(※このページは2022年2月5日に更新されました)
「輸出先が倒産したらしい、どうしよう」
「回収が心配、だけど何からしたらいいかわからない」
こんな不安をお持ちではないでしょうか?
貿易で保険と言えば、輸送中の商品の紛失、盗難、損傷を補償する「海上保険」を指します。
海上保険とは別に、輸出代金を払ってもらえない場合に備える「貿易保険」があります。
今回のミャンマーの政変のように、輸出相手国の政情に不安がある場合などに掛けます。
海上保険は多くの輸出者又は輸入者が掛けています。
一方、貿易保険の知名度はまだ低いと言わざるを得ません。
しかし、重要度は、海上保険に勝るとも劣らないと考えられます。
この記事では、輸出先に万一のことがあってもリスクを軽減できる貿易保険のことがわかります。
もちろん、保険ですので、損失全額がカバーできるわけではありません。
しかし、経営のダメージを軽減する強い味方になってくれます。
輸出に詳しい食品行政書士が、わかりやすくお伝えします。
貿易保険とは
貿易保険とは、輸出取引で代金を回収できない場合に、損害の一定割合を受け取れる保険です。
具体的には、相手国の輸入制限等や、相手の倒産、債務不履行で回収できない場合です。
貿易(輸出)の場合、相手は海外にいます。
日本と違い、海外では不安なこと、不安定なことがいつ起きても不思議ではないのです。
どんなことが起きやすいでしょうか?
相手国と相手先(取引先)に分けてみます。
1.相手国
クーデタ、テロ、金利、為替相場が大きく変動、輸入制限や外国への送金規制など。
2.相手先(取引先)
支払いが遅れている、経営者や担当者が変わったようだが連絡がないなどの信用不安。
貿易保険では、
1.を「非常危険」=相手国のリスク(カントリー・リスク)
2.を「信用危険」=相手方(取引先)のリスク
に分けて、それぞれ保険対象としています。
具体的には、以下の損害を想定しています。
・非常危険のため、契約済みの商品を船積み(輸出)できない
・非常危険のため、輸出済み代金を回収できない
・信用危険のため、契約済みの商品を船積み(輸出)できない
・信用危険のため、輸出済み代金を回収できない
このような損害について保険金を受け取れるのなら、輸出者は、ひと安心かもしれません。
一方で、貿易保険をビジネスにしている保険会社は、多大の保険金支払いのリスクを負います。
特に、非常危険(カントリー・リスク)については保険金がいくらになるかわかりません。
天文学的な金額になるかもしれません。
そこで、保険会社は、「保険金を払える、払えない」の線引きをしています。
相手国、相手の会社、契約の内容などについて、一定の基準を設定しているのです。
保険会社がすべての危険(リスク)について保険金を払うわけではないことに注意が必要です。
具体的な保険会社をご紹介します。
保険会社によっては、貿易保険を、輸出信用取引保険、海外輸出債権保証サービス、売掛保証といったりします。
同様の保証内容とご理解ください。
国が出資する日本貿易保険
独立行政法人日本貿易保険(NEXI)は、日本政府100%出資の公的機関です。
非常危険(カントリー・リスク)、及び信用危険に対する回収リスク対応を行っております。
相手国政府との交渉が必要な場合、その対応もします。
メリットは、貿易保険会社の中では、最も充実したサポートをしていることです。
一方、デメリットは、保険対象とする会社(販売先)の審査基準が厳しいことです。
現地の上場企業くらいの規模でないと保険対象とならないと思われます。
つまり、大企業向けの保険と言えます。
民間の貿易保険会社
民間の保険会社には、以下のような会社があります。
大企業向けだけではなく、中小企業でも利用可能な幅広いニーズに対応しています。
伝統的な海上保険に比べると、貿易保険は後発です。
しかし、各社注力しているのが貿易保険です。
サービス内容が今後更に充実すると期待されています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
まとめますと、
1.海上保険と貿易保険は別の保険。
2.貿易保険は輸出代金回収リスクを軽減する強い味方。
3.大企業向けは日本貿易保険、中小企業向けには民間の貿易保険会社が向いている。
輸出先の国情、リスクに応じて、貿易保険会社や保険条件を決めることをおすすめします。
お問い合わせは、下記からお願いします。
12時間以内に回答いたします。
行政書士には守秘義務がありますので、
他に公開されることはありません。