(※このページは2022年2月12日に更新されました)
コロナで居酒屋やパーティでの需要がなくなり、国内でのお酒の消費量が落ち込んでいます。
一方、アメリカやヨーロッパでは、経済を回すため、飲食店、ホテルも営業再開しています。
お酒メーカーや問屋さんは、国内の売上の落ち込みをどうカバーするか頭を悩まされています。
なかには、輸出に活路を見出そうとしていらっしゃるのではないでしょうか?
ただ、お酒の輸出には役所手続が多いです。
そう聞くと、「面倒だなあ」、「どうしたらいいのだろう」とお困りではないでしょうか?
この記事では、お酒を輸出するための2つの役所手続をお伝えします。
輸出免許の申請手続と、輸出先で必要な公的証明書類を入手する手続です。
食品の輸出手続に詳しい食品商社マン行政書士が、わかりやすくお伝えします。
輸出に必要な2つの役所手続きとは
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食品の輸出自体は、それほど難しいことではありません。
買ってくれそうなお客さんを見つけて、商品内容、価格、支払条件等を詰めた契約書を結びます。
その後、契約書に沿って売り主は商品出荷、買い主は代金支払いを行います。
輸出とは、出荷先が海外なだけで、国内販売の延長だと考える人も多いと思います。
出荷案内や送り状が、日本語から英語になっただけと感じるかたもいらっしゃると思います。
しかし、お酒の輸出の場合には、2つの公的書類の取得が必要となります。
具体的には、
1.輸出契約前の輸出免許と、
2.輸出前の、輸出先(国)のルールに基づいた公的な証明書類です。
書類は、商品が到着して、輸入者(お客さん)が、輸入通関手続きをする時に必要です。
ですので、現地輸入通関に間に合うように、早めに入手して送付する必要があります。
輸出入酒類卸売業免許とは
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輸出するためには、輸出入酒類卸売業免許が必要です。
そもそもですが、なぜ、お酒の輸出に免許が必要なのでしょうか?
明治以来に、お酒イコール税金(酒税)と言えるほど、お酒は税収と関わりが強いのです。
国は、確実に税金(酒税)を徴収できるようにしました。
お酒の製造から販売までの各流通過程ごとに、免許制にして、取扱業者の数を絞ったのです。
免許取得には、申請者が、酒税を含め税金の滞納はないか、資金力はあるかが要件となります。
さて、輸出酒類卸売業免許申請で必ず必要なのが、輸出先のお客さんを見つけておくことです。
ただ見つけておくだけではダメです。
「免許を取得したらお酒を買いますよ」という契約書または同意書をもらう必要があります。
また、商社の場合は、国内で仕入先を見つけておく必要もあります。
こちらも、「免許を取得したら、お酒を売ります」という契約書または同意書が必要です。
さらに、海外への輸出の知識(貿易の知識や経験)が審査されます。
このため、お酒のメーカーに輸出経験者がいない場合には、免許取得は難しくなります。
商社等輸出経験のある会社を仲介させる必要があるかもしれません。
輸出に必要な公的書類とは
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どの国でもそうですが、輸入時には、どんな商品か、原材料は安全かを厳しくチェックします。
具体的には輸出先の国のルールの基づいて、お酒の輸出前に、公文書で証明する必要があります。
主な証明事項はつぎのとおりです。
・製造施設、製造工程、メーカー登録
・原材料、添加物、残留農薬、抗生物質
・産地証明
・福島原発事故に関連した放射能数値、安全証明
・輸入ライセンス該当商品
申請先は所轄の各役所ですが、一部、商工会議所が代わりに発行しています。
ポイントは、「輸出前」であることです。
「輸出後」では、公的文書の発行は不可です。
もし、輸出後に、必要であることがわかった場合、お願い書を提出します。
お願い書は、輸出者名で、輸出先の役所宛てに、不備のお詫びと理由、対処方法を書きます。
しかし、これが必ず認められるとは限りません。
最悪、書類ひとつの不備で、商品は輸出先に到着したものの輸入通関できない危険もあります。
その場合、現地で廃棄または輸出国への積戻しとなります。
また、残念ながら、福島原発事故以降、輸出先の国によっては、規制がかけられております。
お酒も規制対象品目となっています。
規制対象地域である場合、輸出できる産地や安全を証明する書類の提出が必要です。
徐々に規制解除されつつありますので、最新情報を確認することをおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
海外では健康志向イコール日本食ブームで、お酒の輸出が増加傾向です。
また、国税庁が、輸出推進室を設け、今年2021年、輸出促進に13億円の予算を計上しました。
これらの予算をもとに海外展示会も開催予定となっています。
国の予算を活用されて、お酒の輸出を検討されてはいかがでしょうか?
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