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食品事業者が気をつけたい、食品表示の基礎知識

(※このページは2022年2月11日に更新されました)

 

 

 「ラベル表示ここまで書くの?」

「最近、表示が細かくなったなあ」

と感じることはないでしょうか?

 

じつは、2013年に食品表示に関する法令改正が行われて、順次施行されているのです。

 

消費者の安心安全のために、わかりやすい表示をしましょうというのが目的です。

 

ただ、規定が細かすぎで、何をどのように表示をしたらよいか、お困りではないでしょうか?

 

法令には役所が関係しますので、表示違反をしますと、懲役、罰金という罰則があります。

 

相談窓口の保健所は、なかなか敷居が高いのも現実です。

 

この記事では、食品表示のルールと、特に注意すべき、アレルゲンと、消費期限・賞味期限の違いがわかります。

 

行政手続に詳しい、食品行政書士が、わかりやすくお伝えします。 

 

 


食品表示のルールとは


そもそも、なぜ、食品表示が必要なのでしょうか?

 

生鮮野菜、フルーツなら、お店で、目で見て手に取ればだいたいのことがわかります。

たとえば、食品の名前や、鮮度、品質とか。

 

わかるなら、わざわざ、表示のルールを作る必要はなさそうです。

 

では、缶詰や袋入りの食品は、いかがでしょうか。

 

容器や袋に入ったものは、中身が見えません。

外見では、何が入っているのか、いつまでに食べ切る必要があるのかがわからないのです。

 

これでは、消費者は安全な商品を、安心して買うことができません。

 

そこで、容器や袋に入った食品を中心として、どんな商品かを表示で伝える必要があるのです。

 

具体的には、商品名、原材料、アレルゲン、消費期限・賞味期限などです。

 

表示する義務があるのは、生産者、製造者、加工者、輸入者、卸売業者、小売業者です。

 

対象は、原則、消費者等に販売されるすべての食品です。ただし、例外があり、飲食店、産地直売所には、表示義務はありません。

 

 

つぎに、表示方法は、保存条件などの分類ごとに表示項目を分けて規定されています。


まず、保存条件の違いで、生鮮と、加工食品に分類されます。

 

生鮮は、1)農産物、2)畜産物、3)水産物、4)玄米、精米の4つに分類されます。

 

加工食品(容器包装されているもの)は、主な原材料ごとに、25種類に細かく分類されます。
 

生鮮は4種類に分類

1)農産物
2)畜産物
3)水産物
4)玄米、精米

計4種類

 

加工食品は25種類に分類

1)野菜加工品(野菜の缶詰、びん詰めなど)
2)果実加工品(びん詰めジャム、乾燥果実など)
3)めん、パン類
4)菓子類(クッキー、チョコレートなど)
5)加工卵製品(マヨネースなど)等

計25分類

 

生鮮で4種類、加工食品で25種類の合計29種類が、種類ごとに規定されているのです。

 

生鮮品は、目で見て、手に取れば、品名や鮮度がわかります。

ですので、表示項目は、比較的少なく、名称、内容量、原産地(輸入品は原産国)などです。

 

一方、長期保管を目的として容器包装されている加工品は、表示項目が多くなります。

 

商品名、原材料(アレルゲン)、消費期限・賞味期限、食品添加物など9項目となります。


1.名称
2.保存の方法
3.原材料名(アレルゲン表示含む)
4.消費期限または賞味期限
5.添加物
6.内容量
7.栄養成分、カロリー
8.食品事業者名、住所
9.メーカー名、輸入者名、原産国

  

これから、特に注意すべき、アレルゲン表示と消費期限・賞味期限について、説明します。

 

 


アレルゲン表示とは


私たちの体には、有害な細菌やウイルスなどから体を守る「免疫」という働きがあります。

この免疫が、本来無害な食べ物に対して、「異物」(=敵)だとして過敏に反応してしまうことがあります。

 

これを食品アレルギーといい、体に有害な症状が起きる状態のことを指します。

 

アレルゲンとは、アレルギーの原因となる抗原(ほとんどがタンパク質)のことです。

 

アレルゲンを含んだ食べ物を食べると、腸から吸収されたアレルゲンが血液に乗って全身に運ばれれます。

このため、眼・鼻・のど・肺・皮膚・腸などさまざまな部位で症状が現われます。

 

食物アレルギーは、食べ物を食べた時だけでなく、触ったり、吸い込んだりした時にも起こります。

 

重症化することもあるので、アレルゲンを表示して消費者に伝えることは、とても重要なのです。

 

食品表示では、アレルゲンを、「特定原材料」と「特定原材料に準ずるもの」に分けます。

 

1.特定原材料(表示義務あり)
食物アレルギー症状を引き起こす可能性が高く、表示する必要性があるもの。


(対象品目)7品目
えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)

 

 

2.特定原材料に準ずるもの(表示推奨、義務ではない)
特定原材料に比べると必要性が低いものの、可能な限り表示することが推奨されたもの。

 

(対象品目)21品目
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

 

 

次に、アレルゲンの表示方法は、2通りあります。

 

1.個別表示

・原材料名の直後にカッコをつけて『 原材料名(○○を含む)』と表示します。

 

例『 マヨネーズ(卵を含む)』

 

 

・特定原材料等に由来する添加物を含む場合は異なります。

添加物名のあとにカッコをつけて『 添加物物質名(○○由来)』と表示します。

 

例『 ベーキングパウダー(小麦由来)』

 

 

2.一括表示
・個々の原材料名又は添加物の直後にカッコをつけて特定原材料等を含む旨を表示します。

   

(例)『 (一部に大豆・乳成分・小麦・牛肉・卵を含む)』

 

 


消費期限と賞味期限とは


 保存食品を買うときには、いつまでに食べきらないといけないかを知る必要があります。


そのために必要な表示が、消費期限と賞味期限です。

 

ルールでは、どちらかを表示すればOKです。

 

ところで、消費期限と賞味期限とは何でしょうか?

 

 

・消費期限とは、期限を過ぎたら食べない方が良い年月日

 

袋や容器を開けず、表示されたとおりに保存した場合に、「安全に食べられる期限」のことです。

 

 

・賞味期限とは、おいしく食べることができる期限

 

袋や容器を開けず、表示されたとおりに保存した場合に、「品質が変わらずにおいしく食べられる期限」のことです。

 

 

なお、消費期限、賞味期限とも、この期限を過ぎたら、食べられなくなるわけではありません。

 

ですので、大きな違いはありません。

 

食品メーカーでは、消費期限、賞味期限設定のために、製品特性に応じたさまざまな試験を実施しています。

 

具体的には、温度の変化と時間の経過を組み合わせて、何度でどのくらい経過すると劣化するか調べます。

 

このデータをたくさん積み重ねて、具体的な消費期限、賞味期限を設定します。

 

 


まとめ


いかがでしたでしょうか?

 

食品表示のポイントを2つお伝えしました。

 

・アレルゲン表示

・消費期限と賞味期限表示

 

食品表示の法令改正から間もないため、現場の保健所も地域によって運用が異なるケースがあります。

 

まずは、専門家に相談されてはいかがでしょうか?

 

 
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