全性がまったく違う」この事実を、しっかり頭に入れておいてください。
2.交渉のすすめ方
では、なぜバイヤーはB/C決済を求めてくるのでしょうか。
「L/Cは申請書類が面倒で、手数料も高い」というのは確かです。しかし、理由はそれだけではないかもしれません。
じつは、「資金繰りが苦しく、銀行がL/Cを発行してくれない」というバイヤーも存在するのです。
相手の信用状態が不安な場合は、安易にB/C決済に変更すべきではありません。
まずは、以下の順番で交渉してみてください。
①中間案を提示する
L/Cは取り下げる代わりに、D/AではなくD/P条件を求める。「支払いと引き換えに書類を渡す形にしてほしい」と伝えます。
②前払いを組み合わせる
「代金の半分は船積み前にT/T(電信送金)で先払いしてもらい、残りをB/C決済にする」というように、リスクを分散させます。
また、商談と並行して、「信用調査機関」を通じてバイヤーの経営状況を確認しておくことも、有効な対策のひとつです。
ひとつ補足しておきます。
貿易条件でよく耳にする「インコタームズ」(FOBやCIF など、荷物の受け渡しルール)は、「代金の支払い方法」とは別の話です。
「CIFで契約した」からといって、代金の回収リスクがなくなるわけではありません。混同しないよう、注意してください。
3.貿易保険という選択
どうしてもB/C決済を受け入れざるを得ない場合、自社を守るために活用してほしいのが「貿易保険」です。
貿易保険とは、海外バイヤーから代金を回収できなくなった場合に、その損失を補てんしてくれる保険のことです。
独立行政法人 日本貿易保険(NEXI)などが提供しており、食品の輸出でも利用することができます。
この保険で備えられるリスクは、主に2種類あります。
【信用リスク】
バイヤーが倒産したり、代金の支払いを3か月以上滞らせたりした場合。
【非常リスク】
相手国で戦争や内乱が起きたり、送金規制が設けられたりして、代金が日本に届かなくなった場合。
B/C決済を選択するなら、この保険もあわせて検討することを強くおすすめします。
なお、利用にあたっては、バイヤーの事前登録や審査が必要になるため、早めに準備を進めることが大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
初めての輸出で、決済条件の変更を求められると不安になるのは当然です。
この記事のポイントを、3点に整理します。
✔ L/Cは「銀行保証あり」、B/Cは「保証なし」。この本質的な違いを、まず押さえる。
✔ バイヤーの提案を鵜呑みにせず、D/P条件への変更や一部前払いを交渉する。
✔ B/C決済を受け入れるなら、貿易保険(NEXIなど)でリスクに備える。
食品の輸出は、現地の規制対応や輸送など、決済以外にも気を配るべき点がたくさんあります。
「この契約内容で、本当に大丈夫だろうか?」「どう交渉すればいいか、相談したい」そう思ったときは、ひとりで抱え込まずに、輸出実務に詳しい専門家に相談することもひとつの選択肢です。
ご不明な点があれば、どうぞお気軽にご連絡ください。
あなたの会社の大切な食品が、安全に世界へ届くよう、全力でサポートします。
お問い合わせは、下記からお願いします。
24時間以内に回答いたします。
行政書士には守秘義務がありますので、お問い合わせが公開されることはありません。
コメントをお書きください