初めての開業!深夜酒類提供飲食店、届出で失敗しない3つの鉄則

  

「おしゃれなバーを経営したい」「仕事帰りの人が深夜までくつろげる居酒屋を作りたい」

 そんな夢を持って開業準備を進めているかたはいらっしゃいませんか?

  

飲食店を始める際、保健所の許可が必要なことは多くの方がご存知です。

  

しかし、「午前0時以降もお酒をメインに提供する」場合、保健所の許可とは別に、警察署へ「深夜における酒類提供飲食店営業」の届出が必要になることは意外と見落とされがちです。

  

もし、この届出を怠ったり、基準を満たさないお店を作ってしまったりすると、「警察の立ち入りによる営業停止」や「内装の作り直しによる数百万円の損失」といった、取り返しのつかない事態を招きかねません。

  

「届出って何が必要なの?」「書類が受理されなかったらオープンが遅れてしまうのでは?」といった不安を抱えているかたも多いのではないでしょうか。

  

このブログで、初めて開業に挑戦する個人事業主の方が、「法律違反を未然に防ぎ、予定通りに営業を開始できる」ポイントがわかります。

  

具体的には、警察の厳しい検査項目を事前に把握することで、内装工事のやり直しといった無駄なコストを回避し、法的リスクのない安心した経営の土台を築くことが可能になります。

  

届出をスムーズに進めるために私が実務の現場で重要だと感じているポイントを、3つに絞って説明します。

  

食品の営業許可手続に詳しい行政書士がわかりやすくお伝えします。 

  


1.接待と遊興は禁止


 

まず、最も重要で、かつ多くの開業者が勘違いしやすいのが、「自分の店の業態が、法律が定める営業形態のなかのどの種類に入るのか」という点です。

 

深夜にお酒を出すお店は、原則として警察署へ「届出」を行えば営業できます。

 

しかし、もしあなたのお店で「接待(せったい)」や「遊興(ゆうきょう)」を行うのであれば、それは「深夜酒類提供飲食店」ではなく、「風俗営業」や「特定遊興飲食店営業」という、より厳しい「許可」が必要な業態になります。 

 

深夜酒類提供飲食店として届出を出す場合、以下の2つの行為は深夜(午前0時から日出時まで)には絶対に禁止されています。

 

①「接待」の禁止

 

「接待」とは、簡単に言えば「特定の客の近くにはべり、継続して談笑したり、お酌をしたりすること」です。

 

カウンター越しにお酒を出しながら、社交辞礼程度の挨拶や世間話をするのは問題ありません。しかし、お客さんの横に座って一緒にお酒を飲んだり、カラオケでデュエットしたり、手拍子をして盛り上げたりする行為は「接待」とみなされます。

 

いわゆる「ガールズバー」のような形態でも、実態として特定のお客さんと話し込んでいれば、無許可営業として摘発されるリスクがあります。

 

 

 ②「遊興」の禁止 

 

深夜にお客さんに「遊び興じさせる」ことも、お店側が積極的に働きかける場合は禁止されています。

 

例えば、店員がマイクを持って歌を勧めたり、のど自慢大会やゲーム大会を主催したり、照明や音響でショーのような演出をしてお客さんを楽しませる行為がこれにあたります。

 

スポーツ観戦をただ見せるだけなら良いですが、店員が一緒になって大声で応援を煽るような行為も「遊興」と判断されることがあります。

  

 

届出書類には「営業の方法」を詳しく書く必要がありますが、ここで「接待」や「遊興」を疑われるような書き方をすると、受理されないどころか、お店のコンセプトそのものを見直さなければならなくなります。  

 

まずは、自分のお店が「お酒と食事を提供し、お客さんに静かに楽しんでもらう場所」であることを再確認してください。 

 


2.構造と設備の4つのルール


 

2番目に大事なポイントは、お店の作り、つまり内装や設備に関するルールです。

 

警察は届出を受理した後、実際にお店に立ち入って、書類に書かれた図面通りになっているか、法律の基準を守っているかを厳格にチェックします。

  

特に以下の4つの数値は、1センチ、1ルクス単位で守らなければなりません。

 

