せっかく海外から取り寄せた食品が、日本に届いた途端に手続きがストップしてしまった――。
「動物防疫所から検査証明書を出すよう言われたけれど、そんな書類、用意していなかった……」
そのような状況で、このページにたどり着いたのではないでしょうか。
「このまま商品は没収されてしまうのか?」「もう輸入はあきらめるしかないのか?」あせ焦る気持ちはよくわかります。
でも、まずは落ち着いてこの記事を読んでください。
輸入食品の手続きを専門とする行政書士として、今あなたが取るべき行動を、順を追ってわかりやすくお伝えします。
【この記事でわかること】
✔ なぜ「検査証明書」がなければ輸入できないのか、その法的な理由
✔ 証明書がない場合に起こりうる現実(廃棄・返送とは何か)
✔ 今すぐ取れる対処法と、二度と同じ失敗をしないための準備
1.検査証明書は商品の「パスポート」
まず最も大切なことをお伝えします。
「輸出国の政府機関が発行した検査証明書がなければ、日本の動物検疫は通れない」
これが絶対的な原則です。
日本には「家畜伝染病予防法」という法律があります。
この法律では、牛・豚などの食肉、卵、乳製品の一部を「指定検疫物」と定めています。
これらを輸入するには、輸出国(相手国)の政府機関が発行した日本向けの検査証明書(Health Certificate または Veterinary Certificate)を必ず添付しなければなりません。
なぜ、それほど厳しいのでしょうか?
理由は、海外の家畜伝染病が日本に入り込むのを防ぐためです。
たとえば、アフリカ豚熱(ASF)・口蹄疫・高病原性鳥インフルエンザは、一度日本に持ち込まれると、日本の畜産業に壊滅的な打撃を与えます。
近年、アジア地域でアフリカ豚熱が急速に広がっており、水際での検疫はますます厳しくなっています。
動物防疫所の家畜防疫官は、書類と現物の両面からチェックを行います。
その際、最も重要な証拠となるのが検査証明書です。
つまり、検査証明書は商品の「パスポート」のようなもの。パスポートなしに外国へ入国できないのと同じように、証明書のない指定検疫物は日本に入れない仕組みになっています。
2.証明書がないと「廃棄」か「返送」
「証明書がない状態で商品が届いてしまった場合、どうなるのか」――これが最も気になる点だと思います。
率直にお伝えします。対応は非常に厳しいです。
家畜防疫官は、次のどちらかを命じることができます。
・廃棄(焼却・埋却)
商品を燃やす、または埋めて処分します。費用は輸入者の負担です。
・積戻し(返送)
商品を輸出国へ送り返します。往復の運賃がかかるうえ、相手国が受け取ってくれる保証もありません。
「今回だけ見逃してほしい」「個人で食べるものだから」「有名メーカーの製品だから大丈夫」――こうした事情は、残念ながら一切考慮されません。
法で定められた証明書がない以上、防疫所は輸入を認めることができないのです。
また、虚偽の申告や不正な方法を取れば告発の対象となります。
繰り返し違反すれば、営業の禁止・停止という重い処分を受ける可能性もあります。
費用をかけて仕入れた商品が、そのまま処分される。
そんな最悪の事態を避けるために、今すぐ冷静に動く必要があります。
3.いますぐ取るべき3つの行動
では、具体的に何をすればいいのか。今の状況を少しでも好転させるための対処法をお伝えします。
① 動物防疫所に正直に状況を話す
まず、担当の動物防疫所に現在の状況をそのまま伝えてください。「何が不足しているか」「どのような手続きが必要か」を確認します。
隠したり曖昧にしたりするほど状況は悪化します。正直に話すことが、最初の一歩です。
② 輸出国の仕入れ先・政府機関にすぐ連絡する
「書類を入れ忘れた」「発行済みだが同封されていなかった」という状況であれば、現地の政府機関から原本を日本の防疫所に直接送ってもらえる可能性があります。
ただし、商品が「出荷された後」に証明書を発行してもらうのは、多くの国で原則として認められていません。
実現できるかどうかは、相手国・相手機関との交渉次第です。
可能性はゼロではありませんが、難しい交渉になることは覚悟しておいてください。
③ 次回以降のために「事前確認」の習慣をつける
今回のトラブルの根本は、「輸入しようとしている食品が動物検疫の対象だと知らなかった」ことにあるはずです。
食品は種類が多く、肉そのものだけでなく、スープの素(エキス)・ラード・一部のチーズなども検疫の対象になることがあります。
輸入の契約を結ぶ前に、必ず動物検疫所に商品の原材料・製造工程を伝え、「これは指定検疫物ですか?」と照会する習慣をつけてください。
また、輸入申請をオンラインで処理できる「NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)」の活用も、手続きのミスを減らすうえで効果的です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
動物検疫の「検査証明書なし」という問題は、輸入者にとって非常に深刻な事態です。
しかし、正しい知識と早めの対応があれば、最悪の状況を回避できる可能性は残っています。
「今、どうすればいいかわからない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
状況を整理したうえで、防疫所への対応方法・輸出国側との交渉ポイント・今後の安全な輸入体制の整え方まで、あなたの状況に合わせた具体的なアドバイスをお伝えします。
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