※このページは2022年2月8日に更新されました)
日本の急速な少子高齢化は、国内の食品業界に大きな影響を与えています。
ひらたく言えば、少子化で胃袋の「数」が減ります。
高齢化で胃袋の「サイズ」が小さくなります。
結果、数とサイズの掛け算である食品の消費量は減ります。
そうなると、農産物や加工食品の販路を海外に求めざるを得なくなります。
国内販売中心だった生産者や食品メーカーは、
「いまさら海外?」
「どうやって連絡とるの?」
「海外で簡単に見つかるの?」
とお悩みかと思います。
この記事では、海外販路開拓の一番確実な手段として、海外食品見本市出展方法をお伝えします。
出展する最大のメリットは、見込み客が会場まで「来てくれる」ことです。
このため、多くの見込み客と効率的に商談をすることができるのです。
さて、出展して受注する成功のカギは、じつは、「事前準備」にあるのです。
事前準備を含めて、何をどう対応すべきか、
時系列ごとに、
「見本市の半年前から開催日まで」
「見本市開催期間中」
「見本市のあと」
の3つに分けて説明します。
海外20ヶ所以上に出展経験がある、食品輸出に詳しい行政書士が、わかりやすくお伝えします。
見本市の半年前から開催日まで
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1.出展を決める
じつは、これが一番難しいのです。
ビジネスですから、出展した場合の「費用対効果」はどうなんだとなります。
はじめて出展するのに、受注できるかどうかは、出展してみなければわかりません。
完全に「ニワトリが先か、タマゴが先か」です。
ここは、経営者が、腹をくくるしかありません。
最悪、100万円以上かけて受注ゼロでも、「いい勉強になった」と覚悟できるかです。
費用は概算100万円以上かかります。
社員2人が出張して、5日間の見本市に出展するとします。
出展小間代(2mX2m)、装飾費用、航空運賃、ホテル宿泊費の総計で100万円以上です。
海外ビジネスには、「せんみつ」という「法則」があります。
見積書を1000通も出して、受注できるのはたった3つという意味です。
それくらい「打率」は低いのです。
さて、覚悟を決めたら、出展する見本市を決めます。
コロナのために、いまは、リアルな海外食品見本市は少ないです。
しかし、来春開催を目指して、徐々に増えつつあります。
アラブ首長国連邦ドバイでの中東最大の食品見本市は、リアルで毎年3月に開催されています。
中東はクルマ社会で歩かないため、肥満、糖尿病が大きな社会問題となっています。
そのため、ヘルシーでおいしい日本食品に関心が強く、日本からの出展者数も増えています。
2.見本市の前に「見込み客リスト」を作る
もちろんまだ見本市前ですので、リアルに見込み客に会えるわけではありません。
しかし、事前に見込み客リストを作成し、メール等で、コンタクトを重ねます。
日本の調査会社が海外の同業者と提携して、多くの海外会社情報を持っています。
日本の調査会社に申し込んで、会社データを購入し、来場してほしいお客様リストを作ります。
調査会社に申し込む際には、検索キーワードが必要です。
中東での食品展示会を例にとりますと、
たとえば、
1.国名=アラブ首長国連邦、クウェート、カタール、トルコ、サウジアラビア
2.業種名=スーパーマケット、日本食レストラン
3.取扱商品=食品、サプリメント、
と指定します。
すると、ヒットした会社がリストアップされます。
その中から取引したいと思う会社(=見込み客)をリストアップします。
見込み客にメールします。
会社と商品を紹介の上、見本市に参加するのでお越しいただきたい旨、誘います。
1回だけでなく、間隔を空けて何回かメールします。
反応があったら、招待状を送ります。
招待状には、出展小間(ブース)の番号、メールアドレス、携帯電話番号、を明記します。
サンプル依頼があったら、「事前に」送付します。
ポイントは、何事も前倒しで準備することです。
見本市会場で、はじめて、ばったり、「有望な」お客様と出会うのは期待しないことです。
ベストは、事前に、見本市での面談の日時を決めてしまうことです。
ここまでできれば、受注の可能性は高いと思います。
3.早めに現地出張の準備をする
期間中、フライト、ホテルは混みますので、早めに予約します。
ホテルは会場近くか、鉄道でアクセスできるエリアを予約します。
会場付近は渋滞しますので、車で移動しなくて良いホテルを予約してください。
英語表記した名刺を多く用意します。