①「20ルクス」以上の明るさ

 

客席の明るさは、常に20ルクス以上を保たなければなりません。これは、新聞が楽に読める程度の明るさです。

 

バーなどでは雰囲気を出すために照明を暗くしがちですが、10ルクス以下の暗さになると「低照度飲食店」という別のカテゴリーに入ってしまい、深夜営業ができなくなります。

 

調光器(つまみで明るさを変えられるスイッチ)を設置する場合も、一番暗くした状態で20ルクスを下回らないような工夫が必要です。

  

 

②「1メートル」以上の仕切りを設けない

 

客席の中に、高さ1メートル以上の衝立(ついたて)や背の高いソファ、大きな観葉植物など、お客さんの様子を外から遮るようなものを置いてはいけません。これは、密室化を防ぎ、店内の見通しを確保するためです。

 

 

③客席の扉に「カギ」をかけない

 

お客さんが利用する個室やフロアの出入口に、内側からカギがかかる設備を設けることは禁止されています。ただし、トイレや従業員専用の更衣室などは例外です。

  

 

④広さの基準(9.5平方メートル以上)

 

もしお店の中に個室を複数作る場合、1室の床面積は原則として9.5平方メートル(約5.7畳)以上なければなりません。これより狭い小部屋は、密室での不正行為を防ぐ観点から認められません。

  

図面を作成する際は、壁の中心から測るのではなく、壁の内側の寸法を測る「内法(うちのり)計算」で行うのが鉄則です。

 

わずか数センチの差で「基準未達」となり、せっかく作った壁を取り壊すことになった例も見てきました。

 

設計段階からこれらの数値を意識することが、最も安上がりで確実な開業への道です。   

 


3.営業禁止地域と10日前の壁


 

最後に、場所の選び方と提出スケジュールについてです。

 

どんなに素晴らしいお店を作っても、場所やタイミングが間違っていれば、営業を始めることはできません。

  

「営業禁止地域」ではないか?

  

じつは、どこでも深夜営業ができるわけではありません。東京都の場合、条例によって「住居集合地域(第一種・第二種住居地域や準住居地域など)」では、深夜にお酒を出すお店の営業が全面的に禁止されています。

  

たとえ「飲食店」として保健所の許可が出ていても、その場所の「用途地域」が住居系であれば、午前0時以降の営業は不可能です。

  

物件を契約する前に、必ずその場所が「商業地域」などの深夜営業が許されている地域かどうかを、市区町村の都市計画図で精緻に確認してください。

 

  

②「10日前」までの提出期限

 

 届出書類は、深夜営業を開始しようとする日の10日前までに、管轄の警察署へ提出しなければなりません。

 

この10日間には、土日祝日や年末年始は含まれません。実務上は「中(なか)10日」と言われ、土日を挟むと実際には2週間以上前に提出する必要があります。

 

書類に不備が見つかり、受理が後回しになれば、その分だけオープン日も後ろ倒しになってしまいます。

 

オープン予定の少なくとも3週間前には警察署の窓口に行くスケジュールを組みましょう。

  

 

③警察署の受付時間に注意

  

警察署の窓口(生活安全課など)の受付時間は、平日の午前830分から午後430分までです。

 

お昼休みや、担当者がパトロールなどで不在の場合もあるため、事前に電話で予約を入れてから行くのがスムーズです。 

 

まとめ


 

いかがでしたでしょうか?

 

深夜における酒類提供飲食店の開業届は、ただの事務手続きではありません。

 

それは、あなたがこれから運営するお店が「健全で、明るく、地域に迷惑をかけない場所であること」を、法律の数値と図面をもって警察に約束する大切な儀式です。

 

1.接待や遊興をしないクリーンな運営方針

 

2.20ルクスや1メートルといった数値を守った内装設備

 

3.商業地域などの正しい場所での、余裕を持ったスケジュールでの届出

 

 

この3つのポイントをしっかり押さえておけば、初めての開業でも決して恐れることはありません。

 

もし、「自分で図面を引くのは自信がない」「用途地域の調べ方がよくわからない」といった不安があれば、ぜひ専門家にご相談ください。

 

 

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