日本産の畜産物を輸出して、海外の人に紹介したい、と考えていらっしゃるメーカーのかたはいらっしゃいませんでしょうか?
今回は、馬油とその化粧品のフィリピン向け輸出を例として、畜産物の輸出手続きについて説明します。
近年、日本の高品質な馬油製品や、それを用いた化粧品は、アジア圏で非常に高い評価を得ています。特に経済成長が著しいフィリピン共和国は、魅力的な市場の一つでしょう。
しかし、馬油は「動物由来の製品(畜産物)」であるため、一般的な工業製品とは異なり、輸出には「家畜の病気を広めない」という動物検疫の壁が立ちはだかります。
この記事では、フィリピンへ馬油を輸出するために必要な基礎知識を、実務の視点から整理してお伝えします。
この記事でのメリットは次のとおりです。
①輸出の「第一歩」で迷わなくなる:
何から手を付ければよいか、どの機関に相談すべきかが明確になります。
②不測のトラブルを回避できる:
準備不足による「荷物が現地で差し押さえられる」「輸出が直前で止まる」といったリスクを最小限に抑えられます。
③手続きの全体像を把握し、経営判断を迅速にできる:
輸出までに必要な時間や手間のコストが予測しやすくなり、ビジネスを加速させることができます。
それでは、重要なポイントを3つに絞って解説していきます。
食品の輸出手続きにくわしい行政書士が、わかりやすくお伝えします。
1.受け入れルールの確認
畜産物の輸出において、最も重要で最初に行うべきことは、「フィリピン側がその製品を受け入れているか、そしてどのような条件を求めているか」を確認することです。
実は、畜産物の輸出は自由に行えるわけではありません。国と国との間で「この病気がないことを証明すれば輸入してもよい」という合意(家畜衛生条件)がなされている必要があります。
具体的な確認手順です。
①輸出停止情報のチェック:
まず、動物検疫所のホームページなどで、現在フィリピンが日本からの輸入を停止していないかを確認します。家畜の病気(鳥インフルエンザや豚熱など)が発生すると、一時的に輸出が止まることがあるためです。
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②個別ルールの確認:
馬油について、日本とフィリピンの間で明確な合意が公表されていない場合もあります。その際は、あなた自身(または現地の輸入業者)が、フィリピンの検疫当局に対し、「日本から馬油を輸入してもよいか」「どのような証明書が必要か」を直接確認しなければなりません。
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③化粧品としての規制:
今回は「化粧品」としての輸出ですので、動物検疫(畜産物のルール)だけでなく、フィリピンの食品医薬品局(FDA)が定める化粧品としての成分規格やラベル表示のルールも別途確認が必要です。
相手国のルールがわからないまま製品を発送してしまうと、現地の港で破棄されたり、送り返されたりする最悪の事態を招きます。
まずは「相手の土俵のルール」を知ることから始めましょう。
2.輸出検疫証明書の取得
フィリピン政府が日本政府の発行する検査証明書を求めている場合、輸出前に必ず日本の「動物検疫所」で検査を受けなければなりません。
ここで交付されるのが「輸出検疫証明書」です。
これは、その製品が「家畜の伝染病を広げるおそれがないこと」を日本の公的機関が証明する非常に重要な書類です。
検査の流れ:
①申請:
輸出する港を管轄する動物検疫所に「輸出検査申請書」を提出します。最近では、「NACCS(ナックス)」というオンラインシステムを使って申請するのが一般的で、手間も省けます。
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②書類審査:
提出した書類(製造工程、原材料、衛生管理の状態を証明する書類など)が、フィリピン側の要求を満たしているかチェックされます。
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③現物検査:必要に応じて、家畜防疫官が実際の荷物の梱包状態や内容物を確認します。製品の性質によっては、微生物の検査などの精密検査が行われることもあります。
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④証明書の発行:検査をパスすれば、晴れて輸出検疫証明書が交付されます。この原本を製品に添えて、フィリピンへ送ることになります。
動物検疫所は「家畜の病気を広めないこと」を証明する場所であり、それ以外の(例えば化粧品としての美容効果など)証明はできません。
まずは「防疫上の安全性」を公的に認めてもらうことが不可欠です。
3.申請情報の効率的な管理
輸出が一度きりでなく、今後も継続して行われるのであれば、「申請情報の効率的な管理」が重要になります。
効率化のヒント:
①情報の再利用:
オンラインシステム(NACCS)を利用すれば、一度入力した申請内容を保存し、次回の申請時に「再利用」することができます。これにより、毎回同じ情報を入力する手間を大幅に削減できます。
②間違いがあった時の対応:
申請内容に間違いが見つかった場合、まだ審査前(事項登録済の状態)であればシステム上で修正可能です。一度提出した後でも、動物検疫所の承認(変更承認)を得られれば、内容を変更して再申請することができます。
③こまめな保存:
入力を途中でやめる場合は必ず「一時保存」をしてください。保存しないまま画面を切り替えると、せっかく入力した情報が消えてしまうことがありますので注意が必要です。
また、馬油は製造工程が重要視されます。
原料の由来、加熱処理の温度や時間など、製造者による証明書や誓約書を求められることが多いため、メーカーとしてこれらの情報をいつでも提出できるよう整理しておくことが、スムーズな検査につながります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
フィリピンへの馬油の輸出は、適切なステップを踏めば決して不可能ではありません。
一番のポイントは、「輸出の予定が決まり次第、お早めに輸出港を管轄する動物検疫所や、専門家に相談すること」です。
相手国が求める条件は、日本の家畜疾病の発生状況によっても変わることがあります。
最新の情報を常にチェックし、準備を整えることが、現地のお客様へ安心と信頼を届けることにつながります。
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