見本市会場内のビジネスセンターでも名刺を作れますが、時間がかかるうえ高いです。
入手までに半日かかり、名刺100枚で5,000円かかった苦い経験があります。
試食、展示用サンプルは事前に会場宛てに送付します。
ただし、主催者側で事前に受け取ってもらえるか、確認する必要があります。
生鮮品や冷凍品のサンプルは、事前送付は難しいので、出張時の手荷物とします。
見本市の期間中
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4.来場者を見極める
新規仕入先を探して来ているビジネス客か、試食だけの「冷やかし客」なのかを見極めます。
外見で見極めるのは難しいですが、まずは服装です。
展示会によっては、来場者が首からかけるIDカードの色を業種別に分けていることもあります。
販売先候補となる業種の人と話をするようにします。
また、ビジネス客でしたら、相応の身だしなみで来場します。
当たり前ですが、ビジネス客との商談に時間をかけるべきです。
冷やかし客には挨拶程度でかまいません。
冷やかし客ほどたくさん試食して、たくさん話しかけてくる傾向があります。
短時間で切り上げることが大切です。
ビジネス客がブースに集中するときがあります。
そのときは、事前に面談日時を決めた「事前見込み客」を最優先に対応します。
5.受け取った名刺を頻繁にチェックする
できれば、1時間ごとに受け取った名刺をチェックします。
「事前見込み客」が来場したのに、他のお客さんへの対応などで挨拶できないときもあります。
「Thank you for your coming to our booth ! Please come again! 」 程度でいいので、すぐメールします。
また、名刺には、簡単なコメントを書いておきます。
「見込みあり」、「不明」、「冷やかし」で、○、△、☓の印とか、興味を示した商品とか。
○△の客には「Thank you for your coming to our booth ! Please come again! 」 と当日中にメールします。
6.有力見込み客とは、1回だけでなく、期間中、繰り返し面談して、受注する
見本市会場で受注しないと、見本市後のメールのやりとりで受注するのは難しいと思います。
サンプル程度の少量で良いので受注してください。
初回特値として、定価の半額でもいいと思います。
少量でも商品が動かないことには、何も始まらないと思ってください。
見込み客も、「目新しい商品」、「儲かりそうな商品」を探しに来ています。
サラリーマンでしたら、勤務時間を使って来場するわけです。
会社に戻って、目新しい商品、儲かりそうな商品を上司に報告する必要がありますので。
また、現地で新しいビジネスを作るという意味で、見込み客と仲良くなれるチャンスです。
「せっかくお会いできたので、商売を一緒にやりませんか?」と誘ってみてはいかがでしょうか?
見本市のあと
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7.フォローアップして、成果があれば、次回の見本市を早めに申し込む
反応が○△の見込み客宛てに、お礼のメールを出します。
サンプル依頼等あれば送付して、継続して反応を見ます。
特に、有力見込み客の商談をフォローアップします。
現地で直接面談した時は盛り上がるのですが、帰国後、トーンダウンするのはよくあることです。
会って話をするのにくらべて、メールはいまひとつだと思います。
適時Zoomなどを利用して、顔見せで商談を行います。
そして、1ヶ月をめどに、商談進捗、成果報告、費用対効果をまとめます。
効果ありと判断できたら、次回(来年)の出展を決めて申し込みます。
早く申し込んだほうが、良い場所に小間を確保できる可能性が高いです。
加えて、社内で、今回の反省を含めて、じっくり次回出展の準備ができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
確実に受注するための7つのステップは以下のとおりです。
1.出展を決める
2.見本市の前に「見込み客リスト」を作る
3.早めに現地出張の準備をする
4.来場者を見極める
5.受け取った名刺を頻繁にチェックする
6.有力見込み客とは何回も面談する
7.成果があれば、早めに次回申し込む
海外食品見本市出展のイメージはつかめましたでしょうか?
興味ある展示会が見つかったら、お早めにご検討されることをおすすめします。
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