せっかく海外バイヤーとの商談が進んでいるのに、こんな質問を受けて困っていませんか?
「あなたの商品のHSコードと、わが国での関税率を教えてほしい。それがわからないと原価計算ができず、契約を結べない」
これは決して無理な要求ではありません。
バイヤーにとって、関税率は仕入れ原価を左右する最重要情報のひとつだからです。
でも、安心してください。
輸出先の関税率は、日本にいながら無料で調べることができます。
この記事では、食品輸出手続きを専門とする行政書士が、その具体的な手順をわかりやすく解説します。
【記事でわかること】
✔ 「HSコード」とは何か、なぜ世界共通の6桁が重要なのか
✔ 日本の税関資料を使って自社商品のコードを絞り込む方法
✔ JETROの無料ツールで輸出先の関税率を日本から調べる手順
この3点を理解すれば、バイヤーの質問に自信を持って回答でき、契約締結への大きな一歩を踏み出せます。
1.HSコードの仕組み
【世界160か国以上が使う「貿易の共通言語」】
HSコード(品目番号)とは、世界中の商品を同じ番号で分類するための国際的なルールです。
「HS条約」という国際条約に基づいており、日本を含む160以上の国と地域が参加しています。
このコードは数字の桁数によって、分類の細かさが変わります。
・最初の2桁 :「類」と呼ばれる大分類(例:第16類=肉や魚の加工品)
・次の4桁 :「項」と呼ばれる中分類
・最後の6桁:「号」と呼ばれる小分類
【バイヤーが求めているのは「6桁」】
ここで覚えておきたい重要なルールがあります。
HSコードは上から6桁目までが世界共通です。
バイヤーが「HSコードを教えてほしい」と言うとき、この世界共通の6桁を指しています。
6桁がわかれば、バイヤーは自国の税関ルールに照らして関税率や必要な規制を確認できるからです。
【7桁目以降は、国によって異なる】
7桁目以降は各国が独自に定めており、国ごとに異なります。
たとえば日本では9桁の「統計品目番号」を使いますが、下3桁は日本独自の細分化です。
そのため、バイヤーに回答する際は、次のように伝えると親切でプロフェッショナルな印象を与えられます。
「日本の統計品目番号は9桁ですが、世界共通の6桁部分は ○○ . ○○○○ です」
2.HSコードを特定する3ステップ
実際の調べ方を解説します。
日本の税関が公開している資料(輸出統計品目表)を使います。
STEP 1:商品の情報を整理する
まずは調べたい商品について、以下の情報を手元に揃えてください。
コードの分類はこれらの情報をもとに決まるため、最初に整理しておくと後の作業がスムーズになります。
・原材料:
何からできているか(魚・肉・野菜など)
・加工度:
生のものか、乾燥・冷凍・調理済みか
・包装形態:
小売用パックか、缶入りか、業務用の大袋か
STEP 2:「輸出統計品目表」で候補の分類を探す
次に、税関のウェブサイトで公開されている「輸出統計品目表」を開きます。
この表は、あらゆる商品を21の「部」と97の「類」に分類しています。
食品に関係する主な「類」の例を挙げると、次の通りです。
・第3類:魚介類
・第7類:野菜
・第16類:肉・魚の調製品(加工品全般)
・第19類:穀粉やミルクを使った調製品(菓子類など)
・第21類:各種の調製食料品(ソース・スープ・調味料など)
ひとつ注意点があります。
税関の用語は日常語と異なる場合があるため、一般的な名称で検索してもヒットしないことがあります。
たとえば、「じゃがいも」は「ばれいしょ」、「ワイン」は「ぶどう酒」と表記されています。
検索して見つからない場合は、読み替えて試してみてください。
STEP 3:分類ルール(通則)に従って最終決定する
HSコードを決める際は、「HSの解釈に関する通則」という公式ルールがあります。
基本的な考え方は次の通りです。
まず「項の規定(4桁の説明文)」と「部・類の注(ルール書き)」を最優先して確認します。
複数の候補で迷った場合は、以下の順に考えます。
1.より具体的に説明している項を優先する(特殊性・限定性を重視)
2.商品の特徴を最もよく表している材料で判断する(混合物の場合)
3.それでも決まらない場合は、候補の中で番号が最も大きい項にする
さらに正確を期すためには、税関が公表している「関税率表解説」や「分類例規」も参照するとよいでしょう。その項に何が含まれ、何が含まれないかを詳しく確認できます。
3.日本にいながら輸出先の関税率を調べる方法
6桁のHSコードの候補が絞れたら、いよいよ輸出先の関税率調査です。無料で使える便利なツールを2つ紹介します。
①JETROの「World Tariff」で検索する
日本貿易振興機構(JETRO)のウェブサイトから無料登録すると、米国FedEx社提供の「World Tariff」というデータベースが利用できます。
このツールの主な特徴は次の通りです。
・対応国・地域数:
約178か国・地域の関税率を検索可能
・調べられる内容:
一般的な関税(MFN税率)のほか、特恵税率・輸入時にかかる付加価値税・酒税なども確認できる
・操作方法:
輸出先の国を選び、HSコードを入力するだけで関税率が表示される
ただし、ひとつ注意が必要です。
このデータベースの情報は「公式情報」ではありません。
商談や原価計算に使う際は、表示結果をベースにしつつ、バイヤーを通じて現地の税関で再確認してもらうのが最も安全です。
②EPAを活用すれば関税がゼロになることも
輸出先の国が日本と経済連携協定(EPA)を結んでいる場合(RCEP加盟国、CPTPP加盟国など)、通常よりも低い関税率、あるいは無税が適用される可能性があります。
EPA税率を確認するには、相手国の「譲許表(関税率表)」を調べます。
この表には次の情報が記載されています。
・基準税率(ベースレート):
削減の出発点となる税率
・段階的削減スケジュール:
協定発効から年数が経つにつれ、関税が段階的に下がる仕組み
ただし、EPA税率を適用するには、その食品が「日本産」であることを証明する「原産地規則」を満たし、証明書を準備する必要があります。
この手続きは少し専門的ですが、関税が大幅に下がることでバイヤーの仕入れコストが減り、成約率を上げる強力な武器になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
バイヤーからHSコードや関税率を問われるのは、あなたの商品が真剣に検討されているサインです。
今回紹介した3つのステップをまとめると、次の通りです。
① 世界共通の6桁コードの意味を理解する
② 日本の税関資料(輸出統計品目表)で自社商品を正しく分類する
③ World TariffやEPA情報を活用して、輸出先でのコストを予測する
この3ステップを踏むことで、「国際貿易のルールをきちんと理解しており、貴社のビジネスメリットも考えています」というメッセージをバイヤーに伝えることができます。
それでも、食品の分類は複雑です。
「原材料の配合比率によってコードが変わるのでは?」「EPAを使うための原産地証明はどう準備すればいい?」――こういった疑問が出てくるのは、真剣に取り組んでいる証拠です。
自力での調査に限界を感じたとき、またはより確実な回答をバイヤーに届けたいと思われたときは、ぜひ一度ご相談ください。
正しいHSコードの特定から、EPA活用の可能性の検討、複雑な輸出手続きの書類作成まで、食品輸出の専門家として全面的にサポートいたします。
まずは無料相談から、お気軽にどうぞ。
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