海外旅行先などで見つけた
おもしろそうな食品、
「これ、日本で売れそう」
「輸入したいな」
「でも、輸入はどうするの?」
「たしか手続きが面倒くさかったな」と、
結局、輸入をあきらめてしまった
経験はないでしょうか?
たしかに、販売目的で食品を
輸入する場合には、けっこう面倒くさい
手続があります。
具体的には、厚生労働省の
検疫所宛てに、食品等輸入届出書
(「食品届」)を提出する必要が
あるのです。
書類の名前は「届出」なのですが、
実態は「審査」です。
この審査に合格しないと、輸入できず、
輸出元へ返品したり、日本で廃棄しなければ
なりません。
とても厳しい審査なのです。
食品の安全性は大切です。
食品の中身や賞味期限がわからなかったら、
国として輸入を認めるわけには行かない
からです。
この記事では、食品輸入最大の
難関である食品届と、トラブル予防に
役立つ「事前相談」制度がわかります。
食品輸入手続に詳しい食品行政書士が、
わかりやすくお伝えします。
食品届とは

食品届とは、わかりやすく
言えば、その食品の「履歴書」です。
いつ、どこで、どんな原材料や
添加物を使用して製造して、
賞味期限はいつまで、という情報を
記載します。
提出先は、輸入地の港や空港にある
厚生労働省検疫所です。
輸入者が輸入の都度、提出します。
いわば、輸入者が、食品の「身元保証人」
となって、品質に問題がないことを
保証するわけです。
海外では普通に販売されている
食品なのに、輸入する時にはなぜ
こんな手続が必要なのでしょうか?
輸入食品の場合は、生産国は海外
となります。
海外と日本では、食品の製造技術の違い、
衛生基準の違いがあります。
どんな食品なのか、安全な食品なのか、
情報がないと判断できないのです。
その判断のために、食品届への記載が
必要となるわけです。
これが食品届です。
(出典:厚生労働省ホームページ)
検疫所が食品届の記載内容を確認し、
必要に応じて、分析検査を行います。
結果、問題のないものについて、
「届出済」のハンコを押して輸入者に
返却します。
その後、輸入者が税関に輸入申告します。
税関で問題ないと判断されると
通関許可となり、日本国内で販売が
可能となります。
検疫所の審査で不合格となると、
輸出元へ返品又は日本で廃棄する
ように指示を受けます。
せっかく輸入したのに、返品や廃棄する
のではもったいないですよね。
そして、この「不合格」のリスクを
軽減する仕組みが、検疫所での
「事前相談」制度なのです。
事前相談とは

事前相談とは、輸入を検討している
食品について、検疫所から助言を
受ける制度です。
輸入は自己責任ですので、まずは、
「ご自身で」、できるところまで
動きます。
スッテプはこのようになります。
輸入しようとする食品の原材料、
添加物、材質、製造工程等に関する
資料をメーカーから入手する。
↓
ご自身で、食品衛生法が定める基準に
適合しているかを調査する。
↓
基準に適合しているかどうしても
確認できない場合に、検疫所に
事前相談をお願いするという流れです。
相談票の書式がこちらです。
(出典:厚生労働省ホームページ)
相談表は、検疫所宛てに、
FAX又は郵送します。
回答は、電話、FAX又は
面談となります。
大事な相談ですので、面談での
相談をおすすめします。
検疫所では丁寧に助言して
いただけます。
不安があったり、不明な点があれば、
ぜひ、面談で相談されることを
おすすめします。
なお、注意点をひとつ。
この制度は、事前審査ではありません。
輸入可能であるという「お墨付き」
ではありません。
「本商品」として輸入した時には、
改めて、食品届を提出して審査を
受ける必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
たしかに、検疫所での事前相談で、
輸入前に、食品届合格のお墨付きを
もらうことはできません。
しかし、品質についての要確認事項に
ついて助言をもらえます。
せっかく輸入したのに、返品、廃棄
しなければならないというリスクを
軽減することができます。
ぜひ、利用されることをおすすめします。
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