失敗しない!初めての飲食店経営に必須なHACCP(ハサップ)3つの鉄則

  

「いよいよ自分のお店が持てる!」という期待に胸を膨らませている開業準備中のかたで、 最近よく耳にする「HACCP(ハサップ)」という言葉に、少し不安を感じているかたはいらっしゃいませんか?

 

「なんだか難しそうな英語の略称だな」「また新しい規制が増えて、手間がかかるのか……」と、身構えてしまうかたも多いかもしれません。

 

実際、令和36月からすべての食品事業者に義務化されたこのルールは、これから飲食店を始めるかたにとって避けては通れないルールです。

 

しかし、安心してください。

 

HACCPは決して経営を圧迫するための「足かせ」ではありません。

 

むしろ、正しく理解して取り組めば、大切なお店とお客様を食中毒のリスクから守り、経営を安定させるための「最強の武器」になります。

  

この記事で、以下の3つのことがわかります。

 

①【リスク回避】

食中毒という「最大の経営破綻リスク」を未然に防ぎ、自信を持って料理を提供できる。

 

②【経営の効率化】

衛生管理を「見える化」することで、日々の作業のムダが減り、食材ロスや人件費の削減につながる。

 

③【お店の信用を守る】

万が一問題が起きた際も、適切な管理の証拠(記録)があることで、保健所やお客様に対して自信を持って説明でき、お店の信頼を死守できる。

 

失敗しないためのHACCP導入ポイントを3つに絞って解説します。

 

飲食店の営業許可申請に詳しい行政書士がわかりやすくお伝えします。 

 


1.衛生管理計画を作る


 

HACCPを導入する第一歩は、自分のお店に合った「衛生管理計画」を作ることです。

 

難しく考える必要はありません。

 

HACCPとは簡単に言うと、「どこでお腹を壊す原因が発生しやすいかをあらかじめ予測し、そこを重点的にチェックする」という仕組みです。

 

 

小規模な飲食店の場合、以下の2つのステップで計画を立てれば大丈夫です。

 

 

ステップ:全メニュー共通の「一般的な衛生管理」

 

まずは、どんなお店でも共通して行うべき基本動作をルール化します。

 

・原材料の受け入れ: 届いた食材の袋が破れていないか、賞味期限は大丈夫か。

 

・温度管理: 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫はマイナス15℃以下に保たれているか。

 

・清掃と消毒: まな板や包丁の洗浄、トイレの清掃、従業員の手洗いは徹底されているか。 これらを「いつ」「誰が」「どうやって」やるか決めるだけです。

 

 

 

ステップ:メニューごとの「重要管理(3つのグループ分け)」

 

ここがHACCPの核心です。お店の料理を調理方法ごとに3つのグループに分類し、それぞれの「急所」を見極めます。

 

・第1グループ:

加熱しないもの(刺身、冷奴、サラダなど)

 

ポイント: 菌を「つけない」。冷蔵庫から出したら、すぐに提供することが最大の対策です。

 

 

・第2グループ:

加熱してすぐ出すもの(ステーキ、ハンバーグ、唐揚げなど)

 

ポイント: 菌を「やっつける」。中心部までしっかり火が通っているか、肉汁の色や焼き時間でチェック方法を決めます。

 

 

・第3グループ:

加熱して冷やす、または再加熱するもの(カレー、スープ、ポテトサラダなど)

 

ポイント: 菌を「増やさない」。実はこれが最も危険です。加熱後に10℃60℃の「魔の温度帯」をいかに素早く通過させて冷却するかが、食中毒を防ぐ鍵となります。

 

 

「うちはカレーが自慢だから、第3グループの冷却には特に気をつけよう」といった具合に、お店のスタイルに合わせた「急所」を意識することが、安全経営の第一歩です。 

 


2.日々の記録を残す


 

 2つ目のポイントは、決めた計画をやりっぱなしにせず、毎日「記録」として残すことです。

 

多くのオーナー様が「毎日記録をつけるなんて、忙しい現場では無理だ」とおっしゃいます。

 

しかし、記録には非常に重要な、もう一つの役割があります。それは、「お店が誠実に商売をしているという証拠」になることです。

 

なぜ記録が「お守り」になるのか?想像してみてください。

 

万が一、お客様から「あのお店で食べてから体調が悪くなった」という訴えがあったとき、記録がなければ「ちゃんとやっています」という言葉に説得力を持たせることができません。

 

しかし、

 

・「その日の冷蔵庫の温度は8℃で、正常でした」

 

・「従業員の健康チェック表も全員『良好』でした」

 

・「納入された食材の袋が破れていたので、その場で返品した記録も残っています」 という具体的な記録があれば、不当な疑いからお店を守ることができます。

 

 

記録を継続するコツ:

 

あまりに細かい記録表を作ると、3日で嫌になります。 まずは、「良・否」を丸で囲むだけの簡単なチェックリストから始めましょう。

 

「冷蔵庫:」「手洗い:」といった具合です。

 

もし「×」がつくようなトラブル(例:冷蔵庫の温度が上がっていた)があれば、その時にどう対処したか(例:設定を強めて20分後に再確認した)を一言メモする。これだけで十分、立派なHACCPの記録になります。

 


3.定期的に振り返る


 

 

3つ目のポイントは、1ヶ月に一度などの頻度で、記録を眺めて「振り返り」を行うことです。

 

HACCPは一度作って終わりではありません。

 

実際の営業に合わせて改善していく「振り返り」が重要です。

 

振り返りを行うことで、衛生面だけでなく経営面でも良い変化が生まれます。

 

 

以下は、振り返りでチェックすべきポイントです。

 

①記録の漏れはないか:

 

特定の曜日に記録が漏れがちなら、その日のオペレーションに無理があるのかもしれません。

 

 

②問題が繰り返されていないか:

 

「冷蔵庫の温度がいつもギリギリ」なら、故障の予兆かもしれません。早めに修理すれば、中の食材をすべて廃棄するという大損失を防げます。

 

 

③教育の機会にする:

 

新しいアルバイトスタッフが入った際、管理計画を見せながら「うちはここを一番大事にしているんだよ」と伝えることで、スタッフのプロ意識が高まります。

 

 

「振り返り」を繰り返すことで、スタッフ全員が同じ基準で動けるようになり、あなたが店にいない時間でも高い安全レベルが維持されるようになります。

  

まとめ


 いかがでしたでしょうか?

 

HACCPは自信を持って商売をするための「誇り」です。

 

これから初めて飲食店を経営されるかたにとって、HACCPに取り組むことは決して負担だけではありません。

 

自分たちで計画を立て、それを着実に実行し、記録に残す。

 

この誠実な積み重ねこそが、お客様に「うちの料理は最高に安全で、最高に美味しいですよ」と胸を張って言える、プロとしての自信につながります。

 

また、冷蔵庫の整理整頓が進んで食材の管理がしやすくなったり、無駄な作業工程が見直されたりと、経営の効率化といううれしいメリットもあります。

 

もし、「自分のお店の場合、どの手引書を使えばいいのか」「図面やメニュー構成からどう計画を立てればいいか」と迷われたら、専門家にご相談ください。

 

HACCPという「お守り」を味方につけて、あなたの理想のお店を、長く愛され続ける素晴らしい場所にしていきましょう。

 

 

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